これまで安倍総理の発言や演説に心を動かされたことはほとんどない。
好感度としてはせいぜい普通の政治家レベル。真面目で一生懸命な人だとは思うけれど、勇気付けられるとか威厳があるとかユーモアが豊かだといった特別な美点を見つけるのは難しい。総裁選から始まり総理に就任して半年ほどのあいだ続いた「美しい国」連呼にはうんざりしてとても付き合いきれなかった。
そんな安倍総理が外遊中にインドの国会で演説してスタンディングオベーションを受けたという。
「インド式外交辞令じゃないのか」と半信半疑で全文を読んでみたら、本当に立派な演説なのでびっくりした。なるほどこれなら拍手喝采が起きるわけだ。
外務省: インド国会における安倍総理大臣演説「二つの海の交わり」
以上は一部引用だが、ぜひリンク先で全文を読んでほしい。
最初に豪雨災害を見舞い、次に「世界最大の民主主義国」と持ち上げてプライドをくすぐり、日印両国の歴史と文化を逍遥してロマンを盛り上げ、自由と民主主義と繁栄を共通の価値観として確認し、「森と水」の環境を守るため手を携えることを呼びかけ、さらなる経済協力と技術協力を推進し、「強いインドは日本の利益であり、強い日本はインドの利益である」と宣言し、さらには日印にとどまらず太平洋とインド洋をつなぐ「拡大アジア」の概念で大きく夢を広げ、岸総理(安倍氏の祖父)の対印ODAとネルー首相の三頭の象という友情の贈り物を振り返り、最後にはインドの誇る文化である舞踊にたとえて「インドと日本も、そんなふうに絶妙の同調を見せるパートナーでありたいものです」と締める。
実に見事なもので、本当に感心した。安倍総理は大いに面目を施したといえる。
この演説がどれほど安倍総理自身の手によるものか、それとも麻生外相やスピーチライターの功績が大きいのか知らないが、成長する大国にして世界最大の民主主義国・インドの国会で日本の総理大臣が立派な演説をしてくれたのは素直にうれしい。
安倍さんがせっかく日印友好の手柄を上げたというのに、なぜか憮然としている人たちがいる。
その一例がこちら。
朝日新聞社説:首相の訪印―価値観外交のすれ違い
あまりにも馬鹿らしくて批判する気さえ起きない。
むしろ朝日(そして中日)の中国様への忠勤ぶりがこれ以上なく明らかになって大変結構である。
好感度としてはせいぜい普通の政治家レベル。真面目で一生懸命な人だとは思うけれど、勇気付けられるとか威厳があるとかユーモアが豊かだといった特別な美点を見つけるのは難しい。総裁選から始まり総理に就任して半年ほどのあいだ続いた「美しい国」連呼にはうんざりしてとても付き合いきれなかった。
そんな安倍総理が外遊中にインドの国会で演説してスタンディングオベーションを受けたという。
「インド式外交辞令じゃないのか」と半信半疑で全文を読んでみたら、本当に立派な演説なのでびっくりした。なるほどこれなら拍手喝采が起きるわけだ。
外務省: インド国会における安倍総理大臣演説「二つの海の交わり」
皆様、日本はこのほど貴国と「戦略的グローバル・パートナーシップ」を結び、関係を太く、強くしていくことで意思を一つにいたしました。貴国に対してどんな認識と期待を持ってそのような判断に至ったのか、私はいま私見を申し述べましたが、一端をご理解いただけたことと思います。
このパートナーシップは、自由と民主主義、基本的人権の尊重といった基本的価値と、戦略的利益とを共有する結合です。
日本外交は今、ユーラシア大陸の外延に沿って「自由と繁栄の弧」と呼べる一円ができるよう、随所でいろいろな構想を進めています。日本とインドの戦略的グローバル・パートナーシップとは、まさしくそのような営みにおいて、要(かなめ)をなすものです。
日本とインドが結びつくことによって、「拡大アジア」は米国や豪州を巻き込み、太平洋全域にまで及ぶ広大なネットワークへと成長するでしょう。開かれて透明な、ヒトとモノ、資本と知恵が自在に行き来するネットワークです。
ここに自由を、繁栄を追い求めていくことこそは、我々両民主主義国家が担うべき大切な役割だとは言えないでしょうか。
また共に海洋国家であるインドと日本は、シーレーンの安全に死活的利益を託す国です。ここでシーレーンとは、世界経済にとって最も重要な、海上輸送路のことであるのは言うまでもありません。
志を同じくする諸国と力を合わせつつ、これの保全という、私たちに課せられた重責を、これからは共に担っていこうではありませんか。
今後安全保障分野で日本とインドが一緒に何をなすべきか、両国の外交・防衛当局者は共に寄り合って考えるべきでしょう。私はそのことを、マンモハン・シン首相に提案したいと思っています。
以上は一部引用だが、ぜひリンク先で全文を読んでほしい。
最初に豪雨災害を見舞い、次に「世界最大の民主主義国」と持ち上げてプライドをくすぐり、日印両国の歴史と文化を逍遥してロマンを盛り上げ、自由と民主主義と繁栄を共通の価値観として確認し、「森と水」の環境を守るため手を携えることを呼びかけ、さらなる経済協力と技術協力を推進し、「強いインドは日本の利益であり、強い日本はインドの利益である」と宣言し、さらには日印にとどまらず太平洋とインド洋をつなぐ「拡大アジア」の概念で大きく夢を広げ、岸総理(安倍氏の祖父)の対印ODAとネルー首相の三頭の象という友情の贈り物を振り返り、最後にはインドの誇る文化である舞踊にたとえて「インドと日本も、そんなふうに絶妙の同調を見せるパートナーでありたいものです」と締める。
実に見事なもので、本当に感心した。安倍総理は大いに面目を施したといえる。
この演説がどれほど安倍総理自身の手によるものか、それとも麻生外相やスピーチライターの功績が大きいのか知らないが、成長する大国にして世界最大の民主主義国・インドの国会で日本の総理大臣が立派な演説をしてくれたのは素直にうれしい。
安倍さんがせっかく日印友好の手柄を上げたというのに、なぜか憮然としている人たちがいる。
その一例がこちら。
朝日新聞社説:首相の訪印―価値観外交のすれ違い
そもそも安倍首相の価値観外交は、中国包囲という色彩を帯びている。
03年度以降、インドは中国に代わって円借款の最大の受け取り国になった。価値観外交の展開に伴って、援助額はさらに膨らんだ。
しかし、日本にとって中国が持つ重みは、インドとは比べものにならない。在留邦人でみれば、中国が10万人を上回るのに対し、インドは2000人ほどだ。相互依存の度合いが全く異なるのだ。
中国を牽制するテコにインドを使うような外交は見透かされる。インドにしても中国との交流を深めており、利用されることに甘んじるような国ではない。
価値観を声高に唱えるような一本調子の外交は考え直した方がいい。
あまりにも馬鹿らしくて批判する気さえ起きない。
むしろ朝日(そして中日)の中国様への忠勤ぶりがこれ以上なく明らかになって大変結構である。