玄倉川の岸辺

悪行に報いがあるとは限りませんが、愚行の報いから逃れるのは難しいようです

路上の自己防衛

2007年06月26日 | 日々思うことなど
ネットの一部(はっきり言えば2ちゃんねる)で話題になっていた「当て逃げ動画」がついにマスコミで取り上げられた。

asahi.com:「当て逃げ動画」ネット公開で波紋 車所有者は会社クビ
魚拓
 インターネット上の動画投稿サイトに「当て逃げ」被害にあった瞬間の動画が掲載され、騒動になっている。映された加害車両のナンバーから所有者が割り出され、個人情報がネットでさらされた。所有者の勤務先の会社には電話などの抗議が殺到。同社は所有者を解雇し、ネット上で謝罪した。検挙できていない警察へも批判が向けられている。


YouTube - フジテレビ報道「当て逃げ動画」

YouTube - 当て逃げ証拠動画

Apes! Not Monkeys! リンチと化す“祭り”


私の感想は次の通り。

加害者について
短気で攻撃性強すぎ。運転不適格。長期免停か免許取り消しにしてほしい。

加害車両所有者について
誠意が感じられない。真実を明らかにしてほしい。

警察について
やる気なさすぎ。とはいえ、この程度の当て逃げは珍しくないので、熱心になれないのも無理はない。

2ちゃんねらーについて
騒ぎすぎ。正義に酔った群衆は怖い。リンチは嫌いだ。

被害者について
おしゃべりに夢中で運転は上の空。他の車への配慮なし。「悪質」とまでは言わないが「問題」ドライバー。


私が一番批判したいのは「被害者(の運転)」である。
というのも、「加害者」「車両所有者」は2ちゃんねらーが、「警察」はマスコミと2ちゃんねらーが、「2ちゃんねらー」はマスコミと良心的ブログが、それぞれ大いに批判している(するだろう)けれど「被害者(の運転)」への批判は少なそうだから。

言うまでもないが、被害者を批判することで加害者の責任を相殺するつもりはない。
当て逃げは犯罪であり、適切に罰せられるべきである。

だが、今回の当て逃げ犯ひとりを処罰しても路上から悪質ドライバーが姿を消すわけではない。
「カッとなって当て逃げする」レベルの悪質ドライバーがどれくらいいるのか知らないが、全運転者の0.1%としても8万人はいることになる(全国の運転免許所有者は約8000万人)。
つまり、今回の当て逃げ犯が免許取り消しになっても路上の危険は8万分の1しか減らない。一罰百戒の効果を見込んでも取るに足りない。当て逃げをするような自分勝手なドライバーは「他のやつが捕まっても自分は大丈夫」と考えるだろうからますます効果は期待できない。

善良なドライバーに必要なのは「自分が事故・事件に遭わないためにはどうしたらいいか」という問題意識である。
教習所や免許更新時の講習で口うるさく言われる「防衛運転」だ。

防衛運転の一つ「距離をとる」ということについて考えてみましょう
  交通事故とは、横転などの自損事故を除けば、相手(車や歩行者)との距離がゼロになることですから、事故を回避するためには、相手との距離をとるということが不可欠の条件となります。
この場合の「距離をとる」とは、前車との車間距離をとることだけを意味しているのではありません。側方間隔や後続車との距離など自車の周囲全体に対して距離をとることを意味しています。

それでは被害者の運転はどうなのか、真面目に防衛運転しているのかというと…
ほめる所がない、お話にならない、ただし反面教師としては役に立つ。

具体的に指摘すれば
  「危険な合流」
  「短すぎる車間距離」
  「フラフラ走行」
  「おしゃべりに気をとられすぎ」
  「危険な車(煽ってくるシャコタンVIP)への警戒心が足りない」
自分が助手席に座っていたら口うるさく文句を言うか恐怖で体を硬直させる。
被害者のように「下手なのに自分が下手だとわかってない」ドライバーは怖い。

今回の被害者個人をとやかく言うつもりはない。たぶん私が路上で遭遇することはないだろうし。
だが、「当て逃げ動画」を見た人が被害者の運転について「あれが普通だ」「あれでいいんだ」と思ってもらっては困る。
あれは「下手な運転」「漫然運転」「事故・事件に遭いやすい危険な運転」である。
決して真似しないでください。


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5 コメント

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Unknown (Yt)
2007-06-26 21:29:16
2ちゃんねるのスレッド等を見ると、被害者の運転を批難するコメントも多かったですね。その辺の「路上の良識」はそこそこ了解されているんだなーと、個人的には思いました。
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Unknown (sanada)
2007-06-27 15:51:14
kurokuragawaさんの意見に同意します。
あの運転ではDQN車に目を付けられますね。

公道での事故トラブルで相手が100%悪い、ということなどそうそうありません。

動画を見たところ運転技術という面では加害者の方が上のようです。
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Unknown (  )
2007-06-28 15:40:56
当て逃げに限らず、警察に捕まりさえしなければ大丈夫と思っている人間にとっては、別の方法で痛い目に合うという結果になったことで一罰百戒の効果があるのでは?
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Unknown (Unknown)
2007-06-29 03:58:19
アクセス乞食が!
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Unknown (玄倉川)
2007-07-01 19:16:46
>Ytさん
加害者はもちろん、加害車両所有者(長い)の管理も、被害者の運転も、警察の対応も、2ちゃんねらーの大騒ぎも、いろいろ問題点が多い事件です。

>sanadaさん
数年前の私の体験です。
左折中のトラックが急停車し、直進していた私の車が軽く接触しました。そのときは「なんで急に止まるんだ!」「自分は悪くない!」という思いでいっぱいでしたが、実はそのトラックは歩行者のために止まったのです。「トラックはそのままのスピードで左折する(だろう)」と思い込んだ私のミスでした。
幸いトラックには損傷がなく、自分の車がちょっと凹んだだけだったので、トラックのドライバーに「まあお互い様ですから」と言ってもらって済みました。

>Unknown06-28 15:40:56 さん
「一罰百戒の効果」ですか。
他人(それも「当て逃げしかねない人」)の心理に依存した効果ですから、私にはよくわかりません。あまり期待しないほうがいいと思います。

>Unknown06-29 03:58:19 さん
罵倒はかまいませんが、少しは面白いことを書いてください。
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