とのさま不経済新聞 by 雲葉

「よるのとのさま」から改題(2013年2月1日)

シリーズ逆行の旅 ~第25回 岳南鉄道

2012年05月22日 | とのさまの漫遊
  あまり幸先のよい旅立ちとは言い難かった。朝っぱらに南武線で人身事故、ダイヤは回復して中原1125時の川崎行きに乗り込むと、川崎駅の手前で停車する。京浜東北線が川崎‐鶴見間で異音を感知したとかで止まり、そのあおりでこちらも折返しに支障が出ているらしい。東海道線にも遅れが出ているとのこと。

  川崎駅に着くと1番線に停まってるのは所定1130時の小田原行き789Mだそう。しかし動き出せば続行運転で、所定1140時の791Mは約10分延、そして当方が乗る部分快速「アクティー」はその3分後に来た。(行程表は実際の時刻)

  改めまして、当方も結婚そして川崎生活10年となり、その記念として嫁はんと1泊旅行と洒落こみました。行き先は静岡&浜松です。たいていすいているので狙っていた14号車のボックス席を確保でき、どうにか落ち着きます。

  先行の791Mを大船で追越し(所定は平塚)、飛ばしに飛ばして国府津では回復どころか1分早着に。相変わらず旧型の113系でダイヤを引いているためで、良いのか悪いのか。

  熱海で乗り換えて沼津で降ります。ここから目指すは岳南鉄道の終点、岳南江尾です。

  富士駅行きのバス

  じつはこれに乗るのはちょっとしたドキドキもので、運行する富士急静岡バスのサイトを見ても時刻表に掲載されているのは主要停留所のみで運賃表はない。

  南口から発車したバスは線路をくぐって北上します。国道1号に差し掛かった江原公園交差点を左折、すぐの西熊道交差点を右折して生活道路のような道に入り込みます。バスは車体も小ぶりながら道幅が狭いため行き違いに苦労することも。時にはどちらかが待って対向車をやり過ごします。

  沿道風景は平凡な片田舎の住宅地ながら、学生向けのアパートや寮も少なくありません。そしてやたらにコンビニが目立つ。多くは米屋や酒屋がフランチャイズ化したのだろうが少し進めば大手チェーンの看板がある感じ。逆にスーパーはあまり見かけません。

  新幹線の下をくぐって、最寄りは江尾だけれど、もう少し乗って増川で降ります。江尾までなら670円、増川は730円でした。PASMOが使えるようなので2人分をSuicaで支払いバスチケットを得ました。こういう時でないと使えませんね。

  ここで雨が降り出し、傘を差して富士神谷簡易局を不退転の決意で正面突破します。雨は強まることなく、途中道路だか工場(私有地)だか分からない場所を歩いて江尾駅へ。ホームに電車は停まっていて車内灯も点いてますが(冒頭写真左)乗る電車はそれではなさそう。

  岳南江尾駅(外から)
  同(ホーム側から)
  幕回しの合間に

  車輌は元京王井の頭線3000系。ここでは7000系を名乗ってます。この路線も今春で貨物営業がなくなり、はたして旅客のみで生き残れるのかどうか。後部の小田原機器製運賃箱前に陣取ります。これもずいぶんと旧式で、新500円玉の両替には対応してない。若い背広姿氏がその新500円玉を両替しようとするも戻ってきてしまい諦めた様子だった。

  乗客はそう多くなくのんびりした道中で、20分ほどで吉原へ。乗換え口で運賃を支払い、東海道線の乗車券を求めに窓口へ行くと硬券を売っている。今回は通しで買うより区間ごとに買ったほうが安上がりのようなので、その都度買っているのです。

  入場券も一緒に求めて草薙まで乗ります。

  7000系のスピーカーには京王帝都の名残が  吉原→草薙の乗車券(使用済み)

  ホテルは静岡市街なのですがわざわざ草薙で降りたのは、ホテルが新静岡駅前なのと、久しぶりに静鉄に乗りたかったから。チェックイン予定時刻を18時にしていたので、駅周辺を散策して17時の防災無線を聞いたところでちょっと目をつけていた店の暖簾をくぐります。

  草薙駅近くの「たくちゃん」

  国鉄と静鉄の間にある「たくちゃん」は魚介がメインの店。最初から長居する気はなく申し訳ないけれど、開店直後から続々とお客が来て、グループの予約もあるようで早々に断りを入れている。店自体も広くないけれどそんな人気店なのか。

  お通しは黒はんぺんも入ったおでん風の煮物。その黒はんぺんは刺身も焼きもあり、焼きだと少し高い。せっかくなので刺身でいただこう。それと串焼き何本かとしめ鯖を。軽く口に入れて40分弱で退出しました。

  いや~、のっけからいいお店でしたね~。それではこれから市街へと入っていきますので、ぜひとも2~3軒は探したいと思います。では (に仕掛けが?)

  静岡鉄道の電車

  今宵の宿はホテルシティオ静岡です。トラベル経由でツインルーム8000円だった。部屋もベッドも広めで居心地はいい。そして荷物を置いたら“夜遊び”に出ます。まずは話の種にと静岡おでん街がある青葉横丁へと。簡単な地図をプリントアウトしてきたのでそれを頼りに。

  ところが行ってみると異様な雰囲気だ。店の構えはどこも同じようでカウンターだけという店内の造りも同じ。ところが満員かそれに近い店と、お客が誰もいない(比喩ではなく本当にゼロ)店のどちらか。人によってはこれ幸いと“貸切”を楽しむだろうけど、他店の賑わいを耳にしながら二人でもそもそと食べるのもなんか居心地悪そう。よってここは見送った。後に再び通ってみたのだがその対称ぶりは変わっていなかった。今日がたまたまと思わずにいられない。

  そしてこれという店が見つからないまま30分近くも歩いただろうか。妙に賑やかな店を見つけ、いったんは通り過ぎようとしたものの外から見えた厨房で作ってる料理がおいしそうなので振り返って暖簾をくぐります。

  2軒目の「多可能(たかの)」

  店に入ってまず目に飛び込んだのは某高知県観光特使のポスター。ここも来てたのかと帰ってから調べると2004年5月3日に登場していた由。8年前じゃ見てなかったわな(くどいようですけど下調べは全くせずに来ています)

  カウンターに通され、やはりまずビールはと品書きを見ると、あれうれしやキリンハートランドの生があるではないか。そして嫁はんたっての希望で桜えびのかき揚げを。店頭にそれの札がひとつぽつんとぶら下がっていたのも気になったのだが。

  生いわしを頼むとしこいわしのこと。「ながらみ」という聞き覚えのないものがあるので尋ねると、小さな巻貝の一種で、カウンターの大皿に乗っているのを見せてくれた。

  ながらみ

  塩茹でしただけというがなかなかいける。串焼きもあるけれど単価が高めだなと思っていたら、隣の席のが目に入って納得した。バーベキュー並みとまではいかないけれどひと串が大きいのだ。後で嫁はんが話していたのだが伝票に新聞チラシの裏を使っていたらしい。そういう細かい経営努力で良心的な価格を保っているなら嬉しくなる。

  飲み食いしている間にもひっきりなしにお客が訪れるものの残席はカウンターに1のみ。小一時間ほど経ち適当に料理を片付けたところでまた2人組が来店し、女将が断ろうとするのを制して退出した。

  ちまちまと飲み食いしているだけなので余力はある。まだ桜えびの刺身を食していないため3軒目を探しました。

  3軒目「ほうとく」

  暖簾をくぐると先客は2人だけ。それも組ではなく別々のよう。カウンターと小上がりがあって若い店主が独りで切り盛りしている。

  お通しはないシステムで、お目当ての桜えびにモツカレー、それと新たまねぎのフライを。カウンターにネタケースはあるものの中はからっぽ。耳に入ったご常連の話から、どうやら別の人の店をなんらかの事情により居抜きで引き継いだらしい。料理も決して悪くなく値段も良心的で、こういう店が新丸子や鶴見あたりにあったら大賑わいだろう。なんかいろいろと損をしているのではないか、そんな感想を抱かせる店だった。あるいはここも今日がたまたま静かなだけなのか。

  ホテルへ戻って軽く飲み直し、静岡篇は明日も続きます。


【行程】
[川崎] 11:53(東海道線3757M サハE233-3004 =15両)13:07 [熱海] 13:12(同1439M クモハ211-5033 =3両)13:31 [沼津] 14:00(富士急静岡バス 730円)14:50 [増川]~[岳南江尾] 15:19(岳南鉄道 7003 = 1両 350円)15:40 [吉原] 16:01(東海道線455M クモハ313-2510 = 5両 570円)16:35 [草薙] 17:45(静岡鉄道静岡清水線 1004 = 2両 190円)17:58 [新静岡]

  ※武蔵中原→沼津 1890円

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