ドラマを見ていた
テレビに映るお団子を見て
祖母が記憶の引き出しを
そっと開けて
微笑みかける
よもぎ摘みの季節
その頃のこと
ドラマを見ながら
もう楽しいおしゃべりで
いっぱい
記憶の引き出しに
あかりが灯る
夜のこと
「土地」
ディーゼル車を降りると
風の香りが変わった
土地にも香りがあるみたい
花のように
人のように
「不知火海」
磯の香りは
わたしをこどもにしてくれる
遊び疲れて眠った
昼下がりのように
きっとね
どこかで疲れてた
夏布団を纏うように
磯の香りが心地いい
「暮らし」
静かに静かに
暮らしたい
窓からの景色を
日長一日眺めてる
祖母の横で
小さな生き物たちの
営みを見てた
恋をしている蝶々に
花を探して蜂さんブンブン
あれあれ
けっこう賑やかなこと
明かり灯る
小倉の街で
牛丼を食べた
お新香つけて
味噌汁を頼み忘れ
がっかり
していると
サービスで
ついてきた
ねえ
期待はずれの
嬉しいことって
きっと
俯いたあとに
来るんだね
馴染みない
赤だしの味も
ホッとする
風の香りも
花の色
色とりどりの
花の色
曇りの日ほど
よく香る
日々も
そうでありたい
藤の花咲く
曲がり角
檸檬の花咲く
通り
風はどこまで
花の色
色とりどりの
花の色
心の中に
入ってくるものも
あれば
出ていくものも
ある
だから
門をつくりたくなった
出来るだけ
美しい門を
花を植えよう
きれいにしよう
迎えることも
見送ることも
大切にしたいから