少し離れた雲が
忘れ物みたいで
手を伸ばしたくなる。
少し離れた雲が
いつかのことみたいで
手を取りたくなる。
忘れ物ばかりの
道のりだから
大事にするよ。
これまで
これからも
宝物にするよ。
その花を見ると
その花が咲いていた場所を
思い出す。
一緒にいた人の笑顔まで
浮かんでくる。
その花を見ると
その花を「好き」と言う
声が聴こえる。
胸がじんとする。
カラン コロン
扉をひらく
待っていたのは冬。
その名を呼べば
淡い夕日が灯る。
何かね 何かあると
寄りたくなる。
カラン コロン冬。
軒先の干し柿
指さして
まだかなぁ…
祖母がこっちを見て
もうよかろ…
ふたりでこっそり食べる
干し柿の甘いこと
父が作った
干し柿が
そんな思いで
連れてきた
いつでも
子どもに戻れる
甘い甘い
干し柿
俯く日
何か暖かなものを
見つけたから
見上げてみようと思った