山荘雑記  

 定年退職後 信州白馬の里山に小さな丸太小屋を建て、
その生活の様子や山や旅の思い出など、気ままに書き綴っています。

追悼―N君との永久の別れ

2013年10月19日 | 山登り
またもや山のクラブの後輩が亡くなり、昨日悲しい別れをしてきた。余裕を見て家を出たつもりだったが、乗換等で意外に時間がかかり、式場最寄駅に着いた時すでに式は30分以上も経過、タクシーを飛ばして閉式寸前かろうじて間に合い、焼香の後、最後の対面をすることができた。昨年の秋、同じ会員G君の追悼で八ヶ岳にも登ってきて、前夜「青年小屋」で雑談したのが最後であった。おそらくあれがN君の最後の山だっただろう。
 N君というより昔からCの愛称で皆から慕われ、大学卒業して間もない1960年代後半、新人OBとして、会の創立10周年記念行事の冬山に率先して参加し頑張ってくれた後輩の一人である。計画段階で一時行事が潰れかけたことがあったが、その時は一緒に八ヶ岳に行きましょうと勇気づけてくれたことがあり、今思うと八ヶ岳が彼との奇しき縁だった気がする。本番の冬山で猛烈な地吹雪で停滞を余儀なくされた白馬乗鞍のテントの中で、当時流行っていた裕次郎の歌を歌っていた彼の姿が、一風変わった長細い独特のワッパと共に今もその時の記憶が残っている。
 その後、N君は業界トップの印刷会社の営業マンとして多忙な生活を送り、一緒に山へ行く機会はなかったが、そんな中で時間を割いて会創立20周年の記念誌編集に尽してくれ、歴史が浅かった当時の我々の会としては、画期的な素晴らしい記念誌の発行に導いてくれた。今も後輩たちに引き継がれているこの記念誌が、、末永く会員たちの書架に並べられ、多大の犠牲を払ってくれた尽力と共に彼の名がいつまでも思い出されることを祈っている。会社を退職した後も彼の会を思う心は消えず、わざわざ遠方の他支部の会にも参加してくれるなど最後まで積極的で、とてもこんなに早くガンで亡くなるとは思えないほど元気だった。今は静かに彼の冥福を祈るのみである。



丁度1年前の2012.10.20 八ヶ岳「青年小屋」にて

「北信五岳」最後の山、斑尾山に登る

2013年10月03日 | 山登り

    斑尾山万坂トレールから見た野尻湖と妙高

   毎年秋に、50年前の元職場の同僚たちで白馬周辺の低山に登っているが、今年は飯山の斑尾山(1378m)に高齢者4名で登った。同行者は83歳のIさんを頭に、77歳のSさん、私と同年齢75歳のYさんの常連メンバーである。以前はもっと多かったが、加齢と共にいろいろな理由でだんだん減ってきたのは止むを得ない。今回はYさんの提案で麓の高原ホテルで一泊し、前日は雨の中近くの毛無山にも足を伸ばし、希望湖を一周する余裕もあった。翌日は好天に恵まれ、カエデの木トレールで頂上へ、帰りは野尻湖と妙高を眺め、ぐん平道を下る快適な初秋の登山を楽しんだ。私にとっては五岳最後の山であった。
 特に五岳を意識して登ってきた訳ではないが、気が付いてみると妙高、黒姫、戸隠、飯綱の四岳はすでに登り、斑尾だけが残っていていつかは登りたいと思っていた。それぞれの標高には高低差があり、登高の難易度にも差があるが、いずれも独立峰の様相を呈し展望に優れている。30年ほど前の年末、職場の同僚2名と奥社から雪の戸隠に登り頂上の社でビバークしたのが最初で、蟻の戸渡りというナイフリッジ通過に緊張した思い出がある。
その数年後、同じ学校の生徒たちを修学旅行で登らせるため下見に登った黒姫山が2番目である。ただ残念ながら本番では雨天で中止せざるをえなかった。3番目は今回と同じメンバーで登った飯綱山で、戸隠神社で急に予定変更して登った。5つの中で一番苦労したのが妙高で、2年越し3回の挑戦でやっと頂上に達した。白馬村の小屋から日帰りで目指すには少し無理があったようだ。説によっては妙高の代わりに高妻山を上げているが、これも中々よい手頃な静かな山である。




放置された植林地の軟弱な地盤

2013年10月03日 | 小屋生活


 連日35度以上の猛暑が続いた悪夢のような夏が過ぎ、やっと時折肌寒さを感ずる秋がやって来た。
 この夏は猛暑から逃れるため、快適な気候を夢見て、7月末から約3週間、北イタリアの南チロルの山や街で過ごしたが、ここもむしろ日本より日射が厳しく避暑どころではない暑さだった。8月の盆明けに帰国したが、まだ残暑厳しく時差ボケと共に外出する気が起こらず、小屋にやってきたのは2か月ぶりだった。
 無人の盛夏を過ごした小屋の周辺は雑草が身の丈近く伸び、水も止まっていた。これはいつものことでそれほど気にならないが、今回は小屋裏の斜面の異変に気付いた。
先の台風18号の大雨で裏の杉林の斜面の土が所々深くえぐられ、大杉の根っこが露出している。放置された杉の植林地の地盤が軟弱であちこちで土砂崩れの原因となっている。 もしこのまま進みいつか樹齢百年の巨木が根こそぎ倒れ、小屋を直撃すればひとたまりもない。間伐も枝打ちもせず放置された杉の植林地のあまりにももろい現実を目にしたような怖さを感じる。