山荘雑記  

 定年退職後 信州白馬の里山に小さな丸太小屋を建て、
その生活の様子や山や旅の思い出など、気ままに書き綴っています。

雨にたたられた7月の小屋 -- 隙間を縫っての荒倉(砂鉢山)登山

2009年08月02日 | 山登り

荒倉山(砂鉢山)の静かな山頂


   7月中旬から月末まで半月間、白馬の小屋で、すでに梅雨明け宣言された信州の青い夏空が現れるのを待っていた。しかし、その半月の間、晴れた日は1日もなく、毎日ほぼ2、3時間毎に決まって雨が降り、雑草の刈払いや薪の切り出しなど屋外の仕事が出来ず、雨にけむる前山を見ながら溜息ばかりつく毎日であった。気象庁の出す「梅雨明け宣言」とは一体どんな意味があるのだろう。宣言後のこの天気にも何の訂正も撤回もない。白馬村周辺の大北地方には絶えず大雨警報か注意報が出ていたが、これも何を基準に出しているのか、必ずしも現実とは一致しなかった。近くの山を歩くつもりで、初めてトレッキングシューズを新調してきたが履くチャンスが中々やって来ない。
 ついに痺れを切らし、離荘前日の31日、曇天ながら何とか天気が保ちそうなので、雨具、非常食を急いでザックに詰め、早朝、愛車の軽トラを駆って鬼無里、戸隠村界の荒倉山に向かう。麓に謡曲「紅葉狩り」の鬼女紅葉が潜んでいたという不気味な岩屋や紅葉を討伐した平維茂が休んだという峠など、伝説にまつわる興味深い場所やキャンプ場などがある。昨年春にも来たが時間がなく霧見山から引き返したので、今回再訪問である。去年も見かけた単独行の行方不明者捜索の看板がまだ立っていた。登山道は一般向きコースとしては、アップダウンのやせ尾根や長い鎖場などあり、結構きつく、連日の雨で道が滑りやすく慎重を要した。登り口から3時間近くかかってこの山稜の最高点、砂鉢山(1432m)に着く。今までの気を遣う道とは打って変わった広い展望の良い静かな山頂に癒され、この先の荒倉山まで行くのは止めて、しばらく休憩後下山することにした。これはラッキーな決断だった。車の置いてある竜虎トンネル出口の空き地に下りて間もなくポツポツとまた雨が落ち出す。いつものように帰路途中の鬼無里温泉で汗を流し、堀田の小屋に帰り着いた時はドシャ降りになり、もし荒倉まで行っておれば下りの悪場で苦労していただろうと、久し振りのツキに気分が晴れる。それにしても、こんなに雨にたたられた白馬の7月は今までなかった。どこかおかしい今年の7月の天気だった。


 

荒倉山山麓にあるキャンプ場