山荘雑記  

 定年退職後 信州白馬の里山に小さな丸太小屋を建て、
その生活の様子や山や旅の思い出など、気ままに書き綴っています。

雪の性質を改めて知る

2011年03月07日 | 小屋生活

異例の大雪で各地に被害をもたらした今年の冬も3月に入ってどうやら去ったようで、ここ2、3日は信州の里山でも春の気配が感じられるようになった。 日中は10度近くまで気温が上がり、まだ1米もある小屋の周りの一面の雪も徐々に減っていき出した。その融けた雪の中から、今年屋根からの落雪で崩壊した炊事場の哀れな残骸が徐々に現れ出した。金具で取り付けていた小屋軒下の鼻隠しと呼ばれる板の一部が剥ぎ取られ、炊事場の再建より雨が入らぬよう早期の修理が迫られている。
もう一つの被害はデッキの手すりである。一度被害に遭っているので、2度と同じ被害に遭わないよう、金具も頑丈な大型に換え念入りに修復したつもりだったが全く効き目がなく、すべての金具が折り曲げられていた。    何よりも予想を越えたのは、雪が積もらぬよう床板を外し、1米四方の空間を開けておいたにも拘わらず、その空間の上に2米も雪が積もっていたことで、雪についての今までの常識は捨てねばならなかった。雪は接着剤のような強力な粘着性を持つと同時に、強いグリップ力もあることだ。雪が着かないように屋根の傾斜を45度以上にしたが、屋根の頂上部にはいつも1米以上の雪が乗って春まで融けない。これは積もった雪がまるで蛸か鳥の足のように物体に巻きつき、それが氷と化し雪スコや竹竿で叩いた位では簡単には剥がれない強さでしっかり掴んでいる。いわば巨岩のような氷が屋根に食い込んでいるのと同じである。冬の海上で高いマストや張り綱に氷が着いて、船がバランスを失なって転覆するのもうなずける。
若い頃からスキーを楽しみ、何度も冬山に入り、雪の扱いには慣れ、その楽しさも怖さも知っているつもりだったが、まだまだ知らない面があることを小屋生活をして徐々に分かってきた。堀田山荘にて