山荘雑記  

 定年退職後 信州白馬の里山に小さな丸太小屋を建て、
その生活の様子や山や旅の思い出など、気ままに書き綴っています。

古建材でテラスを作り直す

2012年08月07日 | 小屋生活


1年近くかかったインプラント義歯の治療がようやく完了し、7月半ばほぼ2カ月振りに小屋入りする。2か月間に道路から小屋までの10mほどの間に再び雑草が伸びている。冬のラッセルより楽だが、いつも簡単には小屋に近づけない。嬉しいことに前回手直しした送水の仕組みが予測通りに働き、300リッタの貯水タンクは満タン、2か所の蛇口をひねると冷たい水が出る。今回予定した作業は周辺の除草、放置されたままの古木材の処理と薪作り、テラスの手摺り作り、壁ログの防腐剤上塗りなど、ほとんど屋外での作業ばかりである。都会の暑さから逃れるつもりで来たが、信州の里山も連日都会と変わらない35度の猛暑続きで、午前中に急いで作業を済ませ、日中は外に出ないことにした。10年前は炎天下を厭わずMTBであちこちに遠出もしていたが、さすが今はその元気はない。熱中症による高齢者の死亡が各地で相次ぎ他人事ではなくなった。小屋は西向きでさえぎるものなく鹿島槍の稜線上から強烈な西日がまともに照り付け、最初白かった壁のログを10年間ですっかりこげ茶色に変えてしまった。それでもドアに日除けのすだれをつけ、少し隙間を開けておくと、時折冷たい風が谷を渡って吹いてくる。夕方、日が沈むと、昼間の炎暑がウソのように急速に冷え出し、夜は窓を閉め毛布を被らないと寒くて寝られなくなる。さすが標高850mの信州である。
今回2週間の滞在中一度も水が止まることなく、絶えず流し台に流れ続け、オーバーフローパイプからの排水を浴槽に貯め、2日毎に風呂を沸かし、暮れゆく白馬三山を眺めながら野天風呂を楽しむ余裕さえ出てきた。水は生活を便利にするだけでなく、その存在が精神的な潤いと安らぎをもたらすことをつくづく感じ、昔、水不足のためここから去った村人たちに思いを馳せる。
 今回は2年前の大雪で潰されたテラス手摺の作り直しが主目的であった。同じく雪で潰された炊事場を、重い古建材を斜めに立て掛け支えとしたところ、昨冬の雪に無事耐えたので、この際見かけは度外視し頑丈さを優先させ、テラスも古い丸太を地面から立てて、さらに重い古建材を斜めに立て掛け補強して作り直した。そのため、外観は優雅さが無くなり、まるで西部劇に出てくる砦か酒場宿のような荒い姿になった。日常的な管理が困難の中、少しでも傷めず小屋を維持するための苦肉の策である。これでどんなに大雪が降ろうとも2度と潰されることはないだろう。