瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

うる星感想リターンマッチ4

2011年10月30日 16時12分20秒 | 漫画&アニメ
前置き短く前回の続き、だって今CS放送してんだも~ん。
説明の必要無いだろうが、★は自分的傑作、▲は自分的佳作です。


▲第17回「眠れる美女クラマ姫」 脚本:中原朗 コンテ・演出:早川啓二 作画監督:遠藤麻未

…話は無難に原作通り、「一夜の契り」をそのまま流した、スタッフの勇敢さに天晴れ。
けど「一夜の契り」の意味を親に訊く子供続出で、TV局はクレーム対応に困ったろうな。(笑)
この回はとにかく絵が綺麗、原画を青嶋克己さんという方が担当してるのですが、人物に筋肉がきっちり付けられてるのが凄いなと。
絵の力で佳作まで押し上げたと言っていい。

(個人的評価) 脚本△ 演出△ 作画○ …クラマ姫が放つ旋風で露になったラムのうなじと背中がセクシーv

・第18回「アスレチック女地獄!」 脚本:中原朗 コンテ・演出:小華和ためお 作画監督:谷田部雄次

…こっちも大体原作通りの話、ただ原作に有る裁判が上手く表現できなかったのか、アニメでは女達があたるをひたすら物理的に虐める表現に変更されてる。
それとラムがあたるを攫うのはヒロインに相応しくない行為と考えてか消去されてる。
どちらも読んで笑った箇所なんで、カットしないで観せて欲しかったけど、この回の拙い演出と作画でやっても、面白くならんかったろう気がしないでもない。(酷)

(個人的評価) 脚本× 演出× 作画× …同じ原作通りに作っても、演出や絵が巧いか拙いかで、評価は変って来るもんだ。
 
★第19回「ときめきの聖夜」 脚本:山本優 コンテ・演出:押井守 作画監督:遠藤麻未

町にクリスマスソングが響くイブ前日の昼、ラムとテンを連れての買い物帰りか、あたるはデパート屋上でヨーヨー遊びに興じていた。
糸を操り右に左に上に下、クルクル回す大技を目の前にし、敬遠の仲のテンも思わず拍手してはしゃぐ、が直ぐに普段の憎まれ口に戻って喧嘩する2人を見詰めながら、ラムは幸せそうにマフラーを編んでいた。
そこへあたるのクラスメートの男子4人と女子2人がやって来る。
「こんな所で会うとは奇遇だな~!」と喜ぶメガネ・パーマ・カクガリ・チビ、だが私設ラム親衛隊の彼らとの出会いが偶然なんかでない事を知ってるあたるは嫌な顔。
とはいえ仮にも親友同士、肩をバシバシ叩き合い、男の友情を深めるメガネとあたる、その傍らでマフラーを編んでるラムに気付いた女子は興味深げに尋ねた。
「ダーリンにあげる物だっちゃv」とにっこり笑って答えるラム。
それを聞いたあたるは「俺は頼んどらんぞ!」と迷惑顔をするも、ラムは自分がプレゼントしたくて編んでるのだと気にしない。
若い身空で女房気取りの女に付き纏われる不幸を嘆くあたる。
何時もだったらここでお決りの電撃がお見舞いされるとこだが、何故か今日のラムはしおらしくして居る。
調子に乗ったあたるはヨーヨーで女子のスカートを捲ったりの悪行三昧、終いにはテンを連れて先に帰れとラムを邪険に追い払う。
哀しげな顔で、それでもあたるの言う通り、テンを腕に抱き、その場から飛び去るラム。
健気な彼女へのあまりの仕打ちに、私設ラム親衛隊は怒り心頭、「ふられたって知らんぞ!!」と、あたるを厳しく詰るが、彼は「羨ましければ立場を譲ってやっても良い」とせせら笑う。
「但し…ラムにも選ぶ権利が有るけどな~♪」
何処までも傲慢極まりない言い様に、4人の堪忍袋の緒は遂にぶち切れた。

「大体からしてな~!!俺達の憧れのあの天使の様なラムちゃんが、ぬぁ~んでよりにもよってあの先天性突発的獣欲魔のあたるに惚れなきゃならんのだぁ!!!俺にはどうしてもラムちゃんの気持ちが解らん!!あのアホのあたるのどこに惚れたのか!?顔は最悪頭は最低性格俗悪経済力0…世の中間違っとる!!俺には絶対そんな不合理許せんぞぉ!!制裁だぁ!!天誅だ!!折檻だぁ!!!…あたるの野郎に正義の鉄槌を加えてやる!!ラムちゃんの目を覚まさせてやる!!あたるの魔の手から解放してやるんだ!!その為には…どんな卑劣な行動も全て正当化されねばならんのだぁぁぁ――おっちゃんコロッケー!!!!」
牛丼マック焼ソバ屋台のたこ焼きケンタッキーチキン立ち食いソバと梯子食いして練り上げた計画は恐ろしいものだった。
「組野おと子」なる架空の人物からの偽ラブレターで、あたるを騙しラムが幻滅するまで恥を掻かせる、あわよくば、あたると別れたラムを我が物に…という狙いも無論根底に有った。
真っ赤なキスマーク(Fromメガネ)付の、でっち上げラブレターを渡しに、あたるの家を訪ねたメガネ達は、2階に居るラムに聞えるよう、「おまえに憧れてる美女から預かった」と嘘を吐く。
美人からのラブレターと聞いてあたるは大喜び、毛筋も疑わずデートの誘いに乗る――背後で聞いて居たラムの電撃が炸裂した。
だが見知らぬ美女という餌を前にしたあたるは屈しない、「電撃をぶちかましたければやれ!!俺は断固おと子ちゃんとデートする!!」と宣言するあたる、彼の強靭な意志にむしろラムは怯むのだった。
「ダーリンを好きになる女なんて絶対何処かおかしいっちゃ!!」
「そうだなぁ、おかしいなぁ、ラム」
あたるの部屋に場所を移して説得を続けるラム、だが彼の心は既に明日のデートに飛んでいた。
泣いて縋っても彼女を顧みようとしない、業を煮やしたラムは部屋を焦土に変える程の電撃を放ち、UFOへ飛んで帰る。
黒焦げになって白目を剥いたあたるの横、とばっちりを食い黒焦げになった4人は、ここまで計画通りな事にほくそ笑み、あたる同様意識を手放すのだった。

夜、ラムはUFOの上で物思う。
「どんな人なのかなぁ?うちより美人かなぁ?」
後を追って来たテンが説得する、あたると別れて星に戻った方が、ラムちゃんの人生の為になると。
そんなテンの言葉に、ラムは深い憂いの眼差しで呟いた。
「それが出来れば…うち悩んだりしないっちゃ」

同じ頃あたるはトイレの鏡を前に明日のヘアースタイルを決めており、扉向うでは父親が必死の形相で便意を堪えていた。
更に同じ頃4人組はジュース自販機の前で決起集会を開いていた。
「明日のクリスマスイブこそ、あたる!!…おまえにとって生涯忘れ得ぬ最大の厄日にしてやる…!!」
イブ前夜の町にメガネの哄笑が陰に篭ってこだまする。
彼の掌の内のコーラ缶が、あたるの運命を暗示するが如く、ぐしゃりと音を立てて潰れた。

翌日の当日、メガネは喫茶店で仏滅女学院№3の美女を、1時間5千円で「組野おと子」役にスカウトする。
「諸星あたるという男とデートするだけで良いの?」
「いや、肝心なのはここからだ。この諸星という男、美人と見ると襲いかかる癖が有る。そこでだ…襲いかかるあたるに肘鉄をかまし、公衆の面前で完膚なきまで恥を掻かせて貰いたい!」
「あたるって人が私好みの素敵な彼だったら…?」
「断言しよう、その心配は金輪際無い!」
「やるわ!」
「では、今日午後4時、喫茶ピグモンで!」
契約の握手を交わして別れるのと入替わりに、カクガリがマッチョな大男を連れて来る。
「紹介しよう!俺の友人で、先勝高校プロレス研究会代表、350パウンド2分の1、Mr.ヒポポタマスだ!勿論、ラムちゃんの大ファンでもある」
「という訳で、あたるが彼女に襲いかかった時を狙って、徹底的に傷めつけて貰いたい!」
「任せておけ!」
「では今日午後4時、喫茶ピグモンでっ…っ!!」
(メガネが)痛みを覚えるほど固く握手を交わして別れるのと入替わりに、パーマが眼鏡をかけたルポライター風の男を連れて来る。
「紹介しよう!赤口高校で新聞部の部長をやっている、俺の古い友人だ。無論、ラムちゃんの大ファンでもある!」
「という訳で、今回のスキャンダルを切っ掛けに、あたる撲滅キャンペーンを展開して貰いたい!」
「引受けた!」
「では、今日午後4時、喫茶ピグモンで!」
握手を交わしたそこへ、ウェイトレスがラム親衛隊最高幹部会議長宛に電話がかかって来た事を告げる、メガネが受話器を取ると相手は同会突撃隊長のチビだった。
彼にはテンを買収しラムを現場に連れて来る役目が任されていたのだが、肝心のラムが朝から行方不明なのだという。
徹底的瞬間をラムに見せなければ計画は成功しない、テンと協力して必ずや彼女を午後4時迄にピグモンへ連れて来いと約束させ電話を切ったメガネは、パーマにあたるとコンタクトを取るよう指令を飛ばす。

その頃ラムは賑やかな人通りを所在無く歩いていた。
とそこへパーマが雑踏を掻き分け走って行く。
焦る様子が妙に気になったラムは飛んで後を追う、着いたそこは公園で、あたると4人組が今日のデートをめぐり、賭けをしていた。
「おまえらの目の前でおと子ちゃんとキスをしてみせる!」と息巻くあたるを、4人組は「全財産を賭けるか!?」と挑発する。
あたるが立ち去った後4人組は彼を一斉に嘲笑い、おと子役に払うバイト料と必要経費もこれで落せると喜び合うのだった。
公園内に聳える時計柱の上から話を全て聞いていたラムはホッと胸を撫で下ろす、と同時に偶には良い薬だと今回はあたるを助けない事を誓う。
だが時刻が迫るにつれ、彼女の胸は酷く痛んだ。
自分がこんなに思っているのに他の女とデートをしようとしたあたるが悪い…自業自得と思っても愛する男が恥を掻かされるのは見たくない。
「馬鹿なダーリン…でも…それでもうちは、ダーリンが好きなんだっちゃ…ダーリンを馬鹿にするとうちが許さないっちゃ!!」
公園の時計が4時の鐘を打つ、テンが彼女を呼びに来る、ラムは己の素直な気持ちに従い、空を駆けるのだった。

その頃、仕度に手間取り遅刻した組野おと子役は、急いで通りを走っていた。
その前に立ち塞がる女――誰に知られる事無く、舞台女優は幕裏へ退場した。

約束の時刻を30分も過ぎ、緊張感が限界まで達した喫茶ピグモンの自動ドアに影が映る。
喫茶に居た者達の視線の前に現れた美女は、メガネが知る「組野おと子」ではなく、角を隠して地球人の服装に身を固めた――ラムだった。
正体に気付いて驚きの叫びを上げそうになるあたるに、ラムは「罠に嵌って恥を掻きたくなければ芝居を続けろ」と耳打ちする。
呆然と固まった一堂の前で、訳が解らないまま、ラムとキスをするあたる。
2人きりになる為喫茶を出て行く2人、敗北を知らされたメガネの髪は、一瞬で白く変ってしまっていた。
「…我が事…終れり……!」

ガタンゴトンと電車が走る高架下で、あたるは4人組の企み全てを、ラムから聞かされた。
「全財産必ず払わせてやる!!」と激しく憤るあたるに、ラムは「自分が助けなければどうなってたか!」と恩着せる。
ラムにまた借りを作ってしまったと、苦々しく呟きながら彼女に目を向けた彼は、ふとその横顔の美しさに見蕩れた。
「ラムって…こんなに可愛かったのか…」
ラムがあたるの為に編んだマフラーを取り出す、彼の首に巻いた瞬間、空から雪が舞い降りた。
先に帰ろうと宙に浮んだラムの手を、あたるの手が引き止める。
「…もうちょっと…一緒に歩こうか…?」
頬を染めてのあたるの言葉に、ラムは満面の笑顔で頷き、2人は手を繋いで雪のイブの町を歩いた。

…初の30分1話。
フジTV局と製作側の思惑としては、前番組の「Dr.スランプ」とセットで、小さい子向けに売出す積りだったんだろう。
だから「Dr.スランプ」と同じく、前半15分後半15分の2話構成にしたり、テンや金太郎を前面に押出したりしたんだろうけど、放送を続ける内にファンとの意識のズレを感じ出す。
「うる星やつら」のファンは小さい子ではなく中高生に多い事に、スタッフは暫く経ってから気付くのです。
開始当初は「つまんね」って意見が連日届いてたそうで、今も昔も人気漫画が原作のアニメは大変だなぁと同情。
で、そんな風に迷走していた中、放送されたこの「ときめきの聖夜」は、ファンから大反響を呼び、以降のアニメうる星の軌道を決定付けた。
中高生向けのラブコメ、かつマニア向けの演出。

原作も初めブラックなギャグが主流で、この回の元になった「君待てども…」は、普段と違うラブコメテイスト。
それ故反響が大きく、原作もまた「君待てども…」以降、あたるとラムの恋愛主体の、ラブコメへと移行してく事になる。
原作とアニメ双方のターニングポイントとなったわけ。

また、この回の演出を担当した押井さんが、スタッフ内で権力を強める切っ掛けにもなった。
押井さんは1話から小さい子向けでなくマニア向けに作ってた、その押井さんの演出回がファンから最も人気を呼んだ事で、製作側から「押井に任せりゃ売れる!」っつう信頼を勝ち得たんすな。
もっともラブコメ色については押井さんが好む所でなく、本人曰く「ファンサービスで仕方なく」入れてたらしいけど。

実際、他の回が低調だった分、この回の出来は群を抜いて見える。
原作に在る元の話の骨子のみ抜き出し、「クリスマス」というイベントを使って、原作以上にインパクトの有るストーリーに仕上げてる。
原作では他の男子が面堂への対抗策にあたるを利用するという筋書きを、アニメではラム命の4人組があたるに制裁するというものに。
変更した理由はアニメでは面堂が未登場だったからで、しかし代役に充てたメガネがこの回で強烈に存在を主張、以後レギュラーに仲間入りしてしまった。
4人組は原作では初期に登場、ただのモブキャラなまま、何時の間にやら退場してしまった、だからアニメのメガネ達4人は、ほぼアニメのオリジナルキャラと言える。
特にメガネ役を演じる声優の千葉繁さんが巧かった為、押井さんが出番を段々増やしてったんだろうけど、原作キャラ並に人気を得るアニメオリジナルキャラって、相当稀有な存在だと思うよ。(大抵ファンから存在を無視される)

今観直しても優れた演出に唸らされる回で、個人的には喫茶店での張り詰めた空気の表現の見事さを挙げたい。
コップの水をがぶ飲みするパーマ、盆をカタカタと鳴らすウェイトレスには爆笑した。
モブキャラの仕草にまで気を遣ってるなんて今のアニメにも少ないよ。
窓から射す光を透過光使って表現するのが如何にも押井さん流。
BGMの選択も非常に良かった、「紹介しよう!」と畳み掛けるシーンなんか、BGMの力が有ってこそ活きてる。(笑)
ラストの聖しこの夜も「良い話」に相応しい選曲だったと思う。

とまぁ褒める点しか見付からない名エピソードだけど、敢えて気になった箇所を挙げると「しのぶ」。
この時はまだあたるの恋人だったのに、全く存在を消されてる彼女が不憫…。
原作の様に本当だったら面堂登場以後に、このエピソードが放送されてたら、蟠り無く観られたんだけど。(しかしメガネの活躍は無くなったろうな)
クラマ姫登場回もそうだけど、アニメのあたるは「ラムが好き」と、最初から主張してしまってる。
しのぶは最初から蚊帳の外に居るわけで、原作以上にしのぶの不憫さが際立ってしまった。

(個人的評価) 脚本○ 演出○ 作画○ …この傑作が無かったら、アニメうる星は1年で終了してたかもしれない。



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