瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

秋那須美味街道2

2008年10月02日 20時47分01秒 | 旅の覚書
涼しくなってきましたね~。
どちらさまも風邪引かないよう御用心。

それでは前回の続きです。




食後、宿泊書を書かされ、鍵を貰う。
チェックインの14時には未だ間があったけど、部屋は既に用意してあるから~って事で、2人部屋に案内して頂いた。

泊る部屋は庄屋の館の2階。
うちらが居た食堂から、階段上って直ぐのとこでした。
縁側でスリッパに履き替え、ペッタンペッタン引き摺りながら、太い木を組んで拵えてある急階段を上ります。
縁側横の靴箱にはスリッパと下駄が用意してあって、ちょっとした散歩なら下駄でOKって感じだった。

記事上の写真は2階から1階を見下ろしたもの。(↑)
このヘラジカの首は庄屋の館のシンボル、かなり昔から飾られている。




↑2階にはこんなリビングチェアが。
食堂内もそうだったけど、切り株で拵えたテーブルというのが、如何にも牧場らしい趣だ。



↑リビングを横に、奥へ行くと風呂が在る。
風呂の紹介についてはまた今度。


さて階段側の二重戸を開け、部屋に入ります。




↑部屋は2人で使うには惜しい、二間続きの民芸調和室でした。
馬の絵が飾ってあるのが流石牧場、鄙びた雰囲気の中、最新式薄型TVが異彩を放ってます。
寒いとこらしく、ヒーターが2台設置されていた。
窓を開ければ駐車場と売店が目の前に見え、お陰で泊ってる間、牧場を訪れる客の動きが一目で掴めたです。



↑次の間の隅には囲炉裏が切ってあった。(無論飾り…使ったら火事必至だ)

この牧場には5回程泊ったけど、何時もは一間の部屋なんすよ。
どうやら私ら以外宿泊客が居なかったらしく、本来なら大家族用の部屋を用意して貰ったみたい。
そもそも1日3組しか宿泊受け付けてない宿なんで。
所謂民宿、牧場経営の片手間にやっているのか、広く宣伝もしてない様子。
宿の予約を入れた際も、1ヶ月切ってたというに、しかも土日であっさり取れたくらいだから。

個人的に那須行くなら、此処が最もお勧めの宿です。
難点はアクセスかな、南ヶ丘牧場は黒磯駅から出る1本しかバスルートに入っておらず(那須ハイランドパーク行)、車が無いと行き帰りがかなりめんどいのです。
それと夏場は虫が出る…風呂にプカプカ浮いてるとまでは言わんですが、牧場ですから出ないって事は無いです。
ちなみに風呂は温泉でなく、普通の家族風呂サイズ。
当り前だが露天風呂なんて代物も無いよ。
兎に角民宿なんで、過度な期待は持たんように。
しかしそれでも1泊1万円もしない値段で、此処ほど寛げて御飯の美味しい宿は、日本広しと言えどあんま頭に浮かばない。
泊るなら秋…寒くなると炬燵を出して貰えるのも嬉しい。


部屋に入って休むと根っ子が生えるのが道理。
なんかこのまま夕食まで寝てようかモードにお互い陥りそうになる。
しかし此処へ来るまでガイドブックを読んで、行こうと決めてた場所が在ったんで、意を決して起き上がったのでした。

場所の名は『英国伝統紅茶館 アンティーズ』。

ガイドブックの地図によると、それは南ヶ丘牧場の周囲に在るらしかった。
なんでも「約130年前の文献にも記された、幻の英国伝統紅茶が楽しめるカフェ」だとか。
ネットで口コミ読む限り、評判は悪くないみたい。
お互い通って程ではないが紅茶党、「近所に在るなら行ってみないか」っつう風に、意見が一致したのだ。
ただ何分初めて行く店だしと、先に店に電話して、予め場所を伺ったのでした。
以下、その時店主と私がした会話。(↓)


「はい、アンティーズです」
「ガイドブックを読んでお店を知った者ですが…本日これから伺おうと思いまして、宜しければ行き方を詳しく伺いたいのですが…尚今居るのは南ヶ丘牧場です」
「南ヶ丘牧場の…駐車場ですか?お車でお越しですね」
「いえ、徒歩で」
「徒歩で!?……そこからなら2kmは歩きますよ!?」
「え!?2km!!?…ガイドブックの地図見ると、牧場の直ぐ傍に思えるんですが(汗)」
「牧場は広いですからね~」
「……え~と……兎も角行き方を教えて頂けますかね?(汗)」
「はい…牧場の駐車場を出て、舗装された道路をひたすら下ります。すると前に『もんじゃ若』と言う大きな看板が見えて来るでしょう。そうしたら左に折れ曲って更に道を下ってください」
「有難う御座います…それじゃこれから、頑張って伺いますので(汗)」
「はい、お待ちしております(笑)」


この時点で「やっぱ止めようか」モードに、お互い陥りそうになる。(汗)
だがわざわざ行き方を教えて貰い、「これから伺う」と言ってしまった以上、行かないのも失礼だと思い直し、頑張って2kmの坂道を下る覚悟を決めたのでした。

ちなみに南ヶ丘牧場の建つ場所も、結構急な丘陵地帯になっていたり。
牧場内行ったり来たりするだけでも、かなり骨なんすよ実は。


牧場を出て十字路になってる道を、店主が教えてくれた通りに、牧場沿いに下って行きます。



↑その途中で見かけた馬(ロバ?)。

敷地の外に思えるも、どうやら此処も南ヶ丘牧場の土地らしい。
柵で囲ってないから判らんですが、知ってる以上に広大な牧場の様です。



↑暫くして左横に『癒しの森 那須渓流パーク』なる釣堀が現れた。
何度も牧場に寄っているくせに、此処の存在に今迄全く気付かんかったです。(汗)
客の姿が殆ど…いやあんま見えなかったけど、隣に吸い取られてるからじゃ…。(牧場にも釣堀在るから)(汗)
結構綺麗で、滝の流れる良い感じの釣堀でした。
HPもかっちょ良いのにね…。(→http://www1.ocn.ne.jp/~k-park/)

車が激しく往来する坂道をひたすら下る。
何時しか周りは木ばっかりになり、川の水音が響く寂しい道に変っていた。

次第に不安になって来る2人。

森林の中に細い道を見付けた友人が、「ひょっとしたら此処を曲がるんじゃ?」と言って来た。


「地図見るとそろそろ左に曲がるっぽくね?」
「いやしかし店主の説明によると、大きな看板が見えた所で、舗装された道を左に下る筈。看板見当たらんし…この道全然舗装されてないじゃん(汗)」
「誰かが看板壊しちゃったんじゃね~の~?なぁ、もっぺん電話で聞いてみろよ~。もしかして間違ってたら、目も当てらんねーよ」


疲労感で不安が増幅した友人がしつこくせっつくので、再度店に電話をかけると、今度は優しげな声が印象的な夫人が出られた。


「済みません、先ほど店への行き方を伺った者なんですけど…今渓流パークを過ぎた坂の途中に居まして…何本か左に細い道が在る場所に出たんですが、此処を左に曲がれば宜しいのでしょうか?」
「え~と…看板は見えますか?」
「いえ…道も舗装されておらず、不安だったもので…」
「ああ駄目です!舗装された道を下ってください!(焦)必ず『もんじゃ若』と言う大きな看板に出た所で、左に折れ曲ってください!」
「隣の南ヶ丘牧場から歩いて来たんですが……本当、遠いんですね~」
「ええ、牧場から約2kmは有りますから…(笑)」
「……約2kmですか(苦笑)」
「ええ、渓流パーク横の坂道を、約1km…」
「…………1km(汗)」
「そして『もんじゃ若』の看板の所で左に折れ曲って、更に1km……」
「……………………1km(汗)」


お茶を飲むだけで一苦労(汗)

マイカーが無きゃ生きてられんわな、そりゃ。


電話で聞いた後は腹を据えて、黙々と下って行った。



↑坂道20分下った所で、漸く現れた『もんじゃ若』の看板。
行って確認はしてないが、多分もんじゃ焼の店なのだろう。(とか言って案外雑貨屋だったりしたら驚く)
予想してたより大きくない看板だったが、一緒に表示されてる看板の中に、ちゃんと『アンティーズ』の物が。
良かった、道は間違ってないらしい。

左に折れ曲って入った坂道は、今迄と雰囲気が大分違う物でした。
建物が全体的にお洒落で英国カントリー調なのよ。
どうやら此処らにはペンションや別荘が多く建ってるらしい。
それこそ泊るには車が必要だろう。



↑建ってた内の1軒、『ペニーレイン』と言う名のベーカリー。
この店は那須に於いて、知る人ぞ知ると言う風な、名店らしい。
以前TVチャンピオンに出た事も有るそうな。
『1960イマジン』と言う名のペンション内に構えてるベーカリーで、ペンションの方も人気らしい。(HP→http://imagine.nasunogahara.co.jp/)
私は寄った事無いが…折角だから何か買ってけば良かったな。
この時は「目的地に辿り着く」事で頭いっぱいだったから。(汗)




↑下って下って下って……更に20分経過した所で、遂に店の目印である英国旗が現れました。
いや~何だろ?この到達感!
上手い具合に日差しがサーッと降り注いで、より感極まったのを覚えてる。(笑)



↑これが『アンティーズ』の外観。
噂通りの英国調です。
小さくはありますが、綺麗なイングリッシュガーデンが拵えてあり、テラス席も用意されていた。
薔薇の咲くシーズンに訪れたら、一段と美しかったでしょうなぁ。



↑リースの飾ってあるドア。
呼び鈴が有ったんで思わず押してしまいそうになるが(私は押した)、普通に入って構わないらしい。

中へ入ると店主&夫人のお出迎え。
店は夫婦で切り盛りしてるらしい。



↑内装の全てを私達夫婦がコーディネートしました~って雰囲気でした。
飾られた銀製の茶器等、全て英国から買い揃えたよう。
置いてある書籍はイングリッシュガーデン、花、ハーブ関連の物。
ハロウィンが近いという事で、紙で作ったカボチャやお化けが、沢山吊り下げられてて可愛かった。

小さい店ながら、かなり繁盛してました。
自分らが居た間、引切り無しに客が訪れてたし。
んで大抵犬連れたマッダームなの。
別荘の建ち並ぶ那須では、犬を飼ってる人が多い。
だから大抵の店が「犬同伴OK」を謳ってる。
入店してる犬は躾が行き届いてるらしく、皆縫ぐるみの様に大人しかった。(そうでなくちゃ連れて来れんか)
という訳で落ち着いてお茶を飲んでられますんで御心配無く。



↑席に着くと目を引く、主人拘りの説明書き。
「!」から強い気持ちが量れるようです。
何でも英国紅茶の講師をしてる方らしく、日本に誤った紅茶の知識が蔓延してるのが我慢ならなくて、店を開き伝統有る英国紅茶の伝道に努めてらっしゃるらしい。

私も友人も、その拘りの英国伝統紅茶を戴いた。
他私のみセットで今月のケーキも。



↑数分後主人がティーコジーを被せたポットと、8分計れる砂時計をテーブルへ置きにいらっしゃった。
私は丁度トイレに入ってた為、残念ながら聞けなかったのだが、友人曰く「うちの紅茶は8分蒸らしてから飲んで下さい。それだけ時間をかけても全然渋くならないのです」と仰ったとか。

砂が落ちるのをじっと見詰る事8分。
ティーコジーを取って、紅茶をカップに注ぎました。



↑物凄くでっかいティーポット。(写真奥に写ってる手は友人の物)
2人分入ってるせいだけど、カップに注ぐのに重い重い。
これも英国ブランドの茶器なのでしょうが…自分は食器類にあんま詳しくないんで判らず。(御免なさい、ってか聞けば良かったな~)
デルフト焼とかマイセンっぽく見えるな~と思いつつ、英国ブランドならミントンとかウェッジウッドだろうか??



↑ミルクは冷やしてあった。
ちなみに砂糖は市販のスティックシュガー。
砂糖を差してる容器が可愛かったが、写真は撮り忘れちゃいました。



↑英国式の紅茶はミルクティーで飲むんだよ~って事で、ミルクティー。
カップだけデザインが違うのが微笑ましい。
レモンを入れるのは米国式で、レモンのメーカーであるサン○ストが、市場拡大を狙って宣伝した飲み方だそうな。
んでもレモンティーも美味しいと思うけど。(笑)

主人の言葉通り、時間を置いても全然渋くならないのが、凄いと感じた。
だから砂糖を入れずに飲めるし、ストレートでも充分に飲めるのですよ。
したがって差し湯なんかも必要無い。

紅茶に嵌ってて、本式の英国紅茶がどういう物か知りたいって方は、機会が有れば行ってみてはと思う。
そんなのはどうでもいい、間違った紅茶でも好きだから良いんだっつう方には、ちょっと堅苦しく感じられるかも。
それと御夫婦で経営する小さな店ですから、ホテルや高級カフェ並のサービスは期待しないように。
いや居心地はとても良かったですよ。
何より御夫人の立ち居振る舞いが優しく上品で癒されました。



↑手作りのケーキも、とっても美味しかった~。
9月のケーキで、『ベークウエルタルト』と言う、英国伝統の菓子らしい。
要はアーモンドタルトですね、間に挟んだラズベリーっぽいジャムが、アーモンドの風味に良く合ってました。
上に鏤めてあるアーモンドスライスも、パリパリ香ばしくて美味しかったv
10月はハロウィンに因み、パンプキンパイだそうです。(HP→http://www5.ocn.ne.jp/~aunties/index.html)


帰る時には、小雨が降っていました。
つっても空は晴れていたので、天気雨だったらしい。
前に見える山は霧がかり、陽が直に暮れそうだったので、急いで道を戻りました。
行きと違い、上りだったんで、きつかった……。
なのに行きよりも10分早く着いたのは不思議思議。




【続】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 秋那須美味街道1 | トップ | 秋那須美味街道3 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。