瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

うる星感想その5 ―TVアニメ130話~172話迄―

2007年09月27日 19時50分19秒 | 漫画&アニメ
十五夜には間に合わなかったけど、ふふさん曰く満月は今夜だとか…。(↑)
名月愛でつつ(雲で隠れて見えないけど)、前回の続きです。



★第130話 異次元空間 ダーリンはどこだっちゃ!? 脚本○ 演出○ 作画○ マニア度○ 総合○

「桜咲く春、ラムは異次元に迷い込みました。

 鬼族が勝ち、地球が負けた世界。
 面堂をダーリンと呼んでいる世界。
 男と女が逆転してる世界、そして…。
  
 ――果たしてラムは、元の世界に戻れるのでしょうか?」

…ビューティフル・ドリーマーに似てるな~と思いつつ、結構楽しめました。
特に最後…自分の夢に描く理想のダーリンで在りながら、ラムがそれを選ばなかったのが印象深い。
しかしあの美形あたるには、正直笑ってしまった。
ラムじゃなくとも「お前誰だ!?」と言いたくなるわな。(笑)

押井氏に代って新しくチーフディレクター(監督職、略してCD)に就いた山崎和男氏の言によると――

「自分がこれから創るシリーズは、押井さんが今迄創造した世界とは違うし、原作漫画の世界とも違うだろう。…けどパラレルワールドの様に、沢山在る『うる星世界』の内の1つだと思って貰いたい。」

――そういう思いを篭めて作った回だったそうな。

成る程…話の最後にラムが降立った世界は、今迄と似ている様で少し違う、山崎ワールドだったと…そう考えて観れば、中々奥深い味を感じます。
ただそこで「あたる」ではなく、「ラム」を選んだ辺り…山崎監督の中では『うる星』の主役=ラムなんだなと、ムッとしなくもなかったんだけど。(苦笑)

とは言え、新シリーズの第1話に相応しい傑作でした。
舞い散る桜と共に異次元を彷徨うイメージが、とても幻想的で見蕩れます。


・第131話 激突!!女王陛下と愛のラガーマン 脚本△ 演出△ 作画△ マニア度△ 総合△

…前半は面白いです。「行こう…!」「おおっ!!」男子更衣室から出る男共のシーンが渋くて格好良い。逆光が素晴しい効果を上げてますね。(笑)「フォーメーションA」もメチャ格好良い!(爆笑)「プ、プロトカルチャ~!!」とか、ガンダムEDオチとか、ちょこまかとしたパロは面白かったのですが、後半は話の構成がガタガタになってると感じた。何でかっつうと、無理に2本分の原作を繋いであるからで…このパターン、新シリーズになって増えて行くのですが…。


・第133話 き・え・な・いルージュマジック 脚本△ 演出△ 作画△ マニア度△ 総合△

…何もセンチメンタルにしなくてもと感じた。原作同様ドタバタで通した方が良かったんじゃないでしょか。でないとあの口紅の面白さは伝わらない。少女漫画チックなラブコメと捉えるなら、話はそれなりに纏まってるんですが…。


★第136話 大恐怖!おユキついに怒る!! 脚本△ 演出○ 作画○ マニア度○ 総合○

…森山ゆうじ氏描く女の子キャラ達が隈なく可愛い回。
始めから終りまで可愛い女の子ばっかり、さながら美少女アニメを観てる様な…あ、いや。(汗)
原作で出て来る雪男のB坊を削ったのは悪くなく思えた。
何するでもなく、殴られて直ぐ退場しちゃう役所だったし。(笑)
1番の見せ場は弁天のバイクシーン、実に爽快なのです。


★第137話 テンちゃんの不思議な恋の物語 脚本△ 演出○ 作画○(クセは強い) マニア度△ 総合○

…チェリーのナレーションには思わず笑っちゃったけど(特に冒頭)、無くても良いと感じたり…。
「その件は○○課に…」という、市役所ネタに爆笑した。
ストレートに「良い話」にはせず、ブラックギャグを鏤めるという、さり気に毒の有る吉永氏の演出は結構好きです。
作画はクセは有るけど、綺麗だと感じました。(特に夕暮れ、別れのシーン)
それにしても原作者の高橋氏は、幽霊話が実に巧い。(あ、話ズレてる?)


・第139話 愛と闘魂!グローブVSパンツの決闘!! 脚本△ 演出△ 作画○ マニア度△ 総合△

…パンツは兎も角トウシューズまでは要らなかったと思う。(笑)どうせならキックシューズとか…それで三つ巴の不毛な闘いを繰り広げる展開のが面白くなったんではないかな~と。実況も古館っぽくして。(笑)後は……ポニーテールのラムが可愛かったなと。


・第142話 妖怪退散!艶姿サクラのおはらい!! 脚本△ 演出△ 作画○ マニア度○ 総合△

…原作2本を無理矢理繋いだ為、話の構成がガタガタ…ひたすら森山ゆうじ氏の描く女性キャラが可愛く美しく、サクラさんのセクシーさに酔え!…な回でした。決して親と一緒には観ないで下さい…気まずくなるから。(笑)


・第144話 またまた登場!愛の狩人クラマ姫 脚本△ 演出△ 作画○ マニア度○ 総合△

…お話は原作そのままです。今回原作が前後編と1話だけでなかった事が幸いしたっつか…週刊漫画1話分って、アニメで流すと丁度15分位になるんですよ。だからまんまトレスしてぴったりの長さなんですね~。(笑)ただ最後のレイの心象風景は?で、ぶっちゃけ余った時間を埋める引伸ばしに感じた。(汗)絵は土器手司氏が作監してるお蔭で、とても可愛く綺麗です。


★第145話 キツネのかた思い、恋すれどせつなく… 脚本○ 演出○ 作画○ マニア度○ 総合○

…新シリーズになって嬉しかったのは、「しのぶ」が魅力を取戻した事。
ぴえろ時代は「普通の女の子=現実に居る女の子」という解釈から、リアルに女の子の嫌な部分を演じさせられ、不憫に感じたものですが…。(汗)
ディーン時代になってからは、むしろ「普通の女の子」らしい優しさを発揮し、蘇った気がするのです。
過去形で話を組み直した点に、脚本満おぜう様と演出山崎氏の技を感じました。
都会の喧騒に揉まれながら、オロオロとしのぶを探す仔狐の仕草が、実に感じ出てたです。
そして作画…背景も含めて、雨の匂いまで感じられる様な、素晴しい出来でした。
BGM(ビューティフル・ドリーマーのだったり)がまた、話の雰囲気に良く合ってるんだ。


・第147話 怪談!カラーンコローン女子寮!! 脚本△ 演出△ 作画○ マニア度○ 総合△

…牡丹灯篭を出したのは、案として悪くなく感じたけど…時間を長く割いて描写した割には、後半話の外へ飛んでっちゃってましたね。(汗)お露さん役をサクラさんにしたのが意味不明。今回のゲストは了子ちゃんなのだから、了子ちゃんにしなきゃ筋通らんでしょうに。(絵コンテ担当の趣味?)毎度救いは作画の美しさでした。


★第149話 ランちゃんパニック、友引町に明日はない 脚本○ 演出○ 作画○ マニア度○ 総合○

…ぴえろ時代のスタッフが、最後に残して行った傑作かと。

「ランちゃんが亜空間の店に行って買って来たのは、超新星の欠片。
 アクセサリーにする前に、帰り道の途中で落しちゃったから、さあ大変。
 日没までに探さないと、友引町の真ん中で、ビッグバン級の大爆発!?」

久方振りに「うる星」らしい、ナンセンスギャグを観た気がする。
彩色が間に合わなかったのか、モブシーンの塗り方が手抜きで、ちと迫力が不足してたのは残念だったけど。
その他については文句無し、針小棒大な展開が爽快でした。
見所は「巨人の星」パロ…くだらないんだけど、凄い迫力で笑ってしまった。(笑)


・第150話 愛のすみかはいずこ?栗子と長十郎 脚本× 演出△ 作画○(クセは強い) マニア度△ 総合△

…原作話の面白さに救われてる気がするな~。(苦笑)原作通りなあたると面堂の殺し合い部分は面白かったです。ただそれ以外は…脚本がもう支離滅裂で。(汗)オチのナレーションは一体何??(汗)


・第152話 先輩をやっつけろ!ご存知三人娘の逆襲 脚本○ 演出○ 作画○ マニア度○ 総合○

…ラムが可愛い。特に最後のマリンルックが可愛い。土器手司氏が作画を担当してたので、ひたすら絵が可愛く綺麗だった。お話自体は原作通りなんですが、それでもラムの癇癪を原作以上に拡大させたりと、巧く膨らませてたと思う。街がどんどんズダボロに破壊されてく展開が楽しいのだ。★は付けなかったけど佳作として挙げたい。


★第154話 死んだらあかん!了子の特製ワラ人形!! 脚本○ 演出○ 作画○(クセは強い) マニア度△ 総合○

…了子ちゃんの底知れぬ魅力が出てたと思う。(笑)
作監を担当した遠藤祐一氏の作画タッチも相まって、全編に怪奇色が漂っていた。
展開はギャグなんですけどね。
暴れ牛やら暴れ象やらの畳み掛けが見事、面堂が心底可哀想でした。(爆笑)
「帰って反省して爪でも切りましょう」という、よく解らん台詞にも大ウケした。
唐突に始まるあたるの心象風景が、浮上がらずに効果を発揮してる所が凄い…演出家の力を感じます。


・第155話 お見合地獄!ヨロイ娘は美女?怪女? 脚本△ 演出× 作画○ マニア度○ 総合△

…前後編に渡って飛鳥ちゃん登場の巻。冒頭の甲冑装着しての疾走シーンがお見事。面堂の夢の中での結婚式で、皆がチビキャラになって逃げてくのが可愛い。話の展開は原作に忠実に、美しい作画で表現しとりました。ただ、暴走してる割には後半退屈…理由はアングルが全く変らないからで、つまりはコンテが悪いっつう事だ。で、トンちゃんは原作通りの愚図男に戻す事にしたらしい。(笑)


・第156話 ヨロイ娘の恋!乙女心はグラグラゆれて 脚本△ 演出△ 作画○ マニア度○ 総合△

…こちら後編。前編に負けず劣らず素晴しい作画の出来。「土器手・森山ラム」という呼び方は、この頃に確立したかと。両氏が描く、原作よりも目の大きい、グラマーなラムは、ファンから大人気を博したのです。話は後半やたらマニアックな展開となり、正直うる星ではなく『トップをねらえ!』に思える。(笑)実はこの回『エヴァンゲリオン』の監督として有名な庵野秀明氏が参加してたと聞いて、ああ成る程と頷いた。了子ちゃんが了子ちゃんらしくないのがなぁ…。


★第157話 死ぬほど会いたくて!純情キツネ再び!! 脚本○ 演出○ 作画○(クセは強い) マニア度△ 総合○

…145話では昼の街、今回は夜の街を行く仔狐編。

静かな秋の夜、仔狐は不思議な夢を見ました――

仔狐視点で見た、人間世界の夜の描写が巧い。
音楽に驚かされて逃げる場面とか、屋台で酔っ払った温泉先生に絡まれる場面とか。
前半に出した人間達を、そこで終らせずに、後半ちゃんと話に参加させてるのが偉い。
ただ…夢オチにしなくても良かったんじゃ~と思わなくもなかったけど。
狐になった皆が可愛かったv


・第158話 おしゃべり花なんかどうわいっきらい! 脚本○ 演出△ 作画△ マニア度○ 総合○

…中盤作画が「ダレ」なきゃ傑作になったかも知れず、惜しく感じてしまった。噂に翻弄され、悲劇に襲われる奴等が愉快痛快。チビの「ロリコンだって人間なんだ~!!!」っつう魂の絶叫には笑った。その後の「俺達皆ロリコンだったんだ~!!!」にも爆笑した。作画に△付けたけど、毎度西島克彦氏が担当したシーンのみ作画が○です。背景のモブキャラの描込みが何時もながら凄い。そしてアニメのラムは少し嫌味な程良い子ちゃんなのですが、今回そうじゃなかった点に新鮮さを覚えました。(笑)


・第160話 ラムの勇気ある決闘!勝利はせこい手で 脚本× 演出× 作画○ マニア度○ 総合×

…原作では名前の出なかったゲストキャラに、名前が付けられた。そうか、「杏」ちゃんって言うのか…。シャワーシーンまで出すサービスっぷりが心憎い。けど話はオチてないし。(汗)ズバリきっぱりゲストキャラの自己紹介は必要無かった。この部分を削れば、ちゃんと落す時間作れたろうに。お蔭で話が破綻してしまってる。作画が美しいのだけが救いです。


★第162話 友引高校サバイバル!生き残るのは誰だ!! 脚本○ 演出○ 作画○(クセは強い) マニア度○ 総合○

…徹底した『13日の金曜日』パロに爆笑。
映画観てから、この回を観ると、尚笑えますよ。(笑)
原作では名前すら無く、冒頭のみの登場で終った園芸トリオのキャラを、巧く膨らましてると思う。
この辺り、160話の演出を担当した鈴○氏に見習って欲しいな~と…失礼ながら。(汗)
キャラが立ってたお蔭か、園芸たのきんトリオは、その後モブシーンで頻繁に出されてました。(笑)
オチも原作以上に無茶苦茶やってて、面白かったと思う。


・第166話 春遠からじ!さびしがり屋の妖精物語!! 脚本△ 演出△ 作画(×に近い)△ マニア度○ 総合△

…一般公募した脚本を元に作った話。実はこれの元話、投稿した当人の同人誌で読んだ事有るんですが…アニメで放送されたのとは全く違い、「雪の妖精があたるに惚れてしまう事で起る、シュールな大惨事」という筋でした。それが何故あたるとラムのメロドラマになっちまったのか…脚色を担当した満おぜう様にしか解けない謎でせう。(笑)無論そのまま放送する訳には行かなかったでしょうが…2人のメロドラマにした事で、(タイトルに出されてるってのに)ゲストである雪の妖精の存在が、希薄になっちまった気がするのだ。


・第167話 夢の中へ!ダーリン争奪バトルロイヤル 脚本△ 演出△ 作画○ マニア度○ 総合○

…放送するには丁度な長さの原作を元にした事で、破綻する事無く最後まで纏まってるなと。(この頃になるとそれだけでホッとしたり…)ただラムがウエディングドレス姿で登場するシーンを、何故止め絵にしたのか…?手抜きに見えちゃうんですけど…。(汗)ラムの戦闘シーンが可愛く楽しい。この部分の作画、『クリィミーマミ』で牙出し優ちゃんを描いて人気を博した、高木弘樹氏が担当してました。(ラムが牙出してる顔に注目…優に似てるでしょう?)


・第168話 またもや三人娘!ダーリン誘惑大作戦!! 脚本△ 演出△ 作画○(クセは強い) マニア度○ 総合○

…のっけから「私…痴漢です。…女の子の夜道の独り歩き…危険です。」なぞとゲヘゲヘ下品に笑いつつ、痴漢に有るまじき親切な忠告をくれた自称痴漢にウケたです。(笑)弁天とお雪の色っぽい表情&仕草に唸った。成る程…セクシーとはそういう事か!(膝ポンと叩きつつ)あたるが見事に変態だ。(笑)傑作とまでは行かないまでも、まぁ面白かったです♪


・第172話 友情パニック!わいはフグが好きやねん 脚本× 演出△ 作画○ マニア度○ 総合△

…『ど根性ガエル』パロに笑った。テンポは割と良いんですが、脚本が支離滅裂。(汗)テンちゃんとフグの友情劇って…何故そうなるか?(汗)ラスト、あたるとラムとテン(は起き出してるけど)を川の字に寝せた演出意図はよく解らんが、ほのぼの家族してて微笑ましかったです。(笑)



…「精神的、体力的に限界」と、まるでプロスポーツ選手の引退時の様なコメントを残して、押井氏がCD降板。
察するに、原作サイド(&製作会社)と喧嘩した事で、作品にすら関わる気が失せたのが理由じゃないかと…。(坊主憎けりゃ袈裟まで憎し?)(汗)
ただ制作スタジオまで変更したのは不可解…この辺り、やっぱり諸々の力が働いた様な気がするのです。
新しく制作を請負う事になったスタジオディーンは、それまで「アニメうる星」の下請けをしていた会社。
同じタイトルを引き継ぎながら、主要スタッフをほぼ総入替えした事で、新シリーズは全く違う作品になりました。

…とは言え実は158話くらいまで、ぴえろ時代のスタッフも制作に関わってたみたい。
新シリーズ初めに名の出て来る脚本家「浅野佑美」の正体は伊藤和典氏だそう…名前を変えて請負った理由は大人の事情からかと。(笑)
EDクレジットには、新シリーズ突入後半年位まで、ぴえろとディーン連名で記載が有りました。

新しくCDに就任したのが、ぴえろ時代から演出&作画で活躍し、映画2作目で作監を担当した山崎和男氏だった事は、ファンにとって安堵するニュースでした。
山崎氏を推薦したのは押井氏だったとか。
『君去りし後』、『そして誰もいなくなったっちゃ!?』等、氏の演出した回は完成度が高く、その卓越した演出センスを見込んでの抜擢でしょう。

アシスタントディレクターとして、映画2作目で押井氏の演出をサポートした西村純二氏が就任。
シリーズ構成は伊藤和典氏から菅○幸氏に交代。
………正直誰が選んだのか聞きたい。(汗)
もっとも150話辺りで直ぐに柳○茂氏に交代しちゃったみたいなんですが………これについても誰が選んだのか聞きたい。(汗)

音楽スタッフも変った。
加えてランちゃんを演じてた声優(故)井上瑤氏が、インドに旅立ってしまったとかで、小宮和枝氏が新しく演じる事になった。
小宮氏も下手ではなかったのですが、声のインパクトは正直井上氏程無かったのが……。(汗)


色々と難続きな新装開店だったな~と当時を振返りつつ、次回に【続】

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