手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

ひとりでできる!!関節モビライゼーション(直接法)練習法 その1

2011-04-16 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
関節モビライゼーションとは、簡単に言うと関節の可動性を回復させるテクニックのことですが、これには数多くが存在し、次々と新しい名称のものが発表されています。


新しく公開されたテクニックでも、すべてが新しいということではなく、これまで知られている方法に新しい工夫を付け加えることで、独自の技法として公開されています。


新しい知見や独自の視点が加わって進歩していくのは結構なことなのですが、どんどんテクニックが細分化されると学ぶ側にとってはたいへんになります。





それぞれのテクニックが独自性を強調しているとはいえ、関節モビライゼーションという同じグループに属する以上、互いに全く異なるものではありません。


数多くの種類があったとしても、関節モビライゼーションに共通する基本があるはずです。


その基本さえ身につけておけば、どのような関節モビライゼーションのテクニックでも早く習得できるでしょう。


今回はそのような関節モビライゼーションの基本について、ひとりでできる練習法を紹介したいと思います。





理論的な背景はさておき、テクニックを実施する上で、あらゆる関節モビライゼーションに共通している基本とは何でしょう?


いくつか挙げられるかもしれませんが、なかでも私が重要だと考えているのは

可動域の制限を感じとり(評価)、
可動域が増大していくことを感じとり(治療)、
可動域が回復したことを感じとること(再評価)。


つまり「動きの有無を感じとる」というスキルです。





一昨年にアップした、「ひとりでできる関節あそび検査練習法 1~3」は評価と再評価を行うときの大切なポイントを紹介しました。


そこで今回のシリーズでは、特に、治療の段階で求められる「可動性の増大」を感じとるということにポイントを置きます。


この「動きが増大していくことを感じとる」というスキルを身につけておかないと、いくら理論を覚え、モビライゼーションのかたちを覚えても、十分な効果を出すことが難しくなります。


というのも、治療を行う上で必要な刺激の強さや方向を適切にコントロールできないということになるからです。





まずは本題に入る前に、「ひとりでできる関節あそび検査練習法」の1~3をしっかり練習しておきましょう。


「ひとりでできる関節あそび検査練習法1」

「ひとりでできる関節あそび検査練習法2」

「ひとりでできる関節あそび検査練習法3」





これらは「評価」と「再評価」だけに関係するのではなく、治療としてのモビライゼーションを行う上でも、必要なことが含まれています。

とくに重要なポイントは、「骨をつかんだ感触をつかむ」「小さな操作は大きな動作で行う」というところです。


ずいぶん前の記事なので、忘れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。





「わたしはバッチリですよ」という方は、次のことを意識して練習してみてください。


「ひとりでできる関節あそび検査練習法」では、以下のように示指の中節骨と末節骨を固定し、DIP関節の側方すべりを検査します。






はじめに表皮に触れ、圧力が皮下組織、腱を通過し、やがて力が骨に及び固定します。


つづいて、末節骨に側方すべりの力を伝えると、徐々に関節が動き始めると同時に、関節包が少しずつ伸張され始め、やがて抵抗が強くなって動きが止まります。


このプロセスにおけるすべての感触を、感じ取るようにしてみてください。



過去の記事では動かし方を重視していましたが、それが出来たら感じ取ることに集中するわけです。





エンドフィールだけを感じるのではありません。


骨に触れて固定するまで、関節が動き始めて、側方にすべり、やがてエンドフィールとなって止まるまで、さらに中立位に戻るまでのすべてを感じます。


この練習には高い集中力が求められるので、はじめはしんどいです。


けれどこれが上達してくると、検査をしているとき、どの段階で、どのあたりの組織に異常があるか見当がつけられるようになり、機能障害を検出できる力が高まります。





何はともあれ、まずこの1週間、可動性検査の復習がんばってみてください。




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