頭蓋仙骨療法という手技療法のテクニックがあります。
もともとオステオパシーの頭蓋療法を起源として発展してきましたが、現在ではリハビリテーションやボディーワークの分野でも取り入れられるようになり、呼び名もそれぞれで少しずつ異なるようです。
このテクニックは頭蓋骨が動く、それも一定のリズムを持って呼吸のように膨張と収縮を繰り返して動いている、という標準的な医学の知識からすると???なことが前提となって組み立てられています。
動きといっても5~12μm。
ひと昔前まで、仙腸関節は動かない不動関節であると解剖学の教科書にも書かれていたことを思えば、何をもって動くとするかという基準や程度の問題なのかもしれないですね。
その動きがどのようなものによってもたらされるのかについては、脳脊髄液の産生と排出のバランス、硬膜そのもの動き、あるいは脳脊髄そのものの動きなど諸説があります。
またその回数は、1分間に6~10回というものもあれば、8~12、あるいは10~15回というものもありばらつきが見られます。
これほどばらつきがあるなら、もしかしたら頭蓋の動きの中にいくつかの異なるリズムがあって、セラピストによってどのリズムを感じているかによる違いが生じているという可能性もあるかもしれません。
胸に手を当てた時、心臓の動きと呼吸の動きのどちらに意識をするかによって、感じるリズムが異なるということに似ているのかも。
頭蓋の動きはクラニアル・リズミック・インパルス(cranial rhythmic impulse:CRI)と表現されているので、これからはCRIと書くことにします。
CRIのリズムや動きが、何らかの理由で機能異常を起こすことによって、頭痛、頚肩部痛など疼痛症状のほか、内臓や自律神経系の機能障害に加え、不安や抑うつが起こるとされ、頭蓋仙骨療法はそのタイプの機能異常にに対して有効な技法です。
具体的には異常な動きの頭蓋骨にコンタクトし、任意の方向に伸張するなど持続的な刺激を加えたり、CRIと同調しながらその動きを誇張するような操作を加えることで、CRIが正常なリズムと動きに近づくように誘導します。
触れるといっても5gの力で触れて操作します。
はじめて聞いたら「5gってオイオイ、一円玉5枚の重さで操作するの?」という感じですよね。
5~12μmの動きに対して5gの力で触れて操作することから、頭蓋療法はとても繊細なテクニックとされています。
そのようなわけですからCRIを触診して感じ取れるようになるには、ふつうはとても根気と忍耐のいる練習が必要で、ここでつまずいている方も少なくないかもしれません。
今回のシリーズはCRIを触診する練習法を、感じ取れるようになるためのポイントも含め、ご紹介したいと思います。
練習にはいろいろな方法が考えられますが、通常の触診よりも集中力を必要とするので、静かな環境で練習することが望ましいでしょう。
ひとりで行うなら、夜布団に入ったときもよいです。
私は今でも布団に入ったときに練習していて、そのまま眠ってしまうこともよくあります。
この技法はリラクゼーションとしても優れているので、ちょうどよいかもしれません。
まず仰臥位で手掌を側頭部に、指は頭頂部をくるむように当てます。
このとき、肘の力はできるだけ抜いておくようにします。
腕の重みで屈曲しているようなイメージでしょうか。
肘に力が入ったまま触診していると、筋が疲労したとき(この場合は特に上腕三頭筋)動きを感じるどころではなくなってしまいます。
はじめから頭に触れず、腕に力みが入っていないことを確認したうえで触れるようにするとよいかもしれません。
では、一円玉5枚の重さ(百円玉1枚もほぼ同じ)で触れてみて、肺呼吸の動きとは異なるリズムを感じられるかどうか、チャレンジしてみてください。
≪次回(11月14日更新)に続く≫
もともとオステオパシーの頭蓋療法を起源として発展してきましたが、現在ではリハビリテーションやボディーワークの分野でも取り入れられるようになり、呼び名もそれぞれで少しずつ異なるようです。
このテクニックは頭蓋骨が動く、それも一定のリズムを持って呼吸のように膨張と収縮を繰り返して動いている、という標準的な医学の知識からすると???なことが前提となって組み立てられています。
動きといっても5~12μm。
ひと昔前まで、仙腸関節は動かない不動関節であると解剖学の教科書にも書かれていたことを思えば、何をもって動くとするかという基準や程度の問題なのかもしれないですね。
その動きがどのようなものによってもたらされるのかについては、脳脊髄液の産生と排出のバランス、硬膜そのもの動き、あるいは脳脊髄そのものの動きなど諸説があります。
またその回数は、1分間に6~10回というものもあれば、8~12、あるいは10~15回というものもありばらつきが見られます。
これほどばらつきがあるなら、もしかしたら頭蓋の動きの中にいくつかの異なるリズムがあって、セラピストによってどのリズムを感じているかによる違いが生じているという可能性もあるかもしれません。
胸に手を当てた時、心臓の動きと呼吸の動きのどちらに意識をするかによって、感じるリズムが異なるということに似ているのかも。
頭蓋の動きはクラニアル・リズミック・インパルス(cranial rhythmic impulse:CRI)と表現されているので、これからはCRIと書くことにします。
CRIのリズムや動きが、何らかの理由で機能異常を起こすことによって、頭痛、頚肩部痛など疼痛症状のほか、内臓や自律神経系の機能障害に加え、不安や抑うつが起こるとされ、頭蓋仙骨療法はそのタイプの機能異常にに対して有効な技法です。
具体的には異常な動きの頭蓋骨にコンタクトし、任意の方向に伸張するなど持続的な刺激を加えたり、CRIと同調しながらその動きを誇張するような操作を加えることで、CRIが正常なリズムと動きに近づくように誘導します。
触れるといっても5gの力で触れて操作します。
はじめて聞いたら「5gってオイオイ、一円玉5枚の重さで操作するの?」という感じですよね。
5~12μmの動きに対して5gの力で触れて操作することから、頭蓋療法はとても繊細なテクニックとされています。
そのようなわけですからCRIを触診して感じ取れるようになるには、ふつうはとても根気と忍耐のいる練習が必要で、ここでつまずいている方も少なくないかもしれません。
今回のシリーズはCRIを触診する練習法を、感じ取れるようになるためのポイントも含め、ご紹介したいと思います。
練習にはいろいろな方法が考えられますが、通常の触診よりも集中力を必要とするので、静かな環境で練習することが望ましいでしょう。
ひとりで行うなら、夜布団に入ったときもよいです。
私は今でも布団に入ったときに練習していて、そのまま眠ってしまうこともよくあります。
この技法はリラクゼーションとしても優れているので、ちょうどよいかもしれません。
まず仰臥位で手掌を側頭部に、指は頭頂部をくるむように当てます。
このとき、肘の力はできるだけ抜いておくようにします。
腕の重みで屈曲しているようなイメージでしょうか。
肘に力が入ったまま触診していると、筋が疲労したとき(この場合は特に上腕三頭筋)動きを感じるどころではなくなってしまいます。
はじめから頭に触れず、腕に力みが入っていないことを確認したうえで触れるようにするとよいかもしれません。
では、一円玉5枚の重さ(百円玉1枚もほぼ同じ)で触れてみて、肺呼吸の動きとは異なるリズムを感じられるかどうか、チャレンジしてみてください。
≪次回(11月14日更新)に続く≫