木の実幼稚園のゆかいな仲間たち

愛媛県松山市にある『木の実幼稚園』の先生たちによるBlog

左胸に咲く花

2024-03-19 16:55:00 | Weblog
2024.03.19


この日、

創立47回目の卒園式が執り行われました。


朝夕の冷たさがかすかに残るものの、

そろそろ訪れるであろう春の気配を感じられる

そんな日でした。


午前8時30分頃

つい先ほどまで式典の最後の準備を進めていた

教職員の足音の代わりに、

子ども達の声が園舎に響き始めました。


明日からは違ってくるけれど、

今日はまだ、いつも通りの朝。

子どもたちの賑やかな声が響き渡る

いつも通りの朝。


私も 今日は装いが違う。

式服用の白く輝くタイを締め

左胸に

一輪、咲きました。


大切な花。


もう長い間

卒園式に臨む年長児と

そして教職員の左胸を飾る

「コサージュ」。


有志の保護者の方々が

長年にわたって受け継いで下さった

大切な花です。


加藤先生よりご指導を賜りつつ

デザインの検討から材料選び、

作業工程を確認しカットに入り、

時間をかけてつなげ、

春の訪れとともに花となります。


コサージュを見るたびに

いろいろなことが思い出されます。


音楽サークルの保護者の方たちは、

家事や育児の傍ら楽譜を手に取り

折に触れ

子どもたちに生演奏を

聞かせて下さいます。


子どもたちは

いろいろな楽器が奏でる音の波紋を

目で、耳で、肌で感じ、

音に触れることができます。

そんなステキな幼少期を

子どもたちは過ごせます。


ぐるんぱの保護者の方たちは、

題材を考案し

子どもたちが楽しめる仕掛けをつくり

子どもたちの前に立って下さいます。


メディア・ツールの急速な発達により

失われる一方となった

「子どもが絵本と過ごす時間」を、

1年を通じ

守り続けて下さっています。



レクバレサークルさんは

同じ時代に育児をするという縁に恵まれ

忙しい生活が続く最中

練習に取り組まれます。

そして

Konomi のユニフォームを着て

公式戦のコートに立ちます。


とかく孤独を感じやすい時代にあって

スポーツを通じた交流の中で

保護者同士の輪が広がり

この「輪」こそが

人の支え合いの鍵となっていることを

その姿で証明してくれます。



手芸サークルさんは

子どもたちの園生活に欠かせない

身の回りのものを

1年を通じ

制作して下さいます。


私の子どもも

卒園してもう2年も経つのですが

今も使っています。


「こんなのは好きかな?」と

生地選びからして頂いた

大切なグッズは

いつしか子どもたちの生活に

無くてはならないものになりました。



春が来て

コサージュの一輪を手に取ると

そういう方たちの温かさが

なにかの形で結実していくことを

強く感じます。



今日も

晴れの日を迎えた子どもたち

そして 私共教職員の左胸に

同じコサージュが飾られました。


「ずっと一緒に居た」という

我々の大切な証(あかし)となって

式典を彩ってくれました。


時代が変わっても

世代を超えて

真心のバトンがつながっていきます。


年長さん

君たちの胸を飾ったその一輪は

君たちが

確かに愛されているということを

君たちに知らせてくれる花です。


なにかあった時には

そっとその一輪を見つめてみてください。

心の奥底に

ふと温かいものが灯ってくれることでしょう。


だれかを大切にしようとする人が

その手でつくったものには

そんな不思議な力が宿るんだ。

不思議でしょ(笑)?

でも、人の心って

そんなものなんだよ・・・。


これからも

お母さんたち お父さんたちの

そんな心を感じてくれたら

嬉しいです。





(PostScript:追伸)

子育ての悩みは尽きないと言われますが

それはきっと

お子様を愛されているからですよね。

どうでも良ければ、

悩んだりされないですよね。


日本語の「悩む」という言葉が適切なのか

私にはよくわからないのですが、

それでもあえて使うならば、

もしも子育てに「悩んだ」方がいらっしゃったら

ぜひご紹介したい動画があります。


私が大好きなプログラム

「TED Talks」より

私が一方的に敬愛する御二人の動画を

紹介させて下さい。


御一人は日本の経営者

植松努 氏です。

私よりお若く、今もお元気なはずです。


もう御一人はイギリスの教育学者

ケン・ロビンソン 氏。

既に数年前に他界されましたが、

今も偉人の一人として

世界中の人から愛されている方です。



お二人の動画に共通することの一つは、

学校が抱える課題です。

しかしながら、

これらの動画の目的は、

或いは私がこれらの動画をご紹介する目的は、

学校の課題を共有する為ではありません。

むしろその逆です。


そもそも

子どもたちが進学していく学校という場所は

大変大勢の人たちが集まる場所ですので、

おびただしい数の価値観が自然と混在します。

そのため、

他者との違い や 異なる考え方

そして異なる価値観というものを

ある程度受け入れられる器が無ければ

とても苦しい場所になるのが自然です。


生まれてわずか6年、7年の子どもたちに

そのような器が備わっていなくても

当たり前ですよね。


だからこそ、

その場所に居られないことが

「悪い」だなんて思ったり考えたりする必要は

そもそも、無いのです。


それを承知で、

学校の先生方は大変な数の子どもたちに

どのような最大公約数を用意すればよいか

ずっと考え続けて下さっています。


でも、大勢の先生方が知恵を出し合っても

全ての子どもたちを幸せにできないしんどさと

向き合い続けていらっしゃるのも事実です。


だからこそ世界中で

大勢の人たちが学校の課題に

気づいてはいるのですが、

学校の教職員だけでは

なかなか解決できないことがあります。


しかしその課題の中にいる子どもたちを

親となった方たちの存在と愛情が

救ってくれます。


では、どうやって?


どのような考え方で

子どもたちを愛してあげられるのか?

そのヒントになる手掛かりの一端が、

これらの動画には存在します。


この春、小学校へ進学される

卒園児の保護者皆様

これまでも

これからも

一緒に考えてまいりましょう。


本日はお子様のご卒園

誠におめでとうございました。



植松努氏
https://www.youtube.com/watch?v=gBumdOWWMhY

ケン・ロビンソン氏
https://www.youtube.com/watch?v=Tm90Ktww7g4&t=32s