荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

狭小空間の巻。

2013年06月17日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を
西和夫著【二畳で豊かに住む】を読了しました。

過去に二畳程の空間で暮らした人物たちの生活をひもときながら、彼らの考え方・暮らし方を考察する作品です。

例に挙がる著名人は内田百・高村光太郎・永井隆・夏目漱石・正岡子規等々。

あまり資料が現存していないケースなどは、様々な文言から間取りを推察しております。

僕はいわゆる【シンプルに暮らす】的な作品だと思って読んだのですが、存外そうではなく、彼らの生活を重視したものでした。

とはいえ、極限迄狭い部屋でよくもまぁ皆さん頑張れるものだと感心します。

それもこれも彼らには果たすべき役割があり、信念があったからだと思うのであります。

要するに、空間の狭さを嘆く様な暇があったら己のやるべき事に邁進しなさい、と。

確かに、暇な人間程くだらない事を考えたり、実行したりします。

小人閑居して不善をなす、ですな。

空間の狭さが人間を形成するわけではありません。

とはいえ文中

「貧民救済活動家賀川豊彦が、棟割長屋二畳一間の住居に住む様になると『人間としての品位は全くない』と大正4年に述べている」

とも記しております。

貧すれば鈍する、ですな。

先にあげた内田百・高村光太郎も結果的には狭い部屋から去って行きますし、永井隆・正岡子規は病の床に臥していたので、やむにやまれずといった感情の方が強かったかも知れません。

とはいえ、狭いながらも楽しい我が家という言葉がある様に、知恵を絞ってポジティブに暮らしていれば狭小空間だとしても、いくらでも豊かになれると僕は思います。

しょうもないモノは捨てましょう。こまごま掃除をしましょう。自分の審美眼にかなったモノだけを手に入れましょう。

尤も、内田百・高村光太郎の部屋の写真を見ますと、すげぇ散らかっておりましたが。



『Less is more.(より少ないことは、より豊かなこと)』ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(ドイツの建築家・1886~1969)


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