「光市母子殺害事件~もうひとつの視点」 綿井健陽さんの講演

2008-07-21 | 光市母子殺害事件

 本日午後、綿井健陽さんの講演を聞きに行った。↓

「光市母子殺害事件~もうひとつの視点」
7月21日(祝・月)午後2時~4時30分(1時30分開場)
会場:名古屋国際センター4F 第3研修室

 私にとって目新しい情報といったものはなかったが、綿井さんはジャーナリストとして秀でた資質を持っておられる、と感じた。まだまだこれからの人だ。 

 私の隣に座っていらしゃったのが、東海テレビの人で「光と影」のカメラマンだった。講演の後、少しお話した。『光と影』はフジテレビ系列で再放送されるだろうとおっしゃったが、「時間帯は、午前2時とか3時とか、劣悪」であるようだ。Youtube で、1日だけ無断で流れたそうで、「止めて貰いました」とか。

 帰りの地下鉄車内、私の向かいに腰掛けたのが村上満宏さん。光市事件差し戻し審の弁護人。地下鉄を降りてからも、話が弾んでしまった。以下、抜粋。

宥「楢崎裁判長は、ご自分の出世を優先なさったと思う。弁護側申請を全て容れた。そして、悉く却下した。裁判官となって、出世を考えない人がいますか。差し戻し審は楢崎さんの出世のために徹底して使われた、と思います」

村「おっしゃるとおりです。判決文は、最高裁と被害者遺族、そして世論、言い換えればバッシングの方だけ向いています。被告人のほうは向いていません」

宥「あれだけ弁護側申請を受け容れて、否定したわけですから、もうそれらは(上告審で)使えないのでしょ」

村「大丈夫です。僕達、すでに他に、実験を始めています。ただ、あれだけ寛容にどんどん容れてくれたので、勝てると確信していました。判決の日まで」

宥「え~?勝てると思ってらしたんですか。ほんとですか」

村「ええ、確信していました。ただ、高裁に長官が来たときは、嫌な感じがしましたね」

・・・・・〈来栖のつぶやき〉 私は差し戻し審の前半頃までは、これはいける♪かも、という気がしていた。けれど、徐々に薄気味悪くなってきた。ああ、これは、棄却を念頭に、慎重に審理したというイメージ作りのために申請を容れているのではないか、油断できないぞ、という気がしてきたのだった。

 楢崎裁判長の念頭にあったのは裁判所のヒエラルキー、つまり自身の「栄達」「出世」であった。判決要旨だけ読んでいては判らなかったその事が、判決全文を読んだとき、炙り出しのように見えてきたのだった。・・・・

宥「テレビ(『光と影』)、すてきでしたよ」

村「いやあ、もう怖くて怖くて」

宥「ほんと、マスコミの力は絶大ですから、(反響が)怖いですね」

村「安田さんほどではないけれど・・・」

宥「安田さん、ほんとに、心配しました」

村「事務所がよくガードしていますよ。彼は、テレビも見ないし、ネットもしないです。昨日も、和歌山の<毒カレー>へ行った」

宥「ああ、あの事件も(弁護)なさってますね」

村「あれは、冤罪です」


8 コメント

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裁判長の念頭にあったのは (死刑制度に反対する一市民)
2008-07-21 22:49:20
楢崎裁判長の念頭にあったのは自身の「栄達」「出世」であったのは明らかでしょう。
最高裁が無期懲役では問題がありとした差戻し審において、もし死刑を回避したならば、最高裁が差し戻した意味がなくなり、最高裁のめんつがまるつぶれです。自身の「栄達」「出世」を棒に振りかねません。
弁護側の申請を全て否定、検察側の主張ばかりを何の疑問もなしにそのまま採り入れていることをみても明らかなように、楢崎裁判長の念頭にあったのは、当初からいかに死刑の判決文を書くかのみだったように思います。
光市事件の差戻し審は公正な裁判とは程遠い、不当な裁判といっても過言ではないように思います。
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思い込み ()
2008-07-22 09:31:34
 宥子さん。私も講演会参加しました。宥子さんは、誰も言及していない「判決理由」(笑)をおっしゃっています。つまり、裁判官の出世、栄達ということです。その視点から裁判員制度について述べられました。「これまで私は裁判員制度については否定的でした」と言われ、「けれど、裁判員は職業裁判官と違い、立身出世・栄達という誘惑がないから、裁判員制度、もしかしてメリットもあるのかな、と思うようになりました」ということをおっしゃいました。
 しかし綿井氏は「被害者が出廷するようになると、裁判員は、被告人よりも被害者のほうへ引きずられるのではないか」と、宥子さんの主旨(裁判官の出世・栄達)から離れた一般的な答えを返しました。「fact」「fact]と口にされる割には、綿井氏も思い込みが強いと感じました。
 
 地味な集会ですが、集まる人たちがいて、まだまだ世の中、捨てたもんじゃない、と思ったことでした。
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公務員の体質 (akira)
2008-07-22 15:30:48
タイトルのような括り方は、乱暴だというご意見もありましょうが・・・。

法曹界の中では、検事も裁判官も公務員なので、顔が国(権力)の方に向いていること、前例主義や事なかれ主義、はたまた、出世のためなら・・・。
というような、いわゆる「公務員体質」からは逃れられないものなのかもしれません。

買っただけで読めていない、裁判官を取材した数冊の本を読んでみようと思います。それと、ゆうこさんがご紹介くださった「判決文全文」もプリントアウトして読み直してみます。
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Re:思い込み (ゆうこ)
2008-07-23 09:17:01
蜩さん。コメント、有難うございます。参加なさってたのですね。
>誰も言及していない「判決理由」
 ♪面白い表現ですね。ちょっと明文化できない「理由」ですね。こちらも立証不可能ですが。
 ただ、こんな背景のもとでの審理であるとすれば、弁論等すべて無意味ということになりますね。
 昨日も、布川事件で検察が特別抗告しました。法廷が何か他の要因で動いているような・・・。 
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Re:裁判長の念頭にあったのは (ゆうこ)
2008-07-23 09:30:28
(死刑制度に反対する一市民) さん。コメント、感謝します。
 東海テレビ『裁判長のお弁当』で、法と良心のみに基づいて判断し、地方の支所・家裁まわりで退官した裁判官が言っていましたが「やはり、上に行って、大きい事件をやりたいです」と。しかし、彼の清廉と正義感は、その強い誘惑に遂に従えなかった。司法修習を終えて札幌地裁へ。そして直ぐに東京地裁というエリートだったのですから、望めば上に行けたのに。
 こういう図は、その種の本を読めば、検察も同様である、と判ります。
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Re:公務員の体質 (ゆうこ)
2008-07-23 09:46:41
akiraさん。
 公務員の中でも、楢崎さんは高裁ですから、最上階に一番近いところまで来ていますね。「人の心」のなかを卑しい目で覗き見るのは好きではないんですが、判決文を読んでいて、そんな思いが閃いた!ものですから。

>「判決文全文」もプリントアウト
 PDFで出てますね。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080613101103.pdf
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はじめまして (非戦)
2008-07-29 09:48:47
はじめまして ゆうこさん。

あの講演のときには 写真展会場の方にいました写真展のスタッフです。

綿井さんや村上弁護士の報告会が5月?にあった時に お話を聞いていたので 12日の講演も聴きたかったのですが 写真展会場のほうの係りをやっていました。

判決では 弁護団が検証して訴えたことをことごとく裁判長は無視しましたね。少年と面会した村上弁護士が 少年の話と調書と事件の検証をやると 点が線になって少年の言っていること(殺意も強姦の意図もなく家にいれてもらった)が正しいと分かったという場面が『光と影』にありました。本を読んでも明らかだし。

裁判長は 最高裁への道を狙って権力に迎合しているとわたしも思っていましたが やはりそうみたいですね。

「光と影」の再放送をのぞます。みんなが見れないような変な時間でなくてみんなが見れる全国放送がいいのですが 無理みたいですね。応援のメールを東海テレビに送っておきましたが。
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Re:はじめまして (ゆうこ)
2008-07-30 05:38:51
(非戦)様
 コメント、有難うございました。
 綿井さんの写真展の方に詰めていらしたのですね。講演の後で写真を拝見しました。強く訴えかけてくるもので、胸が痛くなりました。生きる世界が違いすぎ、申し訳なく、言葉もありませんでした。
「光と影」、放送は難しいようですね。あの放送の中で、被告人の口ぶりを真似て「(被告人からの)村上弁護人宛書簡」を俳優さんが読んでいましたね。番組のスタッフが被告人に面会し、被告人の話し方を聞いたとか。「セ・ン・セ・イ、ドーモ、ア・リ・ガ・ト・ゴ・ザ・イ・マ・シ・タ」という、如何にも精神発達の遅滞?を窺わせる口ぶりです。こんな話し方をする元少年が、凶悪などでありますものか!計画的に企んだりしますものか! 法廷で、遺族も裁判長も、聞いているはずです。見ているはずです。都合の悪い、不利な事実には、目を向けず、捨て去ったのです。
 綿井さんはご自身のブログで「これからも社会にこの裁判を上告して戦う」といった趣旨の事を書いていました。その通りに行動されているなと思いました。

>綿井さんや村上弁護士の報告会が5月?にあった時に お話を聞いていたので 
(非戦)さん。また、この種の講演がありましたら、教えてくださいね。
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