埼玉県蕨市 新藤力人ちゃん「お水を下さい」哀願の声響く 相次ぐ虐待、行政救えず 悔やむ周辺住民

2010-03-06 | 身体・生命犯 社会

児童虐待、気づいてたのに…埼玉・奈良、悔やむ周辺住民
 asahi.com2010年3月6日9時8分
 両親による虐待の後に子どもが亡くなった、埼玉県蕨市と奈良県桜井市の事件。いずれも、近所の人たちが戸外に響く物音や会話の内容で異変に気づきながら、幼い命を救うことができなかった。壁越しに、か細い泣き声や親の怒声を聞いた時、私たちはどうすればいいのだろう――。
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 壁に何かがぶつかる大きな音、怒鳴り声や子どもの泣き声――。2006年ごろ、埼玉県蕨市のアパートに住んでいた女性は壁越しに、毎日のようにそんな音を聞いていた。隣に住んでいたのが、両親に虐待を受け、08年2月に4歳で亡くなった新藤力人(りきと)ちゃんだった。
 「ふつうのしつけじゃない」
 そう感じた女性が相談した先は、アパートを管理する不動産業者だった。「虐待ではないか」。業者は家賃の受け取りのたびに、両親に「ちゃんと面倒みなさい」と注意したが、「悪いことをした子を怒るのは親として常識」と返されたという。
 路上生活をしていた両親の元に03年9月に生まれた力人ちゃん。すぐに乳児院に預けられたが、両親が市のあっせんでアパートに入居した後、06年1月に「保育所に通わせる」という条件付きで引き取られた。
 だが、市などによると、この年の4月に近くの保育園に入ったが、1日も通わなかった。保育園側は月1回、自宅を訪問したが、応対した父親が「風邪だから」などと言って通園を拒否したという。
 市や児童相談所は力人ちゃんを引き渡した後、亡くなった08年2月までにあわせて五十数回、自宅を訪問。力人ちゃんにも十数回、対面した。蕨署は住人から「大きな泣き声が聞こえる」と110番通報を受けていた。
 だが、署は「明確に虐待を示すあざやけがは発見できなかった」。児童相談所も「命の危険があるほど緊急だという情報はなく、危機感がなかった」として本人確認を徹底しなかった。一時保護の検討もしなかった。
 保育園の園長だった藤原久美子さんは07年5月ごろ、自宅前で一家と会った。「地域の関係者は異常に気づいていたのに、助けられなかった。非常に残念です」
 両親に食事を与えられなかった吉田智樹ちゃん(5)が今月3日に餓死した奈良県桜井市の事件でも、アパートの階下に住む男性(33)は毎日のように、子どもの泣き声と段ボールを落とすような重い物音を聞いていた。
 「虐待ちゃうかな」
 半年ほど前、管理会社に連絡した。だが、管理会社の広報室の説明では、1年ほど前に近くの住人から「騒々しい」という苦情を受け、注意文を家のポストに入れただけだったという。虐待に関する相談は把握していないといい、担当者は「事件性のある内容であれば、事実を確認して通報するのだが」と話す。
 母親が自ら連絡するまで、児童相談所などは虐待を把握していなかった。地元の民生児童委員協議会にも、虐待の相談や通報はなかった。「地域とかかわりを持たない人が増え、気をつけようにもつけられない」。民生委員の女性は、声を落とした。
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 近隣で虐待をうかがわせるような事態を見かけた場合は、どうすべきか。
 児童虐待防止法は、虐待を受けたと思われる子どもを見つけた場合、速やかに通告しなければならないと定めている。
 北九州市の児童相談所に22年勤務していた安部計彦・西南学院大准教授は「急を要する場合、訴える先がわからなければ110番でもいい。とりあえず警察は確認に来てくれる」と話す。「継続的な取り組みを求めるなら、まず市区町村の役所。平日なら代表番号に電話すれば担当部署につないでくれる」
 「子どもの虐待防止センター」(東京都世田谷区)の専任相談員の女性(60)は、通報に抵抗を感じる気持ちを踏まえ、「名乗らなくてもいいので、その家の住所と名前を伝えて下さい」と呼びかけるようにしているという。通報者が特定されることはない、緊急性がなければすぐに乗り込むわけではないし、翌日から子どもが施設に送られるわけではない――という話もするという。「近所の人は、虐待かどうかまで判断しなくていい。何度も泣き声がしても、虐待ではないケースはある。でも、こんな家庭がある、ということをまずは行政などの窓口に伝えてほしい」
 児童虐待の問題に詳しい平湯真人弁護士は「4、5歳になれば、質問に答えることはできる。『たたかれてない?』『ご飯はちゃんと食べている?』と本人に聞いてみても良いだろう」と話す。
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「お水を下さい」哀願の声響く 相次ぐ虐待、行政救えず
 asahi.com2010年3月5日1時35分
 両親による虐待の後に子どもが亡くなる事件が、奈良県桜井市と埼玉県蕨市で相次いで明らかになった。亡くなった幼児はいずれも保育園などに通っておらず、近所の人とのかかわりも限られていた。厚生労働省によると、児童相談所などが問題の家庭と接触しながら虐待死を防げなかったケースが多発している。
 埼玉県蕨市の両親が4日、保護責任者遺棄容疑で県警に逮捕された事件では、蕨署や市、児童相談所が、虐待の疑いを指摘する通報を受けて家庭訪問や協議を繰り返しながら、父親に面会を拒まれ、衰弱に気づけなかったことが分かった。
 逮捕されたのは、父親の無職新藤正美(47)と妻の同早苗(37)の両容疑者。死亡したのは、次男力人(りきと)ちゃん(当時4)。
 蕨署などによると、2008年2月11日、正美容疑者からの119番通報があり、搬送先の病院で死亡が確認された。急性脳症による衰弱死で、体重は4歳児の平均より6キロ軽い10キロ。頭や顔には複数の擦り傷やあざもあった。
 当時近所に住んでいた人によると、部屋からは怒鳴り声や子どもの泣き声が毎日のように聞こえた。「お水を下さい」と哀願する声も響いていたという。
 県南児童相談所によると、乳児院に保護されていた力人ちゃんを両容疑者が06年1月に引き取って以降、市とともに、月1回の頻度で家庭訪問したり対策を話し合ったりしたという。07年11月、市職員らが訪問して「やせすぎ」を確認。同相談所や県警と協議し、体重測定をしながら家庭訪問で対応すると決めた。しかし、08年1月30日と2月6日の訪問の際には「寝ている」などと正美容疑者に力人ちゃんとの面会を拒絶され、健康状態を確認できなかったという。
 奈良県桜井市の吉田智樹(ともき)ちゃん(5)が両親から食事を与えられず餓死した事件では、母親が自ら連絡するまで、児童相談所などは虐待を把握していなかった。
 桜井市が実施している無料の乳幼児健康診査を、智樹ちゃんは生後4、10カ月の2回しか受診していなかった。
 奈良県は未受診家庭に催促しても応じない場合、家庭訪問して虐待の有無を確認するよう市町村に求めている。しかし、桜井市は家庭訪問をしていなかった。
 保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された母親の真朱(まみ)容疑者(26)は、動機について県警に「3年ほど前から夫婦仲が悪く、夫に似ている息子が憎くなって顔をたたいたりするようになった」と供述しているという。
 智樹ちゃんの体重は、5歳児平均の3分の1の6.2キロ、身長も平均より約25センチ低い2歳児程度の85センチしかなかった。司法解剖の結果、死因は栄養失調症と判明。県警は虐待が長期間続いていたとみている。
 厚生労働省の専門委員会が07年1月から08年3月に把握した、虐待で死亡した子どもは142人。調査には一家心中も含めており、それを除くと78人になる。心中以外の内訳をみると身体的虐待が7割、育児放棄(ネグレクト)が3割。地域社会との接触が「ほとんどない」家庭も約3割あった。
 これらのケースで、市町村や児童相談所など関係機関と接点がなかったのは2割弱にとどまった。
 厚生労働省虐待防止対策室の杉上春彦室長は「児童相談所には、最悪の事態を想定して安全確保を最優先してほしい、と言っている」という。「要支援家庭で子どもに会えない状態が続く場合、様々な手だてで子どもの姿を確認する努力が必要だ」と話す。 *リンクは来栖
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「私が母でなかったら元気に育ってた」奈良・5歳虐待死
  asahi.com2010年3月6日17時3分
 奈良県桜井市の吉田智樹(ともき)ちゃん(5)が食事を与えられず餓死した事件で、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された母親の真朱(まみ)容疑者(26)が、「私が母親じゃなかったら、この子も元気に育っていたと思う」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。夫で会社員の博容疑者(35)=同容疑で逮捕=も「親らしいことをしてやれなかった」と話し、2人とも泣きじゃくっているという。
 また、捜査関係者によると、真朱容疑者は「下の子(長女)が生まれ、上の子(智樹ちゃん)が嫉妬(しっと)して悪いことをし始めた。口答えしたり、反抗的になったりした」と話していることもわかった。奈良県警は、真朱容疑者が育児放棄を始めた原因のひとつになった可能性があるとみている。
 県警によると、両容疑者は今年1月初めから3月3日まで、智樹ちゃんに十分な食事を与えず、栄養失調症で死亡させた疑いがある。博容疑者は「(妻と長女の)3人で食卓を囲んだが、智樹の食事は別だった」と話しているという。
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母親「不仲の夫に似ていて憎くなった」 奈良5歳餓死
  asahi.com2010年3月5日10時55分
 奈良県桜井市の吉田智樹(ともき)ちゃん(5)が両親から食事を与えられず餓死した事件で、母親の真朱(まみ)容疑者(26)=保護責任者遺棄致死容疑で逮捕=が、奈良県警の調べに「3年ほど前から夫婦仲が悪く、夫に似ている息子が憎くなって顔をたたいたりするようになった」と供述していることがわかった。司法解剖の結果、死因は栄養失調症と判明。県警は、智樹ちゃんが激しくやせ、歩けないほど衰弱していたことから、虐待が長期間続いていたとみている。
 県警によると、真朱容疑者と父親の会社員博容疑者(35)=同容疑で逮捕=は2003年ごろ結婚し、桜井市内のアパートで暮らし始めた。長男の智樹ちゃんは04年7月、長女(3)は06年12月に生まれた。
 真朱容疑者は動機について県警に「長女が誕生したころから夫と不仲になり、息子も反抗的な態度をとるようになった。長男が夫とだぶり、憎むようになった」と説明。智樹ちゃんを「不満のはけ口」とみるようになり、「毎日ではないが、(手を)パーやグーにして顔をたたいたり、つねったりするようになった」と供述しているという。
 智樹ちゃんの顔などに多くのあざがあり、真朱容疑者の虐待は育児放棄だけでなく、暴行も伴っていたとみられる。「長女はかわいく思えた」と話しており、長女への虐待はなかったという。
 一方、博容疑者は育児にかかわろうとせず、「(智樹ちゃんが)衰弱しているのはわかっていたが、何もしなかった。妻にも何も言わなかった」と話しているという。県警は、博容疑者は暴行にはかかわっていないとみている。
 両容疑者は「1月初めごろから、(智樹ちゃんに)朝に1回だけしか食事や水を与えなかった。この1週間ぐらいは何も食べていなかった」と供述したとされる。しかし、智樹ちゃんの体重が5歳児平均の3分の1の6.2キロ、身長も平均より約25センチ低い2歳児程度の85センチしかなかったことから、県警は1月以前から十分な食事を与えていなかった可能性があるとしている。
 両容疑者は近所づきあいがほとんどなく、智樹ちゃんは保育園や幼稚園に通っていなかった。真朱容疑者は両親が訪ねてきても、智樹ちゃんに会わせないようにしていたという。
 桜井市によると、市は無料の乳幼児健康診査を生後4、10カ月と1歳半、2歳半、3歳半の計5回実施。智樹ちゃんは4、10カ月健診しか受診していなかった。
 奈良県は未受診家庭について、催促しても応じない場合、家庭訪問をして虐待がないか確認するよう市町村に求めている。しかし、桜井市は家庭訪問をしていなかった。健康推進課の担当者は「電話などで連絡が取れないなど、よほどのことがなければしない」と説明する。
 虐待が発覚したのは3日午前11時ごろ。智樹ちゃんがぐったりしたため、真朱容疑者が児童相談所の県中央こども家庭相談センター(奈良市)に通報し、自ら虐待を打ち明けた。同センターから連絡を受けた桜井市職員が駆けつけたときには、智樹ちゃんはトレーナーにトレパン、紙おむつ姿で布団の上に仰向けに寝かされていた。骨と皮だけのような状態だったという。 *リンクは来栖
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〈来栖の独白〉
>悪いことをした子を怒るのは親として常識
 ---虐待親は必ず、そう言う。「しつけ」だと言う。
>児童虐待の問題に詳しい平湯真人弁護士は「4、5歳になれば、質問に答えることはできる。『たたかれてない?』『ご飯はちゃんと食べている?』と本人に聞いてみても良いだろう」と話す。
 ---虐待されている子は、「叩かれている」「ご飯を食べさせてもらっていない」など、親の悪口に当たることは絶対に言わない。親を庇う。その悲しみが、問題なのだ。
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鎖で小2長男監禁 半径1m余しか動けず 両親を逮捕 日常的な虐待の疑いも 滋賀県長浜市 2014/10/8   
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◇ 厚木市 斎藤理玖ちゃん/父親供述「いずれ衰弱死と思った」食事は週1、2回 /母親「DVがひどくて家を出た」  
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◇ 桜井市 吉田智樹ちゃん(当時5歳)餓死事件 奈良地裁 虐待の母に懲役9年6月    
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わが子の虐待―命は社会が守るしかない 
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