裁判員制度どう改善 大阪で集い
2010年12月20日(月)「しんぶん赤旗」
井上議員が発言
裁判員制度のスタートから約1年半、3年目の制度見直しまでの折り返し地点に立ち、制度をどう改善するかを考える集会が19日、大阪市で開かれました。主催は社会福祉法人大阪ボランティア協会。いずれも国会の法務委員である、日本共産党の井上哲士参院議員、民主党の辻恵衆院議員、みんなの党の桜内文城参院議員がパネリストを務め、討論しました。
現在、死刑または無期懲役にあたる重大犯罪のみとしている対象事件の範囲をどうするかというテーマで、井上氏は「市民が司法に参加し、市民感覚を生かすという趣旨からいって、贈収賄などの公務員犯罪や、ビラ配布弾圧など人権にかかわる事件こそ対象に加えようという意見もあり再検討すべきです」とのべました。桜内氏も、ビラ配布の事件のようなものも対象とすべきだとのべました。
評議が多数決で決まる現在の制度について井上氏は「日本共産党は法案の審議で有罪の決定は3分の2の賛成で、死刑の決定は全員一致にすべきだと修正案を提起しました。実際にえん罪が起きている中、死刑については全員一致にすべきです」と強調しました。
裁判員の守秘義務と違反時の罰則規定について議論となり、井上氏は「きちんとした評議が行われたのかどうかを検証するために、評議からはずれたあとはプライバシーに関わること以外については守秘義務をはずして語れるようにすべきです。また、罰則で懲役刑まで課すことは行き過ぎで、制度の趣旨に反します。罰金刑のみとすべきです」とのべました。
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支局長からの手紙:死刑判決の重み /宮崎
22歳の被告は腰掛けて身じろぎもせず、判決理由を読む裁判長を見ていた。立ち上がり、正面を向く。「被告人を死刑に処する」と裁判長が告げた。表情は見えないが、動揺した様子はない。やがて弁護人に何かを耳打ちされてうなずき、静かに退廷していった。
宮崎地裁で7日、家族3人を殺害した被告に、裁判員裁判で3例目の死刑判決が言い渡された。裁判員の男性は被告について「感情が表に出ない」と語ったが、傍聴した私も同じ印象を持った。
それにしても、裁判員たちの負担は相当なものだったのだろう。今回、補充裁判員を含めた10人全員が判決直後の記者会見に応じず、うち一人の男性が会見したのは、10日後の17日だった。
裁判員制度では、いつ自分が裁判員に選ばれるか分からない。一方、死刑求刑の事件は今後も続くだろう。経験者の話を聞きたいと思う人は少なくない。それに加え「死刑判断の重荷を市民に負わせるべきでない」という意見もある中、経験者の言葉は制度見直しの重要な参考にもなり得る。たとえ一人でも、心境を語った意義は大きい。
17日は、死刑判決を不服として弁護団が控訴した日と重なり、男性は「ほっとしている。死刑判決を下した重みが少し減った」と率直に話した。また、死刑判決もある裁判は「国が責任を持ってやるべきだ。そうでなければ終身刑などを創設して、量刑の範囲を広げてほしい」と要望した。
人の生死を左右する判断の重み。「判決を決めるのが怖かった」「重圧で押しつぶされそう」。先月25日、初めて少年(19)に死刑を言い渡した仙台地裁の裁判員裁判で裁判員を務めた男性も、こんな感想を口にした。
裁判員制度は開始3年後の12年度をめどに見直される。経験者のこうした意見をくみ取っていく努力をしなければ、制度が国民の広い支持を得るのは難しいと思う。<宮崎支局長・池田亨>毎日新聞 2010年12月20日 地方版
2010年12月20日(月)「しんぶん赤旗」
井上議員が発言
裁判員制度のスタートから約1年半、3年目の制度見直しまでの折り返し地点に立ち、制度をどう改善するかを考える集会が19日、大阪市で開かれました。主催は社会福祉法人大阪ボランティア協会。いずれも国会の法務委員である、日本共産党の井上哲士参院議員、民主党の辻恵衆院議員、みんなの党の桜内文城参院議員がパネリストを務め、討論しました。
現在、死刑または無期懲役にあたる重大犯罪のみとしている対象事件の範囲をどうするかというテーマで、井上氏は「市民が司法に参加し、市民感覚を生かすという趣旨からいって、贈収賄などの公務員犯罪や、ビラ配布弾圧など人権にかかわる事件こそ対象に加えようという意見もあり再検討すべきです」とのべました。桜内氏も、ビラ配布の事件のようなものも対象とすべきだとのべました。
評議が多数決で決まる現在の制度について井上氏は「日本共産党は法案の審議で有罪の決定は3分の2の賛成で、死刑の決定は全員一致にすべきだと修正案を提起しました。実際にえん罪が起きている中、死刑については全員一致にすべきです」と強調しました。
裁判員の守秘義務と違反時の罰則規定について議論となり、井上氏は「きちんとした評議が行われたのかどうかを検証するために、評議からはずれたあとはプライバシーに関わること以外については守秘義務をはずして語れるようにすべきです。また、罰則で懲役刑まで課すことは行き過ぎで、制度の趣旨に反します。罰金刑のみとすべきです」とのべました。
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支局長からの手紙:死刑判決の重み /宮崎
22歳の被告は腰掛けて身じろぎもせず、判決理由を読む裁判長を見ていた。立ち上がり、正面を向く。「被告人を死刑に処する」と裁判長が告げた。表情は見えないが、動揺した様子はない。やがて弁護人に何かを耳打ちされてうなずき、静かに退廷していった。
宮崎地裁で7日、家族3人を殺害した被告に、裁判員裁判で3例目の死刑判決が言い渡された。裁判員の男性は被告について「感情が表に出ない」と語ったが、傍聴した私も同じ印象を持った。
それにしても、裁判員たちの負担は相当なものだったのだろう。今回、補充裁判員を含めた10人全員が判決直後の記者会見に応じず、うち一人の男性が会見したのは、10日後の17日だった。
裁判員制度では、いつ自分が裁判員に選ばれるか分からない。一方、死刑求刑の事件は今後も続くだろう。経験者の話を聞きたいと思う人は少なくない。それに加え「死刑判断の重荷を市民に負わせるべきでない」という意見もある中、経験者の言葉は制度見直しの重要な参考にもなり得る。たとえ一人でも、心境を語った意義は大きい。
17日は、死刑判決を不服として弁護団が控訴した日と重なり、男性は「ほっとしている。死刑判決を下した重みが少し減った」と率直に話した。また、死刑判決もある裁判は「国が責任を持ってやるべきだ。そうでなければ終身刑などを創設して、量刑の範囲を広げてほしい」と要望した。
人の生死を左右する判断の重み。「判決を決めるのが怖かった」「重圧で押しつぶされそう」。先月25日、初めて少年(19)に死刑を言い渡した仙台地裁の裁判員裁判で裁判員を務めた男性も、こんな感想を口にした。
裁判員制度は開始3年後の12年度をめどに見直される。経験者のこうした意見をくみ取っていく努力をしなければ、制度が国民の広い支持を得るのは難しいと思う。<宮崎支局長・池田亨>毎日新聞 2010年12月20日 地方版
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