中日春秋2010年4月5日
香港が英国に割譲されるきっかけになった戦争を描いた中国の映画「阿片戦争」(謝晋監督)が公開されたのは、香港が返還された一九九七年だ。政府高官から庶民までアヘン吸引が広がる実態や、貿易赤字を解消するために中国にアヘンを売った英国の策略などがリアルに再現されていた
▼圧巻は特命全権大使として広州に赴任した林則徐が没収した二万箱のアヘンを海辺で廃棄する場面。石灰などで中和されたアヘンは、人工池の中で黒い水となって海に流れていった▼清国は、英国の圧倒的な軍事力の前に敗れた。長年の半植民地化につながった敗戦は、中国人にとって屈辱の歴史なのだろう▼中国で麻薬密輸罪に問われ、死刑判決が確定した四人の日本人について、中国政府は近く死刑を執行すると外務省に通告した。執行されれば一九七二年の国交正常化後初めてとなる▼日本とは違い、中国の刑法では覚せい剤五十グラム以上の密輸で死刑になる可能性がある。薬物犯罪への厳格な姿勢は、アヘン戦争の記憶につながっているのだろうか▼日本でも中国人の死刑を執行した。内政干渉となることを恐れてか、同じ死刑存置国として執行中止を求めにくいのか、日本政府は執行中止は求めず、「懸念」の表明にとどまっている。捜査や司法手続きに不備はないのか、いまからでも中国側に問えることは少なくないはずだ。
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在日中国人に初の死刑執行「人民網日本語版」2009年8月5日
日本の法務省は先月28日、中国人の死刑囚(男性・41歳)が同日午前、東京拘置所内で死刑執行を受けたことを明らかにした。在日中国人が司法的な死刑執行を受けたのは初めて。中国人の日本における犯罪問題が日本国民の注目を集めている。現在、日本全国には死刑未執行の死刑囚が計101人おり、うち中国籍死刑囚は4人。中国青年報のウェブサイト「中青在線」が伝えた。
死刑執行を受けた中国籍死刑囚の名前は陳徳通。1998年に福建省から日本に密航した後、川崎市にしばらく在住、その後家賃を払わなかったりその他の些細なことで、同居していた中国人5人(うち1組の夫婦は同死刑囚の遠い親戚)との間でトラブルが発生、殴打された後にマンションを後にした。その後、陳死刑囚は恨みを抱き、その他の人間と共謀してこの住宅を奪い、自ら3人を刺し殺したほか、2人が重傷、1人に軽傷を負わせた。
日本の警察は捜査の結果、「清竜会」が同案件と重大な関係があると判断、6月12日に事務所を捜索し、陳容疑者を逮捕した。警察はさらに、1998年10月以降、東京およびその周辺で発生した25件の殺人、婦女暴行、窃盗事件についても、同容疑者とその仲間が関わっていたことをつきとめた。2001年、陳容疑者は死刑判決を受け、2006年、日本の最高裁は同容疑者の上訴を退け、死刑判決が確定した。
日本の法務省は先月28日、森英介法務相が同日死刑執行令に署名したことを明らかにした。陳死刑囚以外にも、日本人殺人犯2人が同時に死刑執行された。これは森法務相にとって就任以来3度目の死刑執行となる。これまでに森法務相は9人に対し死刑執行令を出している。
今回死刑執行された陳徳通死刑囚以外に、陳代偉死刑囚、何力死刑囚、薛松死刑囚、魏巍死刑囚の4人の中国籍死刑囚が依然日本国内に拘置されている。(編集HT)
◇ 山地悠紀夫・前上博死刑囚(大阪拘)、陳徳通死刑囚(東京拘)に刑執行=森英介法相
姉妹強殺の山地、自殺サイト連続殺人の前上死刑囚ら3人を執行 法務省が会見
産経ニュース2009.7.28 11:13
法務省は28日、大阪で姉妹を殺害した山地悠紀夫(25)、自殺サイトで知り合った男女を殺害した前上博(40)=いずれも大阪拘置所、中国人男女5人を殺傷した陳徳通(41)=東京拘置所=の3死刑囚に対する死刑を執行したと発表した。
死刑執行は今年1月29日以来半年ぶり。森英介法相就任後は3度目で計9人。
確定判決などによると、山地死刑囚は平成17年11月、大阪市浪速区のマンションに侵入し、帰宅した姉=当時(27)、妹=同(19)=を殺害。現金などを奪った後、放火した。山地死刑囚は、事件の前年に中等少年院を退院していた。一審で死刑判決後、弁護側が控訴したが、山地死刑囚は控訴取り下げ書を提出し、確定した。
前上死刑囚は、人を窒息死させて快感を得ようと、平成17年2~6月、インターネットの自殺サイトを通じて知り合った大阪府豊中市の無職女性=当時(25)=と神戸市の中学3年の男子生徒=同(14)、大阪府東大阪市の男子大学生=同(21)=を相次いで口をふさぐなどして殺害し、遺体を遺棄。さらに男子生徒の殺害後、父親に身代金を要求する電話をかけて脅迫した。
陳徳通死刑囚は、親類の中国人ら7人と共謀し、川崎市のマンションで同居していた中国人男女5人をテープで縛り、現金約5万3000円を強奪。その後、単独で5人の胸や背中などをサバイバルナイフで次々と刺し、当時23歳と30歳の男性2人、27歳の女性1人を殺害。男女2人に重軽傷を負わせた。同居人から家賃の未払いなどを理由に暴行されたことを恨んでの犯行だった。
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