尖閣有事はすぐ間近に迫っている 中国は本気

2012-10-19 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

第1部 中国人民解放軍230万人が攻めてくる 胡錦濤が指令「釣魚島を奪取せよ」 日本人よ、もう 覚悟したほうがいい 中国は本気だ
現代ビジネス「経済の死角」2012年10月19日(金) 週刊現代
■革命烈士に向けて献花
  中国は、9月30日から10月7日まで、中秋節と63回目の国慶節(建国記念日)を祝う8連休となった。
  だが、国を挙げた一連の〝反日攻勢〟は、連休中もいささかも衰えを見せなかった。中国中央テレビは、10月2日より5日連続で、『われらの釣魚島』と題したドキュメンタリー番組を放映した。1895年に当時の日本がいかに不当に清の領土だった釣魚島(尖閣諸島)を盗み取ったか、そしていまこそ、この不当行為を引っ繰り返し、島を奪還するのだと鼓舞する内容だ。9月26日から5日連続で放映した番組の再放送だったが、再びネット上には全国から多くの賛意が寄せられた。
  9月30日は中秋節で、中国では一家団欒の象徴である月餅を食べながら、月を愛でるという習慣がある。この祝日に合わせて毎年、「アワビ月餅」「フカヒレ月餅」など、新種の月餅が発売され、話題をさらう。
  今年の目玉は何と、「反日月餅」だった。「打倒小日本」「咬死小日本」(小さな日本をみ殺せ)などと記された月餅を一家で喰らうのが流行したのだ。
  10月1日からは、中国全土のデパートで、国慶節セールが始まった。ところがここでも〝異変〟が見られた。「反日割引」なるものが、各地で盛り上がったのだ。
「反日割引」とは、消費者が商品を買う際に売り場で、
 「釣魚島是中国的!」(釣魚島は中国のものだ)
 「打倒日本鬼子!」(日本の鬼っ子を打倒せよ)
  などと大声で叫ぶ。すると「反日割引」が適用され、商品が1割引き、2割引きなどで提供されるというシステムだ。
  これら反日の叫び声が上がるたびに、デパートの売り場は拍手喝采となる。そして、我も我もと、次々に商品が売れていくというわけだ。
 「反日月餅」や「反日割引」は、今年に入って一向に上向かない内需を、反日を利用して盛り上げようという試みに他ならない。アジア開発銀行(ADB)が10月3日に発表した今年の中国のGDP成長率は7・7%と、'99年以来の低成長となる見込みだ。そんな中、日本は、中国の内需拡大策の格好のネタにされているのだ。
  反日に沸く中国を率いる胡錦濤総書記は、9月27日に北京の人民大会堂で予定していた日中国交正常化40周年記念式典の中止を、直前の23日になって決めた。そして翌々日の25日、中国伝統の人民服を着て、温家宝首相を帯同し、中国初の空母「遼寧」の視察を行ったのだった。
  空母の甲板に上がった胡総書記は、「君たち海軍の軍人は、わが領土の最前線で頑張っている勇士だ!」と鼓舞してみせた。ちなみに、胡総書記が温首相を帯同して視察を行ったのは、この10年近い執政期間で初めてのことだった。それだけ強い「胡・温体制」の〝反日感情〟を見せつけたのである。
  胡錦濤総書記は、国慶節休みも返上し、10月1日午前10時に、中国共産党の「トップ9」を全員引き連れて、天安門広場に現れた。そして日本との一刻も早い開戦を望む呉勝利・海軍司令員(海軍トップ)を始め、人民解放軍の最高幹部らが見守る中、人民英雄紀念碑の前で国歌を斉唱し、革命烈士に向けて献花を行ったのだった。
  革命烈士とは、かつて抗日運動で殉じた共産党員たちのことだ。また、中国国歌『義勇団行進曲』は、抗日運動時代の映画の主題歌で、「中華民族は最も危険な時を迎えたが、最後の咆声を上げて起ち上がれ♪」と勇ましく唱う。
  胡錦濤総書記は、こうした一連の儀式を、中国中央テレビを通して全国民に中継することで、さらなる反日感情を煽ったのだった。
 ■権力委譲の空白を衝く
  大型連休が明けた現在、首都・北京は、1ヵ月後の11月8日開幕予定のビッグイベント、第18回中国共産党大会へ向けて、日増しに厳重な警備が敷かれるようになってきた。
 この丸1週間開かれる党大会の最終日、すなわち11月14日に、共産党トップである総書記のポストが、胡錦濤主席から習近平副主席に引き継がれることが内定している。またその際、同時に、中国人民解放軍を統轄する党中央軍事委員会主席のポストも、胡錦濤から習近平に委譲される予定だという。胡錦濤は当初、この重要ポストを手放すことに強い難色を示していたが、江沢民・前総書記らの強いプレッシャーを受けて、手放さざるを得なくなったのだ。
  そして、残る国家主席ポストも、来年3月に開催される全国人民代表大会(国会に相当)で、同様に胡錦濤から習近平に委譲される予定だ。
  思えば5年前の第17回共産党大会で、胡錦濤総書記は、「実の兄弟以上の仲」と囁かれる李克強・遼寧省党委書記(現筆頭副総理)を、自らの後継者に据えるべく必死に根回しを行った。ところが江沢民らの猛反発を喰らい、結局、江沢民が推す習近平・上海市党委書記を後継者にせざるを得なかった。
 「現代の皇帝様」である胡錦濤は、自らの後継者さえ自由に決められなかったのである。その後、現在まで幾度も、習近平の足をすくおうと試みたが成功しなかった。「習近平の兄貴分」として知られた薄熙来・重慶市党委書記をこの3月に失脚させた際も、習近平の後継体制は揺るがなかった。
  だがここへ来て、北京の中国共産党関係者たちの間で、「胡総書記は18条規定を適用するのではないか」と囁かれるようになった。
 「18条規定」とは、「中国共産党の憲法」とも言うべき「中国共産党章程」の「第18条」のことである。それは次のような内容だ。
 〈党の全国代表大会は、5年毎に一度挙行し、中央委員会が召集する。(中略)全国代表大会は、非常事態を除いては、挙行を延期してはならない。(以下略)〉
  中国の最高幹部の職住の地である「中南海」に勤める官僚が解説する。
 「この〝非常事態〟というところがポイントだ。胡錦濤及びその一派としては、習近平後継を阻むには、もはやこの『18条規定』を適用するしか手段がないと考えているのだ。非常事態とはすなわち、・対日宣戦布告・に他ならない。当初、党大会は10月18日開催でほぼ確定していたのに、9月末になって胡総書記の鶴の一声で、20日間、先延ばししたのだ。これは非常事態へ持っていく時間を稼ぐためだろう」
  胡錦濤が、自らの権力維持のために対日宣戦布告する—この官僚は、最近の胡錦濤総書記の〝変心〟ぶりに驚いているという。
 「中南海では胡錦濤総書記と言えば〝親日派の筆頭〟と目されていた。だが野田首相は、『七七事変』の日(1937年7月7日の日中開戦した廬溝橋事件勃発日)に釣魚島の国有化宣言を行った。そして胡総書記がウラジオストクAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で直接説得した翌々日(9月11日)に、国有化を実現させてしまった。これによって胡総書記の面目は丸潰れとなったのだ。・反日攻勢・によって胡錦濤一派を駆逐しようとする習近平一派に対抗するには、もはやそれ以上の反日姿勢を貫くしか手がないのだ」
 つまりは、胡錦濤vs.習近平の権力闘争の最終段階で、野田政権の拙い外交もあって、尖閣諸島という導火線に火がついたというわけだ。
 この証言を裏付けるかのように、10月に入っても、中国国家海洋局の監視船による尖閣諸島への領海侵犯が絶えない。10月2日、3日と二日連続で、海洋監視船「海監15」「海監26」「海監27」の3隻が、日本の領海に侵入した。海上保安庁関係者が明かす。
 「『海監』に乗っている乗組員の約半分は、明らかに人民解放軍の兵士です。日本側を挑発すると同時に、〝予行演習〟をしている感じで不気味です」
 ■オスプレイなら尖閣まで50分
  今後、胡錦濤が・開戦指令・を出すとしたら、党大会が予定されている11月8日までの間ということになる。つまり、この1ヵ月間が「厳重警戒期間」なのだ。
  それでは、中国人民解放軍は具体的に、どのような戦術で「尖閣奪回」に出るのか。人民解放軍の動向に詳しい軍事評論家の鍛冶俊樹氏は次のように予測する。
 「まず第一段階として、漁民か、もしくは漁民を装った軍人が尖閣諸島へ押し寄せ、上陸してしまう。その瞬間、『漁民保護』を大義名分として、南京軍区の福建基地から、1機10人乗りのフランス製ヘリコプター『Z9』を派遣し、尖閣に上陸する。そして漁民を帰した後、『国土の保護』を掲げて、そのまま駐留しようというのが、人民解放軍の戦術と思われます」
  鍛冶氏によれば、解放軍は大量の地対空ミサイルを帯同して尖閣諸島へ乗り込むため、ひとたび中国側に占領されると、日本側による島の奪還は困難を極めるという。つまり、人民解放軍よりも先に島に到着することが、島を防衛する絶対条件なのである。
  自衛隊の出動について防衛省関係者が明かす。
 「自衛隊が出動するのは最終手段であって、本件はあくまでも海保が主体になって進めるべき事案です。中国への先制攻撃は絶対に行わないというのが、自衛隊の原則なのです」
  では海保はどう動くのか。前出の海保関係者が語る。
 「第5管区海上保安本部大阪特殊警備基地に配備されている海保特殊警備隊、通称SSTが、直ちに出動します。SSTは、'96年に関西国際空港海上警備隊と輸送船警乗隊を統合して創設した、150人規模から成る海保の最強部隊です」
  実はこのSSTは、一度中国との〝実戦経験〟があるという。
 「'09年2月に、高知県室戸岬沖で、大量の覚醒剤を日本に密輸しようとした中国船籍を、深夜にヘリコプターで急襲したのです。この時は、乗組員の中国人6人を現行犯逮捕しました」(同海保関係者)
 この高知県の例が示すように、SSTは出動命令が入ると、大阪の基地から固定翼機「サーブ340B」で現場近くの航空基地まで向かう。そこで航空基地所属のヘリコプターに乗り換えて、現場に向かうというスタイルだ。
  だが尖閣諸島は、「最寄り」の沖縄本島から約440kmも離れていて、SSTが取る通常のオペレーションでは通用しない。
  前出の鍛冶氏によれば、そこで沖縄に配備されたばかりのオスプレイが登場するという。
 「尖閣を巡る日中の攻防は、分かりやすく言えば、福建省の基地から370kmの人民解放軍と、沖縄本島から440kmの日本側の、どちらが先に尖閣に着くかという戦いです。解放軍は時速300・のヘリコプター『Z9』に乗ってくるので、約1時間10分かかる。そのため日本側は、1時間以内に沖縄本島から尖閣諸島へ着かないと間に合わないわけです。
  そうなると、米軍に輸送を担当してもらい、オスプレイに乗って向かうしか手はない。時速550kmまで可能なオスプレイに乗れば、尖閣諸島まで50分で着ける上に、一機あたり20人も搭乗できるのです。あれだけ沖縄で反対運動が起こっても、今回、米軍がオスプレイ配備をゴリ押しした背景には、日中有事の際には米軍が輸送のみ助けるという条件提示を日本側に行ったからではないでしょうか」
  確かに、中国国内で反日デモが最高潮に達した時期(9月16日)に、パネッタ米国防長官が急遽、訪日し、オスプレイの10月配備を最終決定している。日米で「尖閣有事」に間に合わせようと急いだという推察は、的を射ているのだ。
 ■米第七艦隊はこう動く
  SSTでも歯が立たなかった場合は、いよいよ自衛隊の出番である。自衛隊の〝秘策〟について、前出の防衛省関係者が語る。
 「尖閣有事への準備は、想定の範囲内です。佐世保の相浦駐屯地に駐屯する陸上自衛隊西部方面隊普通科連隊の600人が、尖閣諸島へ急行します。
  実はこの8月から9月にかけて、普通科連隊を2隊に分け、徹底した実戦訓練を行ってきました。一隊は、グアム島とテニアン島で、米第3海兵遠征軍(3MEF)との島嶼防衛のための実動訓練を、37日間にわたって実施。もう一隊は、同時期に壱岐島で密かに、実戦訓練を行ったのです。
  特に壱岐島での訓練は、人民解放軍部隊を尖閣諸島から駆逐するという設定で、あらゆるケースを想定して実戦訓練を行いました。詳しいオペレーションの内容は明かせませんが、解放軍何するものぞと、部隊の士気は大いに高まっています」
  自衛隊の最大の弱点は、実戦経験がないことだと言われている。だがそれを言うなら、中国人民解放軍も、'84年の中越紛争以降、28年間も実戦経験がない。
 「装備の点では自衛隊の方が格段に上です。単なる尖閣諸島の局地戦で終わるなら、人民解放軍を確実に駆遂する自信があります」(同防衛省関係者)
 ところで現在、米第7艦隊の空母「ジョージ・ワシントン」と「ジョン・C・ステニス」が西太平洋上に展開し、人民解放軍を牽制している。過去に'96年3月の台湾危機の際にも、台湾海峡でミサイル演習を繰り返した中国軍に対して、米軍は空母「インディペンデンス」と「ニミッツ」を派遣し、危機を回避した経験がある。アメリカとしては、今回も相当ハイレベルの危機が迫っていると判断しているのだ。
  アメリカ国防総省の関係者によれば、9月19日に北京を訪問したパネッタ国防長官が、習近平副主席と会談した際、双方で激しいやりとりがあったという。
 「習近平はまず、会談の前々日(9月17日)にソマリア沖で行った海賊対策の米中合同軍事演習を誉めあげました。これは中国側の強い要請に基づいて、わが軍のミサイル駆逐艦と中国軍のフリゲート艦が参加して行ったものです。
  習近平はこの合同軍事演習を引き合いに出し、反ファシズム戦争を共に戦った両国の伝統は受け継がれていると述べました。その上で、81年前の9月18日に日本軍国主義が中国を蹂躙し、そこからアジア侵略が始まり、アメリカも含めて多大な損害を与えた。そして日本はカイロ宣言とポツダム宣言に背いて、いままたわが国の領土を侵略したと激昂したのです」
  習近平は、米中は一体であるという論理に基づき、今回の争議に関してアメリカの不介入を要求したという。だがパネッタ国防長官は、用意した資料を翳しながら反論した。
 「資料は、尖閣諸島を巡って米中が激突した場合、瞬時に米軍が中国軍を駆逐するというシミュレーションでした。具体的には、まずステルス戦闘機F/A22ラプターと、第7艦隊の原子力潜水艦『ミシガン』『オハイオ』『フロリダ』から発射されたミサイルが、中国国内の長距離捜索レーダー網を破壊。その後、中国軍の新型対艦ミサイルを破壊するというものです」(同国防総省関係者)
  このシミュレーションをパネッタ国防長官が習近平副主席に示したのは、中国の〝蛮行〟を思いとどまらせる意図があったという。
 「それでも習近平は武力行使を否定せず、『アメリカは大局的見地から不介入でいてほしい』と繰り返し述べたのです」(同前)
  その後、中国側が緊張の〝水位〟を上げているのは周知の通りだ。10月4日には宮古島の北東110・まで駆逐艦やフリゲート艦計7隻を送り出した。
  日本人は、覚悟したほうがいい。尖閣有事はすぐ間近に迫っているということを。中国は本気なのである。
 「週刊現代」2012年10月20日号より
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