ソウルの日本大使館前の「慰安婦記念像」を警官が守り、憲法裁判所もトンデモ判決/韓国社会「反日無罪」

2012-09-14 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

違法「記念像」を警官が守り、憲法裁判所もトンデモ判決 慰安婦を「性奴隷」と言い換えて過熱!韓国社会が浸る「反日無罪」の民族快感
(SAPIO 2012年8月22・29日号掲載) 2012年9月10日(月)配信
文=黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在特別記者)
 ソウルの日本大使館前に「慰安婦記念像」が建てられても、韓国政府は撤去するどころか警官に守らせ、日本大使館にトラックが突っ込んでもメディア・世論は平然としている。最近では慰安婦を「性奴隷」と表現しようと盛り上がりをみせる韓国。「慰安婦問題」が再燃している韓国社会の動きを産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏がリポートする。
 昨年12月、慰安婦記念像ができたソウルの日本大使館前は最近、異様な雰囲気に包まれている。韓国警察の警備車両2台が常時、正門前を固めているが、反日団体のデモや集会はもちろん、日本人旅行者の見物人などで賑わって(?)いる。
 中にはスキをついて火炎瓶を投げたり、トラックで突っ込んでくる者までいる。外国大使館の正門にトラックで突っ込んでくるなどというのは、もはやイラク、アフガニスタン並みだ。ところがマスコミをはじめ韓国世論はこれを異様と思わず平然としている。
 とくに韓国マスコミは、日本の右翼団体のメンバーが大使館前慰安婦像に「竹島は日本の固有の領土」と書かれた抗議の棒(くいと報じられた)を立てかけ、そのパフォーマンスを捉えた映像をネットで流したことを一斉に「マルトゥク(くい)テロ!」などと大げさに伝え、反日を煽りまくった。
 その結果がトラック突進事件だが、国際的常識ではこちらの方こそテロだろう。しかし韓国では反日となると国際的常識など通用しない。
■国際法で守られた米大使館
 慰安婦記念像のお陰(?)でソウルの日本大使館前はこれまでにも増して“反日名所”になってしまった。今や慰安婦像の背後には常時、警官が3人立って像を守っている。日本人旅行者で記念像の写真を撮ろうとして警官に阻止された者もいる。
 慰安婦像は慰安婦問題支援の反日団体(挺身隊問題対策協議会=挺対協)が、大使館デモ1000回記念と称し当局の許可を受けずに勝手に設置した無許可の不法施設だ。日本大使館は外国公館に対する侮辱、冒涜であり国際法違反だとして韓国政府に撤去を要求している。
 ところが韓国当局はそうした不法施設を撤去するどころか、逆に警官が守っているのだからお笑い、いや深刻である。“反日無罪”つまり反日なら何でも許されるという国際的常識無視の国家状況が今なお続いているのだ。
 これを反米と比べると面白い。韓国では近年、反米も盛んなのだが、反米デモに対しては親米デモがあり、マスコミには反米批判の論調も登場する。
 2002年、左派の盧武鉉政権が誕生するに際しては反米ムードが大きく作用した。この年、ソウル郊外で女子中学生2人が米軍車両に轢かれて死亡する事件があった。韓国版の“沖縄”である。反米デモが高揚し、反米団体が犠牲になった女子中学生の記念碑を米大使館近くに設置しようとした。
 しかしソウルの米大使館は、日本大使館とは違って国際法および国際的常識でしっかり守られている。周辺100m以内の集会・デモは禁止されているし、大使館前に反米記念碑などとうてい許されない。
 反米団体は仕方なく、米大使館からかなり離れた光化門交差点の歩道に設置した。もちろん無許可施設だ。取り締まる側の区役所は反米ムードが沈静化した後、6か月後に「人の通行に邪魔」として撤去してしまった。日本大使館前の慰安婦記念像はすでに半年以上経ったがそのままだ。相手が日本だと、撤去どころか逆に警官が不法施設を守っている!
 日本大使館前のパフォーマンスで最近、きわめて特異なデモがあった。日本の和服と韓国のチマ・チョゴリ姿の女性たち約40人が慰安婦問題の解決を訴えてデモをしたのだ。
 彼女らは韓国人と結婚している統一教会の日本女性たちで、日韓の友好・信頼のために早く問題を解決してほしいという。そして自ら謝罪運動に立ち上がったといい、日韓双方の首脳への嘆願書を発表した。
 彼女らは典型的な贖罪派集団だが、李明博大統領への嘆願書には興味深い部分がある。韓国で慰安婦問題を支援し内外で反日運動を主導してきた中心組織の「挺対協」に対し、次のような批判を展開しているのだ。
「この団体は慰安婦問題を看板にしていますが、その方向は、1つは日韓の分断であり、2つ目は韓国における政府と国民の分断です。
 90歳近くになる元慰安婦のおばあさんたちを前に立たせていますが、彼女らも自らの過去を考えれば、人の前に立つことより静かに平穏な余生を送りたいのではないでしょうか。そうしてあげることが彼女たちへの愛情ではないでしょうか……」
「挺対協」は元慰安婦の老女たちを囲い込み、今や韓国で最強の反日団体になっている。海外でも老女たちを引きつれ反日の先頭に立っている。慰安婦問題を聖域化し、批判はタブー視されてきたのだが、その「挺対協」に対し「元慰安婦の老女たちを利用した反日政治活動」と辛らつに批判しているのだ。
 日韓両国政府も「挺対協」が問題解決の最大のガンとみている。1995年から約10年間、日本の官民による「アジア女性基金」と首相の謝罪書簡による解決案を拒否し続け、問題を現在まで長引かせてきたのはこの団体だ。
「挺対協」は昨年12月、金正日死去に際して北朝鮮に公式の弔意文を送っている。これはすごい。組織の内部や周辺には“親・北朝鮮の影”がうかがわれる。統一教会系の「挺対協」批判には、そのあたりのこともありそうだ。
■虎の威を借りた日本攻撃
 それにしてもこのところの慰安婦問題の盛り上がり(?)は異様である。これにはいくつかの背景がある。
 1つは昨年8月、韓国の憲法裁判所が「韓国政府が元慰安婦の日本に対する賠償請求問題で日本と外交交渉しないのは憲法違反」との判決を出し、これを受けて韓国政府が日本に交渉を要求していることだ。
「過去補償は国家的には解決済み」なため日本政府は当然、応じていない。
 ところが李明博大統領は昨年末、京都での日韓首脳会談の席上、この問題を長々と取り上げ、今年3月の「三・一独立運動記念日」の演説でもわざわざ慰安婦問題に触れ日本に解決を要求。大統領が先頭に立って日韓関係の最大外交懸案に“格上げ”してしまった。
 経済がウリで“実用外交”を看板にしてきた李明博大統領が今、なぜ?
 歴代大統領と同じく、最後は「反日」で政権を締めくくり愛国者になって有終の美(?)を飾りたいということだろうか。敬虔なクリスチャンとして「対日人道問題」の慰安婦問題に突然、目覚めたとの説もある。お陰でそれまで結構高かった、日本での李明博人気はガタ落ちだ。
 政権末期となると、あらゆる問題が次期大統領選挙に向けて政争のタネになる。日本批判は依然、愛国競争での格好のテーマだ。最近、「日韓秘密情報保護協定」が署名寸前で流れたのもそれだ。「過去を反省していない日本と軍事協力していいのか?」と与野党両陣営が日本批判で愛国を競っている。
 NGO全盛時代の韓国では反日強硬派の「挺対協」を誰も説得できない。「反日」と「女性」と「人権」を看板にした「挺対協」はやり放題である。
 韓国マスコミは最近、米政府が政府文書で慰安婦を「性奴隷(セックス・スレイブ)」と表現することにしたと、嬉々として伝えている。真偽のほどは不明だが、これまでも英文ではしばしばそう表現されてきた。
 早速、韓国マスコミは「われわれも“性奴隷”に表現を変えるべき」と主張している(朝鮮日報など)。「日本の不道徳性を後世に知らしめ日本の罪状を直接的に表現する言葉」だという。金星煥外交通商相も国会答弁で「政府も変更を検討してみる」と言っている。これはアメリカという“虎の威”を借りての日本攻撃だ。
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反日日本人の偽証、朝日新聞の大誤報をいまだに信じている勢力を論破する 世界中にばら撒かれた「慰安婦問題」が捏造である「完全なる根拠」
(SAPIO 2012年8月22・29日号掲載)2012年9月13日(木)配信
文=西岡力(東京基督教大学教授)
<慰安婦問題が広く知られるようになって20年以上が過ぎた。第2次世界大戦時、日本軍が慰安婦を強制連行したとの「説」はその後の調査研究によって、事実ではないと結論が出た。しかし、残念なことに、勉強不足から慰安婦問題については韓国側の主張が「正しい」と信じている日本人も少なくない。
 そんな中、韓国政府は再び、慰安婦に対する謝罪と補償を持ち出している。今、何故、慰安婦問題が再燃したのか。そもそも「慰安婦問題」とは何なのか。東京基督教大学教授の西岡力氏が慰安婦問題捏造の歴史を解説する。>
 昨年から慰安婦問題がまた騒がしくなった。これで4度目だ。
 最初に問題が浮上した1991年から、私は慰安婦という歴史的存在はあったが、慰安婦問題はないと論じていた。すなわち、何々問題というからにはいまだに解決されていない点が残っているということだが、第1に慰安婦の公権力による連行は確認されておらず、彼女らは貧困を原因とするいわゆる人身売買の被害者であり、第2に日本と韓国の戦後補償問題は昭和40年の日韓協定で「完全かつ最終的に解決」している。したがって、解決すべき点は残っていないという主張だった。
 しかし、昨年からの第4次慰安婦騒ぎを目にして、私は考えを変えた。一部の職業的反日日本人と日韓関係悪化を狙う韓国の反日運動家らの執拗な活動の結果、「日本軍が韓国人女性らを性奴隷にした」という虚構が国際的に広まり、韓国の若年層を含む多数の外国人がそれを事実と信じてしまっているということが解決すべき問題なのだ。
 慰安婦問題は、虚構の性奴隷説をどう排除するかという問題として、厳然と存在すると今は考えている。
■吉田清治の体験本
 それでは慰安婦性奴隷説を最初に言い出したのは誰かという点から確認したい。それは吉田清治という職業的反日日本人だった。韓国から出た話ではないのだ。
 1948年に就任した韓国の初代大統領は独立運動家出身の李承晩博士だった。李政権は日本と国交正常化交渉を持った。その際、出来るだけ多額の戦後補償金を日本から取ろうとさまざまな名目で請求した。そのリストが8項目の「対日請求要綱」(1951年)だった。
 そこには「戦争による被徴用者への補償金」は挙げられていたが、慰安婦に対する補償は入っていなかった。大多数の韓国人が植民地時代の実態を知っているその時期には、いくら反日政策を掲げる李承晩政権でも、慰安婦に関して外交交渉でカネを取るなどということは考えなかったのだ。
 性奴隷説は65年の日韓国交正常化のときも出てこなかった。83年に吉田清治が『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』(三一書房刊)という本を出して初めて性奴隷説が誕生する。吉田は43年に軍から朝鮮人女子挺身隊動員を命令され、済州島で日本軍人らを引率し、若い未婚女性や赤ん坊を抱いた母親を駆り立ててあたりかまわずトラックで連行し、レイプしたという「体験」を語ったのだ。吉田の著書は89年に韓国語で翻訳出版された。
 実は現地の『済州新聞』の女性記者が現場を取材したところ、住民らが口をそろえてそのようなことはなかった、吉田は嘘をついていると語っていると89年8月14日同紙に書いている。しかし、済州新聞の記事はほとんど注目を集めず、日韓の歴史学者や反日運動家らの中で性奴隷説が静かに拡散していった。これが前史だ。
■朝日新聞の大誤報
 吉田の証言から8年後、91年8月11日、朝日新聞が大誤報をして、第1次慰安婦騒ぎが始まる。「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀 重い口開く」という大見出しを付けた記事は〈日中戦争や第二次大戦の際、「女子挺身隊」の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかり、「韓国挺身隊問題対策協議会」が聞き取り作業を始めた(傍点西岡)〉というリードが付けられていた。
「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」と書いている点が吉田証言に乗っかった悪意を持つ誤報だった。なぜなら、名乗りを上げた元慰安婦、金学順さんは「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」てはいないからだ。彼女は貧しさのため母親に40円でキーセン(妓生。朝鮮半島の芸妓・娼婦を指す)として売られたと訴状などで明言しているのだ。今現在まで朝日新聞はこの誤報を訂正していない。
 92年1月に訪韓した宮沢首相は盧泰愚大統領に8回謝った。私は同年2月、外務省北東アジア課の幹部に、首相は権力による強制連行を認め謝罪したのか、貧困による人身売買の被害に対して謝罪したのかと質問したところ、これから調べるという驚くべき回答を得た。以上のような内容を私は同年4月号の月刊『文藝春秋』に書いた。
 私の論稿が出た直後、現代史学者の秦郁彦先生が吉田証言について現地調査を行ない、先に引用した済州新聞の記事などを発見して吉田証言も嘘であることを暴いた。金学順さん以外の名乗り出た元慰安婦の証言についても、ソウル大学名誉教授の安秉直先生が学術的な調査を行ない、権力による連行は証明できないという結論を出した。
 日本政府は92年1月以降、過去の公文書を徹底的に調査したが、女子挺身隊制度と慰安婦は全く別物であり、慰安婦を権力によって連行したことを示す文書は1つも出てこなかった。以上のように、第1次論争で実は事実関係については決着がついていた。
■外務省の詭弁と河野談話
 しかし、日本政府が事実に基づき反論するという姿勢を取らず、謝罪をしつつ問題を先送りするという卑怯な外交を展開したため、問題にならないはずのものが日韓外交の重要問題に浮上してしまった。韓国政府がとにかく強制連行を認めてくれ、そうすればこれ以上外交問題にしないと水面下で求めてきたことに迎合して、外務官僚と河野洋平官房長官(当時)が国を売ったのだ。外務官僚らは、本人たちは慰安婦になりたくはなかったのだから強制連行はあったという詭弁を弄して、政府としての謝罪を表明した河野談話を93年8月に出した。
 第2次論争は、河野談話に力を得た国内の左派学者らが中学校歴史教科書に慰安婦の強制連行を書いたことから始まった。それに反対する学者や知識人、国民の多くが新しい歴史教科書をつくる会に結集して立ち上がり、大きな論争となった。
 故中川昭一氏や安倍晋三氏ら良識的保守の政治家も強制連行はなかったという論陣に加わった。97年放映された慰安婦問題をテーマにした「朝まで生テレビ」の冒頭、私は慰安婦性奴隷説を展開していた吉見義明中央大学教授に、「朝鮮半島において権力による慰安婦強制連行があったことは証明されているか」と質問し、同教授は「証明されていない」と明言した。この段階ではいくら左派学者でも吉田証言や金学順証言を引用することはできなくなっていた。
■日本人弁護士のロビー活動
 ところが06年に安倍晋三内閣が発足するや、米議会が慰安婦は性奴隷であり日本政府は公式謝罪と補償をせよという決議を通そうとした。安倍首相が国会で国内での論争の成果に立って、権力による慰安婦連行は証明されていないと答弁したことに対して、米国メディアが激しく非難し、日米関係がおかしくなりかかるということが起きた。その背景には反日日本人らが慰安婦性奴隷説を国連に持ち込み、国際的に嘘を拡散させていたということがあった。
 日本人の戸塚悦朗弁護士こそが「慰安婦=性奴隷」という国際謀略の発案者だった。戸塚は自分のその発案について次のように自慢げに書いている(『戦争と性』第25号2006年5月)。
〈筆者は、1992年2月国連人権委員会で、朝鮮・韓国人の戦時強制連行問題と「従軍慰安婦」問題をNGO「国際教育開発(IED)」の代表として初めて提起し、日本政府に責任を取るよう求め、国連の対応をも要請した〉〈それまで「従軍慰安婦」問題に関する国際法上の検討がなされていなかったため、これをどのように評価するか新たに検討せざるをえなかった。結局、筆者は日本帝国軍の「性奴隷」(sex slave)と規定した。〉
 この規定が国際社会での反日謀略のスタートだった。日本人が国連まで行って、事実に反する自国誹謗を続けるのだから、多くの国の外交官が謀略に巻き込まれるのは容易だった。
 彼の国連ロビー活動は、92年から95年の4年間で海外渡航18回、うち訪欧14回、訪米2回、訪朝1回、訪中1回と執拗に繰り返された。戸塚弁護士らの異常な活動の結果、96年に彼の性奴隷説が国連公式文書に採用された。
■国連人権委員会特別報告書
 国連人権委員会の特別報告官クマラスワミ女史が人権委員会に提出した報告書(『戦時における軍事的性奴隷問題に関する朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国および日本への訪問調査に基づく報告書16』)に「戦時下に軍隊の使用のために性的奉仕を行うことを強制された女性の事例を、軍隊性奴隷制(military sexual slavery)の慣行であると考えることを明確にしたい」と書かれた。同報告書は、吉田清治証言や女子挺身隊制度による慰安婦連行説を事実認識の根拠としている。事実認識が間違っているのだ。なお、吉田清治は96年、週刊誌のインタビューで自著に関して創作を交えた記述だったことを認めている。
 戦時ではどこの軍隊でも、軍人たちに対する性の処理施設のようなものがあった。米軍も日本進駐直後には強姦事件を起こしたし、慰安婦施設を作るよう日本政府に要求し、実際そういう施設が作られた。にもかかわらず、なぜ日本だけが非難されなければならないのか。
 外務省は同報告が採択される直前に40頁にわたる反論文書を人権委員会に提出した。ところが、突然、反論文書は撤回され、事実関係には言及せず、すでに日本は謝罪しているとした弁解文書に差し替えられた。当時は社会党が与党だった。これ以降、外務省は事実関係に踏み込んだ反論を一切しなくなる。これが米議会決議に飛び火した。
 そして昨年8月、韓国憲法裁判所が、韓国政府が慰安婦への補償を日本に対して求めないことは憲法違反だというびっくりする判決を下した。第4次騒ぎの始まりだ。同判決の背景には06年に親北左派盧武鉉政権がまとめた〈韓日請求権協定で扱われなかった日本軍慰安婦など反人道的不法行為に対しては日本政府に持続的に責任を追及(する)(傍点西岡)〉という慰安婦問題についての韓国政府の基本的立場があった。
 本稿冒頭で見たように国交正常化交渉において韓国政府は慰安婦問題を持ち出さなかった。それは貧困による人身売買は国家の補償の対象にはならないとする当時の常識的判断だった。ところが、執拗に反日日本人が火を付けたことにより、韓国政府が当時交渉に持ち出さなかったのだから補償を求める権利は残っている、という信じがたい政府見解が出された。それを根拠に元慰安婦らが、韓国政府が政府見解に反して日本に慰安婦の補償を求めていないことは憲法違反だと訴えたのだ。
 判決では国連人権委員会報告官や米議会決議などが引用され慰安婦性奴隷説が事実とされ、その立場から韓国政府に外交交渉を求めている。昨年12月日韓首脳会談で李明博大統領が慰安婦問題を強力に取り上げたことはよく知られている。
 国際謀略に対して日本の名誉を守るためには、組織的な対応が不可欠だ。外務省にはこの問題は扱えない。拉致問題と同様に総理直属の対策本部と担当大臣を置き本格的な対応をすべきだ。まず専門家を集めた諮問会議を置くとともに、国会で国政調査権を発動して96年の反論文書取り下げ事件の経緯を調べること、河野談話にかわる新たな慰安婦問題に関する官房長官談話を出して、明確に慰安婦性奴隷説を否定することも急ぎなされるべきだ。
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