大阪府立校など、国歌「起立義務付け」へ ルールを守らない教員は、処分も

2011-05-15 | 政治

〈来栖の独白〉
 ポピュリズム地域政党が、軍靴の音を響かせるようになった。憲法はなんぴとに対しても思想の自由を認めているが、思想弾圧という音が聞こえる。橋下知事の憲法無視の姿勢は、光市事件裁判における発言で既に予兆されていた。大阪府立学校において入学式や卒業式などで国歌を斉唱する際、教職員に起立を義務づけようというのである。起立させる治安立法を作り、ルールを守らなかった者には、青年将校か風紀委員の如く府として処分も視野に入れるという。
 各政党はしっかりしなければ、ポピュリズム政党に国政も地方政治もいいようにされ、この国は亡んでしまう。議会はチェック機能を果たす存在ではなくなり、知事(の自党)の言いなりになってしまう(条例案を通してしまう)。
 国民はしっかり事の深層を見なければ、自分の首を絞めることになる。そうなってからでは遅い。
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国歌「起立義務付け」 大阪府立校など 維新が条例案
産経新聞 5月14日(土)15時33分配信
 大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」(維新)の府議団が、府立学校の入学式や卒業式などで国歌を斉唱する際、教職員に起立を義務づける条例案を5月定例府議会に提出する方針を固めたことが14日、わかった。維新は府議会で過半数を占めており、可決される公算が大きい。府教委によると、教職員の国歌斉唱時の起立を都道府県で条例化したケースはないという。
 5月の府議会では、自民が府立高校を含む府施設での国旗の常時掲揚を義務付ける条例案を提案する予定。維新は「反対はしないが、会派の考え方を反映させた修正案を出したい」として、国旗の常時掲揚に加え、府立学校の教職員に対し入学式や卒業式での国歌斉唱時に起立することを義務付ける条例案を検討している。罰則規定は盛り込まない見通し。
 一方、自民会派の幹部は「罰則のない条例は有名無実。条例として扱うべきかにも議論の余地がある」と述べ、両会派の条例案の一本化には、否定的な見方を示した。
 学校の入学・卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱は平成元年の学習指導要領で義務付けられた。府教委は14年以降、府立学校の教員に対し、国歌斉唱時には起立するよう文書で指示している。
 条例案について橋下知事は同日、記者団に対し「ルールを守らないごく一部の教員により、ほかの9万人の職員の信頼失墜になるのが残念。条例が制定されれば府として処分の基準を整えたい」と述べた。 
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政党政治が崩れる~問責国会が生む失望感===透けるポピュリズム
論壇時評 金子勝(かねこ・まさる=慶応大教授、財政学)
 2011/02/23Wed.中日新聞
(前段略)
 保坂によれば、「最近の政党が劣化した原因」は「小泉政権による郵政選挙」であり、その原形は「東条内閣は非推薦候補を落とすため、その候補の選挙区に学者、言論人、官僚、軍人OBなどの著名人を『刺客』としてぶつけた」翼賛選挙(昭和17年4月)に求めることができるという。そしてヒトラーを「ワイマール共和国という当時最先端の民主的国家から生まれたモンスター」であるとしたうえで、「大阪の橋下徹知事」が「その気ならモンスターになれる能力と環境があることは否定できない」という。
 保坂とは政治的立場が異なると思われる山口二郎も、「国政を担う2大政党があまりにも無力で、国民の期待を裏切っているために、地方政治では既成の政治の破壊だけを売り物にする怪しげなリーダーが出没している。パンとサーカスで大衆を煽動するポピュリズムに、政党政治が自ら道を開く瀬戸際まで来ている。通常国会では、予算や予算関連法案をめぐって与野党の対決が深刻化し、統治がマヒ状態に陥る可能性もある」(「民主党の“失敗” 政党政治の危機をどう乗り越えるか」=『世界』3月号)という。
(中略)
 このまま政党政治が期待を裏切っていくと、人々は既存の政党政治を忌避し、わかりやすい言葉でバッシングするようなポピュリズムの政治が広がりかねない。何も問題を解決しないが、少なくとも自分で何かを決定していると実感できるからである。それは、ますます政治を破壊していくだろう。
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拡大する検察権力
安田 戦後の歴史を見ると、ロッキード事件、そしてこれに続く金丸事件で、政府あるいは国会が検察に全く刃向かうことができなくなってしまった。その結果、日本の国家権力で一番強いのが検察になってしまったと思います。そして、その内実は、徹底した保守主義なんですね。
 僕なんかは、検察官に将来なっていく人たちと司法研修所で一緒だったわけですけど、そういう人たちの多くは政治的なんですね。検察官という職業に対して、政治的な意味づけをしている。腐敗した政治や行きすぎた経済を正さなければならない。それができるのは自分たちだけだという感覚を持っている人がわりあい多くて、もっと言ってしまえば、実に小児的であったんです。
 たとえば、ある特捜部長は、就任の際、検察は額に汗をかく人たちのために働かなければならないという趣旨の発言をするんですね。青年将校なのか、風紀委員なのか、実に幼いんです。こういう青年将校的な発想しか持ち合わせない寄せ集めが、今の検察の実態ではないかと思うんです。
 しかもそれがすごく大きな権力を持っているものですから、これは警察と一体となって行っているのですが、対処療法的に次々と治安立法を作り上げていく、たとえばオウム以降、破防法がだめだったら即、団体規制法を作る。あるいはサリン防止法を作る。あるいはその後に少年法を変えていく、内閣に犯罪防止閣僚会議というようなものを作って、刑罰を1、5倍に重刑化して、刑法全体の底上げをやるわけですね。
 彼らは、社会の実態をほとんど知らない、犯罪の原因も知らない、あるいは相対的な価値観や複眼的な視点もない、というのが正しいんでしょうけど、どんどん風紀委員的に対応するんですね。その最たるものが、1997年の死刑事件に関係する連続五件の上告だったと思うんです。あのときに最高検の幹部が談話を発表して、裁判所は腰抜けだということを言うわけです。つまりこのままでいけば、死刑判決を出せる勇気のある裁判官はいなくなると。彼らを鍛え直すために上告をしたというわけです。ところが死刑判決があの時期に減ってきたというのは、社会全体のマインドだったんですね。しかし、そういうものを理解する能力がなくて、彼らには腰抜けと映ったわけです。
 他方、検察は、被害者感情を利用し、それに乗っかって、重罰化を進めてきたんですね。例えば、光事件ですと、検察は少年を死刑にすることを被害者遺族に誓い、そのために共同戦線を張り、1、2審とも無期であったのに、死刑を求めて異例の上告をしたわけでして、検察官そのものが公的な立場から私的なものに転換してしまった。私的というのは個人的という意味よりも、公の大きなことを忘れてしまって些末な価値観の中にしか存在しなくなった、という意味で申し上げているのですが。
 もう一つは、検察は社会的な批判に弱い、言い換えると、社会に迎合して非難をかわすわけです。これは、厳罰化のもう一つの側面だと思います。
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光市事件 橋下知事に対する「懲戒請求呼びかけ訴訟」 最高裁 6月に口頭弁論2011-03-26 | 光市母子殺害事件
光市母子殺害事件弁護団への懲戒請求呼び掛け発言で、橋下知事に2ヵ月弁護士業務停止2010-09-17 | 光市母子殺害事件


3 コメント

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Unknown (rice_shower)
2011-05-16 02:05:47
三島は愛国と言う言葉を嫌いましたし、徴兵制にも反対しました。 兵役は義務ではなく、権利だと言いました。 全共闘に対しても、憂国の念においてはシンパシーを有しました。
強いられる、義務化される“愛国”ほど脆弱なものはありません。
橋下氏が右だの保守だのと言われるのは迷惑千万です。
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Unknown (ゆうこ)
2011-05-16 15:43:40
rice_showerさん
 示唆に富んだコメント、ありがとうです。
>橋下氏が右だの保守だのと言われるのは迷惑千万です。
 以前、「右翼」という言葉でコメントを戴きました。そういう視点から考えまして、上記の「迷惑千万」とのお気持、わかるようになったつもりです。
 昨今、拙いけれど憂国の思いが私自身にも頻りとあり、そういう私は、橋下氏と同じ列に並びたくはありません。
.......
http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/e7e296a106f8a7fdb49447b81eaaa317
コメント
Unknown (rice_shower)
2009-10-05 21:59:28
迷惑千万でしょうが、私の基準から言えば、貴女は“りっぱな右翼”です。
「極右と極左は円還する」
(便宜的分類としての)左右を問わず、意義有る仕事、主張を為されている人達は、この言葉の意味を至極当然のものと考えているのですね。
Unknown (ゆうこ)
2009-10-07 21:52:48
rice_showerさん。コメント、ありがとう。
 右も左も円環もよくわかりませんが、まぁ、どこぞに存在はしているような・・・。自分らしくいられそうな場所。多分↓
http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/50303b47940e27188a805748922c2658
 そして貴方が教えてくれた↓
http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/adagio/hon29-ruihan.htm
Unknown (rice_shower)
2009-10-09 12:14:00
>右も左も円環も
蟹工船の世界は二・二六にもつながったし、同事件の思想的後ろ盾だった北一輝は、社会主義者でしたし、日本赤軍の重信房子の父上は血盟団事件に関わった右翼でありながら、在日朝鮮人の人達に慕われ、「私は(PLAと共闘する極左の)娘を誇りに思う」と言い放つ男前だったし、私の敬愛する故野村秋介さん(鈴木邦男さんの師匠筋の新右翼活動家)が、身を賭して攻撃したのが河野一郎、経団連、石原慎太郎だったりしたし.....、そんなこんなのエピソードで象徴される、「思想よりも前に、心であり涙だろう」という真っ当な心持のことを言ってみたかっただけです。
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大人と子供 (新橋)
2011-05-16 22:09:52
大人の世界の問題に子供を巻き込んでいる気がします。
子供には決まりは守らなくては駄目と言いながら、教員は起立が決まりなのに、しないというのは子供には理解の外です。
思想の自由と決まりを守らない事を、うまく生徒に説明できるのでしょうか。特に小学生には難しいのでは無いでしょうか。
悪法も法律。決まりは決まり。
その上で、思想の自由を語るべきです。
でも強制で人に何かを行わせるために条例を定めるのも行き過ぎているとは思います。
私のこの思考はおかしいのでしょうか。
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