2014.5.24 18:00更新
【LA発 米国通信】金正恩氏の“処刑”の元カノTV出演 北朝鮮の都市伝説崩れる 噂の発信地は何と…
「キムの元彼女は生きている。元気だ」。米紙ロサンゼルス・タイムズに先日、こんな見出しの記事が載った。北朝鮮の金正恩第1書記の元交際相手と取り沙汰され、昨年8月、公開処刑されたと報じられた女性が生存していたという内容だ。生存を伝える記事は他国のメディアもすでに報じているが、ベールに包まれた北朝鮮情報は米国でも関心が高い。
《北朝鮮の都市伝説は崩れた》。ロサンゼルス・タイムズの北京発の記事はこんな書き出しで始まっている。《昨年、公開銃殺されたと報じられた金正恩氏の元彼女は、金曜日(5月16日)の夜、朝鮮中央テレビの画面に姿を見せた》。
元彼女とされたのは、歌手の玄松月(ヒョン・ソンウォル)さん。韓国紙、朝鮮日報は昨年8月、玄さんを含む「銀河水管弦楽団」などの芸術家十数人が性行為などを録画し、中国で販売したとして、公開銃殺されたと報じた。「真偽は不明」としながらも、中国の消息筋の話として伝えた。
玄さんは、平壌では誰もが知っている有名人だったため、この報道を後追いする形で、公開銃殺説を報じたメディアは韓国以外にも多かった。
ところが今月16日、玄さんが北朝鮮の全国芸術家大会に出席している姿が映し出され、《金第1書記の芸術活動への支援について感謝するとともに、芸術や創作活動を盛り上げていくことを約束するスピーチした》とロサンゼルス・タイムズは報じた。
同紙によれば、玄さんの処刑説が流れて以降、北朝鮮ウオッチャーがこの件についてさまざまな議論をした結果、処刑自体はあったが、玄さんは犠牲者には含まれていなかったと考える専門家が多かったという。
興味深いのはここからの同紙の分析だ。
北朝鮮は「信じられない噂の発信地だ」とし、昨年12月の張成沢(チャン・ソンテク)・元国防副委員長の処刑についての噂を引用。その内容は、「すっ裸にされた張成沢は、腹の減ったイヌの大群の中にほうり込まれ、食い殺された」というものだ。「処刑」という北朝鮮が公表した情報に、「信じられない噂」が混ぜられた実例だという。この何の証拠もない噂の出所は、中国のブログサイトだった。
確かに、噂は多い。張・元国防委員長の処刑後、関係が深いとされていた金正日総書記の長男、金正男氏は亡命説が流れていたが、今月4日、インドネシア・ジャカルタのレストランを訪れた写真が報じられた。
北朝鮮専門家は「特定のメディアしか受け入れていない、北朝鮮の閉鎖性が噂を増長させている」と指摘。「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)の情報の中から『玉』を選ぶことが必要だ」としている。
「北朝鮮の科学者はユニコーン(一角獣)が生存している証拠を発見した」「金正日総書記は初めてのゴルフで18ホールすべてでホールインワンを成し遂げた」「北朝鮮のミサイルがアラスカに到達した」「金正日総書記は自分の怪獣映画を作るために韓国の映画監督を拉致した」…。
ロサンゼルス・タイムズの記事は、北朝鮮の「信じられない噂」を列挙した上で、「最後の噂は本当だった」と結んでいる。
そういえば、北朝鮮をたびたび訪れている米プロバスケットボールNBAの元スター選手、デニス・ロッドマン氏は米誌「ドゥジュール」のインタビューに、「北朝鮮について何を言っても人はみんな信じる」と発言。「(処刑直後の今年1月の訪問時に)張氏は、私のすぐそばにいた」と話していたのだが…。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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◇ 金正恩氏の元恋人 玄松月さんら、公開処刑 2013/8/20 …背景で囁かれる「夫人の醜聞」説
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