戦後「左翼」の罪深き思考停止 朝日新聞の虚報、捏造の背景にあるもの 筆坂秀世

2014-09-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

戦後「左翼」の罪深き思考停止  朝日新聞の虚報、捏造の背景にあるもの
 JBpress 2014.09.22(月) 筆坂 秀世  
*アメリカの歴史観・価値観にどっぷり浸かった共産党
 私は相当前から、日本の政党の中で最も“親米的”な政党は、実は日本共産党ではないかと思ってきた。
 もちろん同党が日米安保条約廃棄を掲げ、普天間基地の名護への移転に反対していることは、重々承知している。私が同党に属していた時代にも、アメリカのベトナム戦争やイラク戦争を侵略戦争だとして厳しく批判してきた。
 “親米的”というのは、そういう意味ではない。ポツダム宣言や極東国際軍事裁判所(東京裁判)判決を絶対的なものとして評価してきたからである。
 事実、1946年2月の第5回党大会では、占領軍を「民主主義革命の解放軍としての役割をすすめてきた」と高い評価を加えている。この評価は、現在でも「一定の根拠があった」としている。
 第2次世界大戦全体の構図についても、「第2次世界大戦は、ソ連も参加した反ファッショ連合と日独伊侵略ブロックとの戦争となり、反ファシズム解放戦争としての性格をもった」(『日本共産党の60年』日本共産党中央委員会出版局)としてきた。
 ちなみに、同大会では、アメリカが沖縄を本土と切り離して米軍直轄の特別地域としたことに対して、「これを『沖縄民族』の独立の一歩としてとらえ、『沖縄民族の独立を祝うメッセージ』を採択」(『日本共産党の80年』同前)している。その後、これは正されたがアメリカ占領軍をいかに評価していたかの証左である。そしてソ連を反ファシズム勢力と見なしていたのである。
 この評価は、基本的にポツダム宣言や東京裁判と同じである。ポツダム宣言では、「無責任なる軍国主義」だとか、「世界征服の挙」として日本軍が厳しく非難されている。東京裁判の「平和に対する罪」も満州事変から太平洋戦争に至るまでの日本の戦争を「侵略戦争」と断罪するものであった。
 東京裁判に関して言えば、国際法に反するとか、不遡及の原則に反するとか、勝者による復讐など多方面からの批判もされている。インドのパール判事のように、無罪を主張した判事もいた。だがこれらの批判は一顧だにしないのが日本共産党の立場である。
*アメリカの無差別攻撃を批判しない日本の左翼
 戦争を裁判で裁くと言うのなら、アメリカの原爆投下や無差別爆撃も本来裁かれてしかるべきはずだ。だが日本の軍部の批判には熱心この上ない日本左翼だが、なぜかアメリカの人道に反する戦争の批判はしないのである。
 2007年6月、久間章生・防衛相が、講演で「米国はソ連が日本を占領しないよう原爆を落とした。無数の人が悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、今はしょうがないと思っている。アメリカを恨むつもりはない」と語り、辞任に追い込まれるという事件があった。
 しかし、口にこそ出さないが多くの政治家やマスコミ、国民もどこかで同じような頭の整理をしてきたのではないか。今でこそ共産党や社民党は「核兵器廃絶」と言い、原水爆禁止運動を行っているが、これらの運動は広島、長崎に原爆が投下されたから始まったというものではない。終戦直後にアメリカの原爆投下を非難する日本の政党は、共産党も含めてなかった。
 日本の原水爆禁止運動の始まりは、1954年3月にアメリカが太平洋のビキニ環礁で水爆実験を行い、日本のマグロ漁船第五福竜丸が被災したことがきっかけである。
 つまり、アメリカの原爆投下も東京大空襲などの無差別爆撃も免罪してきたのが、日本の左翼陣営である。「悪いのはアメリカでもソ連でもない。日本だけが悪い」というのが、彼らの立場だということだ。これが良心的で、進歩的な立場だというわけだ。東京裁判を検証しようとは絶対にしないのである。
 慰安婦問題でも、「従軍慰安婦」問題として日本の国会で熱心に取り上げてきたのは、日本共産党や社民党の女性議員たちだ。その姿は、まるで日本人はいかにひどい民族なのかを証明したくて仕方がないかのようだった。朝日新聞にも同様の傾向が見て取れる。
*朝日の虚偽報道の根底にあるもの
 朝日新聞が、「済州島で200人の若い朝鮮人女性を『狩り出した』」という吉田清治証言を報道したのは、1982年9月2日付の大阪本社版朝刊社会面であった。
 執筆した記者は、「講演での話の内容は具体的かつ詳細で全く疑わなかった」と語っているそうである。だが裏付けも取らないままに報道するというのは、新聞報道としては論外である。それにもかかわらず、なぜ報道してしまったのか。おそらく「日本軍はひどいことをしたのに決まっている」という大前提があったからではないか。
 この報道以前に、千田夏光著『従軍慰安婦』などが出版されており、その影響も受けていたのかもしれない。だが、ここには日本軍の非道な行為には疑いもなく飛びつくという朝日の姿勢がはっきりと表れている。
 これは、女子挺身隊と慰安婦を同一視した報道でも同様である。女子挺身隊と慰安婦はまったく別物だ。
 朝日は、91年12月10日付朝刊で「第2次大戦の直前から『女子挺身隊』などの名で前線に動員され、慰安所で日本軍人相手に売春させられた」と報じ、92年1月11日付朝刊では、「太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる」と報じた。これについて今年8月5日付の検証報道では、「原因は研究の乏しさにあった」と弁明している。
 さらに植村隆元記者が、その女性がキーセンとして人身売買されたことを知りながら「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた」と記したことについては、「意図的な事実のねじ曲げはなかった」としている。
 韓国で、慰安婦問題を取り上げている中心的な団体が「韓国挺身隊問題対策協議会」である。韓国の日本大使館前に元慰安婦の少女時代をイメージしたブロンズ像を建てたのもこの組織である。この組織の名称に「挺身隊」という言葉が入っていることを見ても朝日新聞報道の影響が大きいことは明らかである。いずれにしろ、この記事については捏造と言われても仕方あるまい。
 結局、日本を何が何でも貶めるということだ。これが「良心的、進歩的」な立場だとするそれこそ歪んだ価値観が横たわっている。
*「誤用」を認めた本多勝一氏
 今週の「週刊新潮」(2014年9月25日号)に「『本多勝一』が“誤用”を認めた『南京事件』捏造写真」というグラビア記事が掲載されている。写真は、中国で笑顔の日本兵と一緒に、少年、少女、女性や老婆が歩いて橋を渡るものだ。この写真が掲載された『アサヒグラフ』(1937年11月10日号)のキャプションには、「我が兵士に護られて野良仕事よりへかへる日の丸の女子供の群れ」とある。
 ところが本多勝一氏の著書『中国の日本軍』では、同じ写真が使われていながら、そのキャプションには、「婦女子を狩り集めて連れて行く日本兵たち。強姦や輪姦は7、8歳の幼女から、70歳を越えた老女にまで及んだ」とある。
 写真を見れば一目瞭然だが、みんな笑顔で歩いている。強制連行だの、強姦や輪姦など思いもよらないものだ。これが南京事件の根拠になっていたというのだから驚くほかない。
 『週刊新潮』によれば本多氏は「誤用」を認めたようだが、誤用などという代物ではない。悪質極まるでっち上げ、捏造そのものだ。
 これがかつての朝日新聞のスター記者である。私なども、若い頃にはよく読んだものだ。要するに日本軍への悪口雑言は何でもありというのが、朝日や本多氏の立場だということだ。
 なぜ日本に、日本人に、もっと誇りを持てないのか。日本を貶めて何が嬉しいのか。朝日新聞や共産党、社民党、進歩派を自認する人々に言いたいのは、このことだ。
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