再審準備囚を死刑リストに 04年法務省、命令直前に撤回 / 宮崎知子死刑囚に「再審の理由はない」=富山地検

2012-04-03 | 死刑/重刑/生命犯

再審準備囚を死刑リストに 04年法務省、命令直前に撤回
中国新聞 '12/4/3
  野沢太三元法相在任中の2004年、死刑囚の1人が再審請求の準備中だったにもかかわらず、執行候補者のリストに入れられ、執行命令直前になって法務省が請求を確認、候補者から除外されていたことが2日、同省関係者の話で分かった。
  法相に提示された死刑執行候補の撤回は極めて異例。野沢氏が精査に数週間かけたため拙速な執行を回避できたが、即決していた場合、執行されていた可能性が高い。関係者によると、この死刑囚の刑はその後、執行されていないという。
  関係者によると「再審請求や恩赦出願などを行っておらず、およびその予定もない」ことが候補を選ぶ上で重要な条件となっている。この時は再審請求を準備していることを把握していなかったようだ。
  法務省は04年8月ごろ、大阪教育大付属池田小学校で01年6月に起きた児童殺傷事件の宅間守元死刑囚ら3人の資料を執行命令書とともに野沢氏に提出。これを野沢氏が精査している間に、1人の再審請求が確認された。法務省は、野沢氏に報告する一方、この死刑囚を候補から外し、資料などを取り下げた。
  宅間元死刑囚ら2人について野沢氏は9月上旬に執行を命令し、14日に執行した。野沢氏は一連の経緯に関し、共同通信の取材に対して「ノーコメント」としている。
  死刑と再審請求をめぐっては、1999年12月、当時の臼井日出男法相が「棄却が予想される」として請求中の死刑囚を執行した。
  しかし、臼井氏のケース以外は、再審開始決定が出る可能性がないとはいえないことから、再審請求などの準備を進めている死刑囚は外している。法務省関係者は「即決していれば、手続き上の大問題となっていた」としている。
  死刑執行候補とするには再審請求などの有無のほか(1)確定時期がより古い(2)肉体的、精神的に健康である―ことが条件とされている。
  刑事訴訟法では、判決確定後、6カ月以内に執行することが定められているが、条件に沿って運用されているため執行は数年後以降が多い。
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死刑執行への抗議声明と、抗議集会のご案内
2012年3月30日
抗 議 声 明
  本日(3月29日)、松田康敏さん(44歳:福岡拘置所)古澤友幸さん(46歳:東京拘置所)上部康明さん(48歳:広島拘置所)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。
  2010年7月27日から1年8ヶ月間、3人の法務大臣によって、死刑執 行停止状態が継続され、法務省内では、死刑の是非を巡って勉強会が続けられてきた。そして、この勉強会がきっかけとなって、死刑制度について政府や国会だけでなく、広く社会一般に議論が広がることが期待されていた。
  しかるに、小川敏夫法務大臣は、十分な議論もまったくないまま、検察・法務官僚に指示されるままに勉強会を終了させ、死刑を再開した。これは、官僚主導を廃し政治主導の政治を目指すという民主党政権のマニフェストに真っ向から反するものであって、およそ許されないことである。
  また、就任後わずか2ヶ月間しか経過していない段階での十分な記録の検討もされないままの拙速を極めた執行であり、慎重のうえにも慎重でなければならないという法務大臣の職責を放棄するものであって、強く非難されなければならない。
  小川法務大臣は、死刑執行後の記者会見で、「刑罰権は国民にある。国民の声を反映するという裁判員裁判でも死刑が支持されている」と述べたが、これはまったくの誤りである。死刑の是非は、国民の支持・不支持によって決められるものではない。民主主義の理念と人道主義のもとに高度な政治的な判断によって決められるべきものである。
  上部さんは、一審の段階で心神耗弱の精神鑑定が出されていた。松田さんも知的に限界級と鑑定されていた。いずれも責任能力の有無について、死刑の判決の是非が問われていたケースである。とりわけ、松田さんの場合は、弁護人に再審請求を依頼し、弁護人もその準備に着手していた。上部さんは、再審弁 護人との接見において秘密交通権が保証されていないことに対して、これを違 法として国賠訴訟を提起したこともあった。死刑執行は当然に回避されるべき ケースであった。
  死刑には犯罪抑止の効果はなく、また、被害者の救済や社会の平穏にも資するものではない。死刑は人道と民主主義に反する。
  私たちは、死刑の廃止を願う多くの人たちとともに、また、小川法務大臣に 処刑された松田さん、古澤さん、上部さんに代わり、そして、死刑執行という苦役を課せられている拘置所の職員に代わって、小川法務大臣に対し、強く、強く抗議する。
 2012年3月29日
   死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90
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 ●小川敏夫法相による死刑執行に抗議する緊急集会
 4 月5日(木曜)午後7時~
 文京区民センター2A会議室
 都営三田線・大江戸線「春日駅A2 出口」
 参加費500 円(予定)
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松田死刑囚 生前にメッセージ「真実を伝えるまで死ねません」
 29日に死刑が執行された3人のうち松田康敏死刑囚(44)は2008年に市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」(東京)が実施したアンケートに、「本当の真実を伝えるまでは死ねません」と再審請求への執着心を明かしていた。
 松田死刑囚は09年2月17日付で回答。カエルの子が親におぶさるイラストも添えている。
 回答では「今年も1月29日に4名の執行があったニュースを聞きましたが、そのうちで私の文通仲間も入っていて、とっても落ち込んだ私でした」と他の死刑囚が執行された事実を伝え聞いた心情を吐露。
 「次は我が身と考えて、本当の真実を伝えるまでは死ねません」と続けた。
 死刑制度について「これから死刑を言いわたされる人たちには、死刑執行という刑にならないように法律を改正してほしいと強く願っています」と反対の立場だと記した。
 また11年6月に実施したアンケートには「私が、今こうして生きてる事、生かされてる事に感謝します。全国の皆さん、気持ちをしっかり持って元気に頑張りましょう。私の似顔絵自画像初公開で~す」と回答した。
[スポニチアネックス 2012年3月29日 16:41]
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宮崎死刑囚に地検が意見書
KNB WEB 2012年03月30日18:03現在
 昭和55年に起きた富山長野連続誘拐殺人事件で死刑が確定している宮崎知子死刑囚が去年、富山地方裁判所に出した2回目の再審請求に対し、富山地方検察庁が今月、「再審の理由はない」とする意見書を出していたことが分かりました。
 宮崎死刑囚の弁護人によりますと、去年8月に富山地裁に行なった宮崎死刑囚側からの再審請求に対し、富山地検は今月7日、「再審の理由はない」とする意見書を富山地裁に提出しました。
 弁護人は29日本人と面会して話し合い、夏ごろまでに意見書への反論を提出するということです。
 この事件は昭和55年、旧八尾町の当時18歳の女子高校生と長野市の当時20歳の女性会社員が相次いで誘拐されたうえ殺害されたもので、平成10年、宮崎死刑囚の判決が確定しました。
 名古屋拘置所に収監されている宮崎死刑囚の様子について弁護人は、「拘置期間が長く、体調は良くない」と話しています。
[北日本放送]
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関連富山長野連続誘拐殺人事件 宮崎知子死刑囚 2回目の再審請求/「延命の企図も」弁護人  
 宮崎知子死刑囚が2回目の再審請求
KNB NEWS
2011年11月25日18:15
 昭和55年に富山と長野で起きた連続誘拐殺人事件で、死刑が確定している宮崎知子死刑囚が、今年8月、富山地方裁判所に2回目の再審請求をしていたことが分かりました。
 名古屋拘置所に収監中の宮崎知子死刑囚(65)の弁護人によりますと、「警察の一連の捜査には、容疑者への誘導があった」などとしていて、確定判決には事実と異なる部分があり再度審議するよう、今年8月、富山地方裁判所に請求しました。
 2回目の再審請求です。
 この事件は、昭和55年、旧八尾町の高校生、長岡陽子さん(当時18歳)と、長野市の当時20歳の女性会社員が相次いで誘拐され殺害されたものです。
 昭和63年に富山地裁は、宮崎知子被告に死刑、知人の男性には無罪の1審判決を言い渡し、平成10年、最高裁で判決が確定しました。
 宮崎死刑囚は、平成15年に富山地裁に再審請求して19年に棄却され、これを不服だとして即時抗告していましたが、今年7月、最高裁が棄却したことから2度目の再審請求をしたものです。
 弁護人はKNBの取材に対し、「死刑執行を遅らせて延命する意図もある」とコメントしました。
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宮崎死刑囚が再び再審請求 長野・富山連続誘拐殺人
日本経済新聞2011/11/26 10:35
 長野、富山両県で1980年、女性2人が誘拐、殺害された「富山・長野連続誘拐殺人事件」で、身代金目的誘拐や殺人などの罪に問われ、死刑が確定した宮崎知子死刑囚(65)が富山地裁に2度目の再審請求をしていたことが26日、分かった。
 同地裁によると受理は8月15日付。
 宮崎死刑囚は98年に最高裁が上告を棄却、死刑が確定した。2003年に富山地裁に再審請求したが、07年に棄却。これを不服とした即時抗告が08年、名古屋高裁金沢支部に棄却され、その後、最高裁に特別抗告したが今年7月に棄却された。
 事件は、富山県の高校3年の女子生徒(当時18)と長野市の女性会社員(同20)が相次いで行方不明になり、他殺体で見つかった。会社員宅には身代金を要求する電話があり、富山市で贈答品販売会社を経営していた宮崎死刑囚と知人男性が逮捕された。宮崎死刑囚の単独犯行として男性は無罪が確定した。〔共同〕
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〈来栖の独白 2011/11/26〉
 再審は、事件の真実を明らかにするためのものだ。それが往々にして死刑囚の延命のために利用される。純粋に真実を訴えている人びと(冤罪)にとっては、やりきれない仕業だろう。
 東海テレビ『死刑囚弁護人』のなかで安田好弘弁護士も、故木村修治死刑囚のことに関連して、「延命ということでは一段弱い『恩赦出願』をした。再審請求すべきだったと後悔している」と言っていた。木村さんが死刑執行されたときにも、そう語った。
 今回、「延命の手段としての再審請求」と、あっけらかんと言う弁護人。正義と真実に対する冒涜ではないか。私が「再審請求」という言葉に古くから眉唾、胡散臭いものを感じてしまうのは、正に宮崎氏のようなケースがあるからだ。
 死刑囚の出す再審請求については、いま一つ問題があると思われる。A死刑囚が再審請求中ということでガードがかかり、身代わりのように他のB死刑囚が選ばれる(執行が回ってくる)のでは、ということだ。無残な世界だ。
 附けたりを2つ。宮崎死刑囚との名前を聞けば、反射的に北野宏氏を思い出さずにはいられない。北野氏も、宮崎死刑囚に翻弄された一人だが、冤罪と認定されてよかった。知子死刑囚には、藤波姓となった時期があった。
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