★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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パーフェクトシティ(8)

2023年03月06日 | 短編小説「パーフェクトシティ」

 当然、全世界的に食糧難が発生し、餓死者が多発し始めた。
 一番の解決策は「IM-X」をやめること。誰もがそう思った。
 しかし、人々は一度手にした不老の薬を手放すことはできなかった。
 本能の根源にある「死」の恐怖から逃れた人間は、やはり二度と「死」を迎え入れることはできなかったのだ。

 人類はこの危機的な状況を乗り越える効果的な打ち手が見いだせないまま、約30年の間に人口を10分の1まで減らしてしまった。真綿で首を絞めていくような滅亡の危機に直面した。
 だが、神はまだ人類を見捨てていなかったのだろう。
 今でも世紀末の聖人・救世主として称えられている男が現れた。
 当時の国連事務総長サン・アルベルト卿だ。
 サン・アルベルト卿は、政治的な手腕はもちろん、脳科学者・発明家としても優秀な人物で、人類の危機に大胆な発想と発明を持ち込み実現させた。
 「パーフェクトシティ」と名付けられたその計画は、不老薬の「IM-X」ありきで考えられた究極の構想だった。



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