部屋の中は黒づくめの男たちでごった返しており、見つけ辛いと思ったが意外と早く出会うことができた。相手の方が先に俺を見つけたのだ。
「どうも、ダイゴさん。お疲れ様です。今日はよろしくお願いします」
「やあ、ケンジ、よろしく頼むよ」
俺より年下のケンジが今夜の相棒だ。確か30台後半でもうベテランの域に入りつつある。だが、30歳代ということは、俺の身体年齢より20歳も若い。
「こんな大勢の中で、すぐ俺だとよくわかったな」
「え?ダイゴさん、目立ちますからね」
やはり、この顔の傷跡は珍しいようだ。
「あ、顔じゃないですよ。そのガタイですよ。ガタイ。毎日筋トレしてるんでしょう」
俺のような男に変な気をつかうなぁと思いながら、確かに筋トレオタクになってしまったと苦笑いした。
体を鍛え始めたのは、顔にこの大きな傷がついた時からだ。あの時もっと体力があればこんな傷負わなかったのに、というトラウマがあるのかもしれない。