★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
SF、ミステリーから現代物まで何でも書いてます。
良かったら感想をお聞かせください。

パーフェクトシティ(12)

2023年03月21日 | 短編小説「パーフェクトシティ」

 部屋の中は黒づくめの男たちでごった返しており、見つけ辛いと思ったが意外と早く出会うことができた。相手の方が先に俺を見つけたのだ。
「どうも、ダイゴさん。お疲れ様です。今日はよろしくお願いします」
「やあ、ケンジ、よろしく頼むよ」
 俺より年下のケンジが今夜の相棒だ。確か30台後半でもうベテランの域に入りつつある。だが、30歳代ということは、俺の身体年齢より20歳も若い。
「こんな大勢の中で、すぐ俺だとよくわかったな」
「え?ダイゴさん、目立ちますからね」
 やはり、この顔の傷跡は珍しいようだ。
「あ、顔じゃないですよ。そのガタイですよ。ガタイ。毎日筋トレしてるんでしょう」
 俺のような男に変な気をつかうなぁと思いながら、確かに筋トレオタクになってしまったと苦笑いした。
 体を鍛え始めたのは、顔にこの大きな傷がついた時からだ。あの時もっと体力があればこんな傷負わなかったのに、というトラウマがあるのかもしれない。



コメントを投稿