★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(6)

2013年08月29日 | 短編小説「義腕の男2」
 俺は、ブラックアウトしたモニターを見つめ、2秒ほど固まったが、3秒目には活動を開始した。
 俺の職業では、時間が命という場面がかなり多い。瞬間で判断し行動しないと命がいくつあっても足りない。この場合は、あと3分ある。まだ余裕だ。
 とりあえず、砂漠の真ん中で必要不可欠なのは、水と食料だ。ありったけの在庫をバックパックに詰め込んで背負った瞬間に、カプセルに衝撃が走った。
 外部モニターを見ると、俺の車両の後ろ2両目が火を噴いて爆発している。
 何が3分後だ。基地に帰ったらマリーを問い詰めなくてはならない。もっともマリーは画面に出た情報を伝えただけなので責任があるはずはないが。
 それどころか、無事帰れるかどうかすら怪しくなってきた。
 あと数メートルずれていたらお陀仏だった。悪運の強さもこの職業には不可欠なのだ。
 外部モニターで被害状況を見ていると、ドーンという衝撃波がコンテナ内に響いた。
 ミサイルは音速を超えて飛んできたらしい。着弾より音の方が遅い。音速超えのスピードでこの移動中の列車に当てるということは、かなり高性能なミサイルということか。
 数キロメートルの長さがあった「ウルトラトレイン」は、シャベルで切られたムカデのように、半分の長さになってしまった。だが、運転手は気が付いていないのか。後ろ半分の貨車を置き去りにして一向にスピードを落とさないで走り続けている。
 外部モニターには新たにチカッと輝きが見えた。太陽の光りをミサイルの機体が反射したようだ。 ふたつ見える。