花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

宮城県美術館「ルノワール展」サクッと感想。

2017-02-21 22:01:13 | 展覧会

宮城県美術館で「ルノワール展」を観た。

去年観た国立新美術館「ルノワール展」とは異なる内容の展覧会であるが、国内外からの寄せ集め的作品構成が良い意味での手作り感を醸し出し、地方限定の展覧会としては及第点をつけても良いかもと思った。(美術ド素人が偉そうにスミマセン(^^;;;)  

さて、オープニングはシュトットガルト美術館《ヴィクトル・ショケ夫人》で、ルノワールらしいドレスの輝くような白が印象的な肖像画だった。

ピエール・オーギュスト・ルノワール《ヴィクトル・ショケ夫人》(1875年)シュトットガルト美術館

その輝く白がレフ効果のように夫人の優しげな顔を明るくしていて、背後に映る影がより光の効果を強調しているように見える。初期の肖像画らしいが、背景の奥行描写を含め、室内に座る夫人との親密な距離感が面白い作品だった。 

私的にルノワールは肖像画に惹かれる作品が多い。とは言っても風景画の煙るような緑の諧調も好きだ。この展覧会では古典主義に走った時代を含め、風景と人物が混然となった画面に至る画家の変遷がコンパクトにまとめられ、版画作品やブロンズ作品も併せて展示されていた。 

しかし、何といっても今回の目玉作品はワシントン・ナショナル・ギャラリー《バレリーナ》であり、「お久しぶり~♪」と挨拶してしまった(笑)。

 

ワシントン・ナショナル・ギャラリーの壁

ピエール・オーギュスト・ルノワール《バレリーナ(The Dancer)》(1874年)ワシントン・ナショナル・ギャラリー

今回、日本語解説により、バレーの回転後の足のポジションを描いていることを初めて知った。だからチュチュのスカートも翻っているのね(^^ゞ。そして、あらためてしみじみ観ると、バレーシューズの淡紅と白色の筆致がサテンの微妙な光沢を描写しているのがさすがであり、リボンとチュチュの青から白の諧調と背景の淡青緑の諧調のなかで、彼女の頬と唇の紅色とともに愛らしいアクセントとなっているのに気付く。ルノワールの赤の使い方は本当に上手いと思う。 

私的に古典絵画を観る時はどうしても身構えてしまうのだが、印象派作品の場合はゆったりとその光り輝く色彩のハーモニーを眼で楽しむことにしている。特にルノワールの場合、背景の近代化・工業化された社会とか、踊り子の社会的位置とか、殆ど画面上に社会性を持ち込むことはしないから、私もただただルノワールの煙るような筆致と色調の美しさを十分に堪能させてもらった。ちなみに、今回の展覧会の惹句も「画面の隅々まで幸せな情感に満たされた光り輝く表現」だったしね。 

で、展覧会場を気持ちよく出て、小腹がすいたなぁと、美術館内のカフェに行ったのだが、ここで想わぬ不快な応対を受け、この幸せ気分が一遍で吹き飛んでしまった。その話をイタリア語教室で話したら、先生に「E’ andata via?」と聞かれたが、今思うと本当にそうすべきだった! ということで、その詳細は次回に(^^;



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