花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

福岡市美術館「永遠のローマ展」サクッと感想(3)

2024-03-20 19:59:36 | 展覧会

絵画コレクションでは、他に興味深い作品に目を止めてしまった。なにしろ「パルマで活動したフランドルの画家(16世紀後半)とある。

パルマで活動したフランドルの画家(16世紀後半)《洗礼者聖ヨハネ》(16世紀末)

特に眼を惹くのは聖ヨハネが紅緞子(?)を敷いていることで、その描写も含めて、ああ...フランドルだなぁと頷いてしまう。聖ヨハネの造形やポーズについてはパルミジャーニーノの影響は納得だが、やはりクリクリ巻き毛や斜め対角線構図などに、私的にパルマと言えばコレッジョからの影響も想起してしまうのであった

ちなみに、パルマ公オッターヴィオの妃マルゲリータ(1522-86年)はハプスブルグ家カール5世(カルロス1世)の庶子(フランドル育ち)であり、スペイン領ネーデルラント総督(1559-1567年)も務めた。後に息子のパルマ公アレッサンドロもネーデルラント総督を務めた(1578年 - 1586年)ので、パルマ公国領でフランドル画家が活動するのはとても了解できるのだ。

で、教皇ウルバヌス8世の肖像である。

ピエトロ・ダ・コルトーナ《教皇ウルバヌス8世の肖像》(1624-27年頃)

パラッツォ・バルベリーニにはコルトーナの描いた有名な天井画がある。なので、コルトーナがマッフェオ・バルベリーニの肖像を描いたのは当然だろう。左手に手紙(書類?)を持つところなんてカラヴァッジョ作品を想起させるけど、きっと教皇はこのポーズがお気に入りだったのかも

この作品でやはり目を惹かれるのはゴージャスなレースの描写で、もしかしてウルバヌス8世はレース好き(お洒落?)だったのかも?と思ってしまったのだ。

というのも、同じカピトリーノ美術館にある《教皇ウルバヌス8世の彫像》を想起したからである。

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ《教皇ウルバヌス8世の彫像》(1635-40年)カピトリーノ美術館

ベルニーニもレースを描写しているのだよね。まぁ、ベルニーニとしては硬い表現だけど、こちらもレースの波うち具合とか頑張っているなぁと思ったのだ

ということで、サクッと感想はここまでで...。


福岡市美術館「永遠のローマ展」サクッと感想(2)

2024-03-04 22:24:53 | 展覧会

さて、まさかのカラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネ》来日である。福岡だけの展示というのは狙ったものなのだろうか? まぁ、カラヴァッジョ好きは遠路遥々でも観に行くしね。ということで、《洗礼者聖ヨハネ》久々の再会を果たしたのだった。眼福

で、嬉しいことに、展覧会場は一部を除き写真撮影が可であり、《洗礼者聖ヨハネ》のクリアな写真も撮ることができた

カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネ》(1602-03年)カピトリーノ美術館

チリアコ・マッティのために描かれた作品にはカラヴァッジョの瑞々しい勢いを感じる。子羊(?)を抱く聖ヨハネは屈託のなさそうなポーズをとり、観者に向かって微笑んでいるように見える。

ミケランジェロのシスティーナ天井画《イニューディ》からのポーズ引用が指摘されている。ベルリンの《勝ち誇るアモル》もだが、ポーズ引用だけではなく両者がチェッコ・デル・カラヴァッジョがモデルとされている点でも共通しているのが興味深い。

ちなみに、2006年のデュッセルドルフ「CARAVAGGIO ―Auf den Spuren eines Genies 」展では、この《洗礼者聖ヨハネ》とベルリンの《勝ち誇るアモル》が向かい合うように展示されていた

※ご参考:https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/81aae4cc18103fa9b365a27d750b80ac

さて、この《洗礼者聖ヨハネ》には《笑うイサク》説がある。通常描かれる洗礼者聖ヨハネの持物の欠如とともに、抱き寄せているのが子羊ではなく角のある雄羊であることもその一因で、更に大元の根拠として、左下部に描かれているのが赤い炎でありアブラハムの燔祭(イサクの犠牲)の残り火であるとの説である。故に、寸でのところで命拾いをしたイサクが喜んで笑っていると...

今回の会場照明はしっかり観察できる明るさがあったので、接近して写真も撮った。遠目には赤布がはみ出したのか?とも見えるのだが、じっくり見るとそうではなく、石か薪を描いた上から赤が塗られているのだ。それが「炎」だと言われれば確かにそう見えるのが不思議である。

美術ド素人の私的見解を言えば(「The Burlington Magazine」掲載論考を読んで以来だが)、案外《笑うイサク》説も妥当なように思えるのだ。カラヴァッジョの人を煙に巻くscherzoのような気がするしね

で、下↓写真はカラヴァッジョによるレプリカ《洗礼者聖ヨハネ》(ドーリア・パンフィーリ美術館・所蔵)である。

カラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネ》(1602-03年)ドーリア・パンフィーリ美術館

興味深いことに、ドーリア・パンフィーリ作品の左下部分には赤い炎が見えない。でもね、このレプリカ作品も本当に眼を喜ばせてくれる良い作品なのだよ

ということで、続く...。


桃の節句。

2024-03-03 11:10:33 | Weblog

今日は3月3日で雛祭り=桃の節句。お雛様は飾らないが、せめて節句らしく桃の花を飾ってみた。

仙台はまだまだ寒いが、桃の花を眺めていると、なにやら春めいた気分になる。

ということで、ついでに桜餅も食べて春気分を盛り上げたのだった

 


カラヴァッジョ《キリストの笞打ち》ドンナレジーナ(ナポリ)で特別展示。

2024-03-01 14:40:32 | 展覧会

ボローニャのFさんから展覧会情報を頂いた(Grazie!!>Fさん)

ルーヴル美術館に貸与されていたカラヴァッジョ《キリストの笞打ち》がナポリに戻ってきた。しかし、今回展示されるのはカポディモンテ美術館ではなく、ドンナレジーナ教区博物館(ドンナレジーナ・ヴェッキア)なので、ナポリに観に行く方は要注意だ。(ピオ・モンテ・ミゼリコルディアの近くでもある)

https://www.youtube.com/watch?v=kJbSBDY8rcQ

・会期:2024 年 2 月 28 日(水)~ 年5 月 31 日(金)

・会場:ドンナレジーナ教区博物館(Complesso Monumentale Donnaregina - Museo Diocesano Napoli)

カラヴァッジョ《キリストの笞打ち》(1607-08年)カポディモンテ美術館

《キリストの笞打ち》は元々サン・ドメニコ・マッジョーレ教会のフランキス礼拝堂のために描かれた祭壇画であり、1980年以降はカポディモンテ美術館に所蔵されるようになった。

カポディモンテ美術館では暗い特別室に照明効果を加えた展示をしているが、今回のドンナレジーナでの展示は(動画を見る限り)細部まで観察するのに適しているように思える。