ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

乃木坂の風 12Oct13 ~ 「処女なめんなよ!」、全身マヨネーズで女優若月佑美誕生!

2013-10-12 16:00:00 | 芸能
早口言葉、絶叫、罵り合い、取っ組み合い、飛び交うパンケーキ、炸裂するマヨネーズ、箸チャンバラ、殺し合い、放心。

若月佑美さん、まず最初に、「ありがとう」と言わせて下さい。

「2LDK」は、本当に面白い舞台で、久しぶりに演劇を堪能しました。

始まるまでは、若月さん、声が出るかな、台詞が飛ばないかな、掛け合いとか大丈夫なんだろうか、などと考えていましたが、

大変に失礼ました。

もう、アイドルとか、乃木坂とか、そんなこと全部忘れて、珠玉の舞台演劇を、ひたすら楽しむことが出来ました。

脚本演出の三浦有為子氏の言う通り、実に「濃密」な二時間でした。

印象に残ったシーンをちょっとピックアップしてみます。

若月佑美が放つ言葉の速射砲

福田彩乃が演じる橘ラナと、2LDKの部屋をシェアしている、若月佑美の松本希美が、「あ、い、う、え、お、か、き、く、け、か、こ、か、こ」的な発声練習をするシーンから、劇が始まります。

松本希美は、女優志望の21歳女子大生だけど、眼鏡をかけて、上下ジャージのイケてない格好で、根が地味なのが分かります。

そして、舞台左上に作られた自分の小部屋で、延々と発声練習を行うのですが、声が大きいし、通るし、早い早い。

この段階で、すでに度肝を抜かれました。

「ああ、若月佑美は、ここでは、もうアイドルじゃないんだ。これだけ見事な発声が出来る、役者なんだ」

多くの観客が、同じような気持ちになったと思うのですが、おそらく、これはオリジナル演出をした堤幸彦氏の作戦じゃないでしょうか。

乃木坂ファンがほとんどを占めるであろう観客に、スイッチを切り替えさせて、アイドルの世界から、演劇の世界に入ってもらう玄関口を意図的に作った気がします。

そして、冒頭の発声練習だけでなく、健康ヲタクでもある松本希美が、「デオキシリボ核酸」「グルテン」「コンドロイチン硫酸」といった化学用語を混ぜた説明を、劇中の随所で、早口にまくしたてていきます。

さらに、映画や文学の人名や作品名も、次々と登場しますが、ほとんどが、早口言葉のように発せられます。

若月佑美のこの言葉の速射砲が、劇にリズム感を与えて、この物語のベースを作っていきます。

乃木坂を意識した台詞

若月が発声練習をする一方、舞台右上に作られた小部屋では、橘ラナ、つまり福田彩乃が、派手な服を着て鏡に向かって、入念なメイクを施しています。

どうやら、福田と若月は、単なるルームメイトではなく、同じ芸能事務所に所属するタレントで、「2LDK」は事務所が借り上げている、いわゆる社宅のようです。

そして、二人とも映画のオーディションを受けていて、しかも、選ばれたら間違いなく有名女優になれる、有名監督が手掛ける、とんでもなく大きなオーディション。

全身ジャージで地味な若月と香水ふりかけてハデハデの福田が、同じ2LDKに住んでいて、かつ、映画のオーディションで最終選考の二人に選ばれ、いよいよ明日、シンデレラが決まる、そんなキッツイ夜の話ですね(笑)。

オーディションから先に帰って来た若月、テーブルの上に散乱するお菓子の袋を見て、イライラし始めます。

きっちりと、燃えるゴミ、燃えないゴミを分別して、最後に、放り出されたテレビのリモコンをテーブルの端に置いて、

「リモコンはここ!、向きはこっち!」

かなり神経質な女です(笑)。

NHKのドラマで、中島知子と佐々木蔵之介がルームシェアをする話がありましたが、なるほど、若月の「地味で真面目」と福田の「派手でいい加減」が、細かい心理的対立を繰り広げるんだなと、そういう予感が漂ってきます。

その予感、完全に外れてましたが(笑)。

その後、若月が独白を始めます。

大女優を夢見る松本希美ですが、廻って来くる仕事はセクシーグラビアばかり。

事務所が借りたアパートで、性格真逆の先輩と暮らす毎日。

王子様が開いた舞踏会で踊るシンデレラは、ガラスの靴で、自分の足が傷つくかもしれないと怯えながら、それでも踊り続けなきゃいけない。

華やかに見える芸能界も、結局、お金を持っている人間の思いつきで、踊らされているだけで、その足元は、ぐらぐらとした縄梯子のようなもの。

連中の気が変われば、すぐに梯子を外される。

ん~、この台詞は乃木坂の7th選抜を連想させますね。

二期生大抜擢や代々木夜公演でのサプライズ発表なんて、メンバーは、運営のおもちゃですから。

さらに、ハイレグビキニで横たわる若月のセクシーグラビアを見た大分の実家にいる母親が、「ケツが出ている」と怒って(笑)、芸能界を辞めて、実家に帰るよう電話してくるんですが、そのシーンも興味深い。

「おかあやん、私はもう大丈夫。昔の私じゃないから」

ちょっと、ドキッとしますね。若月佑美はデビュー直後、昔の話をぐちゃぐちゃ言われたようなので。

でも、若月の、そういう人間らしいところ、私はとても好きですよ。

何があったかよく分からないんですが、もし誰かを好きになって、それを批判されるのだとすれば、理不尽極まりない。

恋をするのはイケないことか?ってことですよ(笑)。

ところで、ステージ後ろに大きなモニター画面があるのですが、ここに、若月の水着写真が「とれたて(?記憶曖昧)ピーチ」のテロップと共に、何度も映し出されて、若月がそれを見せまいとジタバタする。

母親にも、

「全部、脱いでるわけじゃないから。お尻は大女優さんだって、見せるから」

この辺、「SUMMER NUDE」での橋本奈々未の水着シーンや、写真集「乃木坂派」での水着などが、賛否両論を呼んでいる乃木坂の現状を、堤監督が皮肉ったようにも見えますね。

たかが水着で、何を騒いでるってところでしょうか。

ただ、ご安心下さい。

若月の水着、あれは顔だけ若月で、間違いなくコラです。

なぜって、あんなに大きくは・・・

失礼しました(笑)。

エスカレートする二人の「欠点」

福田彩乃は、よくある派手派手のルーズな女かと思いきや、やたらとカップ麺を食べて、その後、吐きにいく。

テレビで、赤ん坊の声がすると、突然、正気を失って、「私じゃない、私じゃないと」と絶叫し始める。

このシーン、客席に下りるんですが、天井から、赤ん坊の人形が落ちて来たり、結構、凝った作りになってます。

ドラマの後半明らかになるのは、かつて妻子ある男性と不倫して、奥さんが赤ん坊を道連れに心中したらしい。

「私は、人殺し」

というわけです。

一方、神経質で健康ヲタクの若月も、小学校の学芸会で、「オズの魔法使い」の主役であるドロシー役に抜擢されたんだけど、直前に緊張のあまり過呼吸になって、劇に出られなかった過去がある。

それ以来、大学受験でも、東大確実の学力なのに、過呼吸発作で実力が出せず、誰も名前を知らない女子大に行かざるを得なかった。

恵まれた美貌と頭を持ちながら、人生のチャンスをことごとく、過呼吸で潰してきた。

若月も、過呼吸になるシーンで、客席に下りるんですが、立ち位置の近くに座っていた男性客が嬉しそうに彼女を見つめていて、ん~、羨ましいっす(笑)。

最初は、ちょっと神経質だったり、ちょっと派手だったり、誰にでもあるレベルのことだったのですが、話が進むにつれて、シャレにならない深刻さが露呈してきます。

そして、それと同時に、二人の対立も、シャレにならない領域に入っていく。

「処女なめんなよ!」、取っ組み合い、そして殺し合い

春日部のおじさんが韓国旅行のおみやげに買ってきた、若月愛用の「かたつむりクリーム」を、福田が指ですくって使っただの、福田愛飲の超高級野菜ジュースを若月が飲んだだろうとか、そういう細かいぶつかり合いから、バトルは始まる。

ちなみに、若月は、指で取ると雑菌が繁殖するからと、「かたつむりクリーム」をスパーテル、つまり薬さじで取るんだそうで、そりゃ怒りますわな(笑)。

そして、潔癖性の過呼吸女と、過食症のルーズ女のぶつかり合いは、どんどん激しくなっていきます。

とくに、最近事務所を辞めた放送作家志望の「江崎たくや」君を巡って、若月の怒りが沸点に達していく。

若月は、江崎君が好きで、二人で会う約束をしていたのだけど、行けなくなったと留守電が入っている。

若月の恋心を察知した福田は、「私、ラインでたくや君とやりとりしてるの」と、ハートマークが21個も入ったメールを見せびらかして、若月を苛立たせる。

これは、江崎ではなく、別のたくや君なんですが、デートを断られたと思い込んでいる若月、完全に信じて、気持ちが行っちゃいます(笑)。

最初は、取っ組み合い程度なんですが、若月が、リビングに飾ってある福田のミスコンのトロフィー、東海地区準優勝(笑)、を掴んで、福田の頭を殴りつけるあたりから、殺し合いの様相を見せてきます。

とくに若月の攻撃がエグイ。

熱したアイロンを押し付けたり、スプレーで目つぶし、チャッカマンとスプレーで火炎放射器。

もちろん、福田も黙ってません。

グルテンダイエット、実は、小麦粉アレルギーの若月に、ハワイから送ってもらった大量のパンケーキを投げつけ、さらに、若月に顔をぐりぐり、パンケーキサンドにしちゃいます。

また、福田さん、言葉責めが強烈です。

「私ね、たくやと寝たの。やりたい盛りの若い男なんて、イチコロよ。男をイカせるぐらい出来ないと、女優になんてなれないわよ。ああ、あんた処女だったわね」

ぶち切れた若月、福田を押し倒して、さらに、顔面キックで一言、

「処女なめんなよ!」

いいですね~、思わず拍手しそうになった、このシーンで(笑)。

その後、なんと江崎君から若月の携帯に電話が入ります。

実は、デートに行きたかったんだけど、おばあちゃんが亡くなって、実家の香川に急遽戻らなければならなかった。

でも、自分は若月のことが好きで、付き合ってくれないか、と嬉しい言葉が続きます。

しかし、若月、江崎は福田と出来てると信じ込んでいるので、一言もしゃべらず、この出鱈目な歯の浮く台詞を、怒りの表情で聞いています。

このとき福田は、冷蔵庫からマヨネーズを一本取り出して、携帯を持って立ちつくす若月に、マヨネーズを振りかけて、キレイな上下の平行線を描いていきます。

鉄板焼き屋で、店員が、焼き上がったお好み焼きの上に、マヨネーズの筋を何重にも作ってくれるのありますよね。

あれの立体版で、若月の髪の毛から脚まで、マヨネーズの平行線が幾筋も上下に描かれ、しかも、芸術的なまでに出来が良い(笑)。

これ、福田彩乃は、相当に練習したのだと思います。

そうでなければ、なかなか、あんなに見事な若月の立体お好み焼きは作れないと思う(笑)。

結局、江崎君の告白電話をぶち切って、携帯をトイレに投げ込み、

「初めて、おとこを振ってやった、気持ちいい~」

ん~、確か、若月さんは、乃木坂46っていうグループのアイドルでしたっけ?笑

この辺まで来ると、もう、アイドルは吹き飛んで、女優若月しか見えません。

しかも、若月さん、明らかに、福田より怖いんですよ。

「先輩すいません、私が悪かったです」

と可愛い声で謝って和解するんですが、お詫びのマッサージで、保湿効果が高い巨大カタツムリを福田の顔に乗せ、パンケーキ用の生クリームを髪にだばだば掛けちゃう。

で、「せんぱ~い、甘いですよ、このクソ女が」

といきなり声が低くなって、ブラック若月が再登場です。

もう、ホラーです(笑)。

若月さん、初舞台ですよね、これ。

信じられん、このクオリティ、この演技力。

「虹の彼方へ」

二人のバトル、結局、朝まで続きます。

長い菜箸でチャンバラをやって、双方が相手の喉元に箸を突きつけて、にらみ合っているときに、電話が鳴る。

社長からの、オーディションの結果を知らせる電話で、なんと二人とも合格。

監督が、主人公の二面性を、若月と福田の二人で表現したいと言い出したそうです。

茫然自失の二人。

テーブルに座って、放心状態のなか、福田が言います。

「もう後戻り出来ないよ」

すると、若月、

「行こう!虹の彼方へ、エメラルドの城へ!」

「オズの魔法使い」の台詞だと思いますが、若月佑美は、本当に「虹の彼方へ」行くでしょう。

「乃木坂各論第2話」にも書きましたが、私は、乃木坂では、若月佑美が、もっとも商業女優として成功する可能性が高いと思っています。

女優としての才能は、星野みなみが群を抜いていて、生田絵梨花と伊藤万理華も、素晴らしいものを持っています。

ただ、彼女たちは、若いためだとも思いますが、持っているオーラが一方向に強烈で、ハマリ役でないと、実力が出せない部分がある。

しかし、「SUMMER NUDE」の橋本奈々未のように、女優としてのステップアップは、まず端役をこなすところから始めなきゃいけない。

その点、若月佑美は、良い意味で、オーラを消すことが出来て、人間心理への洞察力も優れているので、どんな役でも上手くこなす「器用さ」を持っていると思います。

しかも、あのルックス、あのスタイル、あの眼力。

昨日の舞台でも、立っているだけで、若月佑美は雰囲気があって、魅力的だった。

女優に向いていると思ってましたが、舞台を見て、確信しました。

若月佑美は、間違いなく人気女優になるでしょう。

テレビや映画で、しょっちゅう彼女を見る、そんな時代がやって来ると思います。

若月さん、代々木とがっつり重なって、大変だったと思いますが、期待を遥かに越える、素晴らしい舞台でした。

本当に、お疲れさまです。


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10月11日22:48 伊藤万理華
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10月11日18:12 畠中清羅
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10月11日22:48 伊藤万理華
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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています

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