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松村沙友理の「不倫騒動」は報道連鎖が生み出したメディア「幻想」、原著を読む重要性を考える [30Oct14]

2014-10-30 17:00:00 | 芸能
文春記事の騒動後に初めて更新した松村沙友理のブログ、コメントが殺到していて、現時点で5千を越えていますね。

ざっと眺めた感じでは、厳しい声がちらほら見られるものの、さゆりんごへの激励や応援がほとんどのようです。

公式ブログへのコメントは、運営のチェックが入るので、肯定的な意見が多いのは当然ですが、ここまで数が伸びるのは、さすがに松村沙友理の人気が高いことを表しています。


松村さんは、乃木坂が出した10枚のシングルすべてで選抜2列目以上に抜擢され、6枚目「ガールズルール」、7枚目「バレッタ」、9枚目「夏のFree&Easy」では、フロントメンバーになっています。

また、プリンシパル、全国ツアー、歌謡祭、フェスなどのイベントで、さゆりんが休んだという記憶がほとんどなく、常に明るい笑顔で場を盛り上げてきました。

さらに、雑誌、テレビ、ラジオなど、メディア露出が多く、乃木坂の顔として、グループの人気向上に大きく貢献しています。

個別握手会でも、デビューシングル以来、おそらくトータルで15万枚以上のCDを1人で売り上げている筈で、非常に高い人気を誇る乃木坂の中心メンバーと言っていいでしょう。


乃木坂46を誕生から支え、ファンを増やし、人気を軌道に載せてきた、松村さんの貢献度を考えると、プライベートで男性と数回デートしたことを理由に、もし何らかの「処分」が下されるのだとすれば、それは理不尽極まりない話です。

「処分なし」が運営の方針なら、珍しく全面的に賛成できる(笑)、優れた判断だと思います。

これで「降格」などが行なわれたら、「3年間、松村沙友理ほど表舞台で活躍しても、運営は守ってくれず、それどころか数回のデートで罰を受けるのか」と、他のメンバーが動揺して、運営との信頼関係にヒビが入る可能性すらある。

「全員で坂を上ろう」という意識があって、結束力の強い乃木坂ですから、誰かの「処分」は、グループの雰囲気を暗くしてしまう危険もあるでしょう。

ただ、「処分」するべきでない一番の理由は、そもそも恋愛は個人の自由に属する問題だからです。


最新号の「TIME」(Nov. 3, 2014)によると、国際経済フォーラムが2013年に調べた、各国における女性の社会進出率が、日本は、高度な教育を受けた人が多いのに、先進国はもとより、カンボジアより低い順位になっているそうです。

女性の地位が低い国という批判を気にしたのか、安倍首相は、国連の演説でも女性の積極的な登用を宣言し、先の内閣改造では、5人の女性を閣僚に任命しました。

まあ政治資金の問題で、いきなり二人が辞任して、トホホな状況になっていますが(笑)。


松村沙友理の文春記事問題は、国内の小さな出来事ですが、プライベートでの数回のデートを理由に、女性アイドルが職場で「処分」を受けたとなると、日本では若い女性が自由に恋愛すら出来ないというメッセージを発信しているようなもので、国際社会から「そらみたことか、やっぱりおかしな国じゃないか日本は」と、嘲笑の的になってしまう。

峰岸みなみが「坊主」になった件なんて、海外では、滅多なことで話せる内容じゃなく、日本人だけの秘密にしておきましょう(笑)。

岡本夏生のように、日本の芸能界には、「アイドルは恋愛禁止を守るべき」という意見が根強くあるようですが、前回記事に書いたように、恋愛は結婚や妊娠出産につながる基本的な人権に関わる事柄なので、アイドルであっても、個人の判断に任せるべきで、外から強制するものではないという発想を、そろそろ根付かせた方がいいと思います。

職業上の理由であっても、個人の基本的な権利を、他者が無制限に縛ることが出来ないのは当然で、「恋愛禁止」なんて「ルール」は、あったとしてもシャレに留めておくべきもので、「処分」によって、強制する類いのものじゃないということです。


ソニーは、広く国際展開する多国籍企業なので、文春記事問題に対処する運営の姿勢に、女性やマイノリティの権利を軽視しないという、現在の国際感覚が少しでも反映されているのだとすれば、喜ばしいことで、乃木坂46を通して、新しい時代のアイドル像を作っていって欲しいですね。

まあ、ソニー本社と乃木坂運営は、あまり関係ない気もしますが(笑)。

しかし、芸能界の近代化って、タレントの社会的地位向上に欠かせない筈だけど、日本では、アイドルだからという理由で、成人女性の恋愛禁止がマジで叫ばれ、さらに、中学高校生、果ては小学生にまで、握手会やそれ以上の接触系イベントをさせているような現実があって、まだまだ道のりは遠そうです。


松村沙友理の文春記事騒動は、恋愛に、「不倫」という言葉が付け加わって、それが批判のボルテージを何倍にも上げてしまいました。

しかし、松村さんが「不倫」したというのは、マスコミが作り出した「幻想」です。

週刊文春デジタルの10月23日号に載った『乃木坂46・松村沙友理「親密会話」メモ』を読むと、二人の出会いが「仕事上の付き合い」でないことを示す、決定的な部分がある。

相手の男性が彼女に、

一番最初に会ったときも、職業まわりのことをごまかすときは、話に歯切れがなくて

と話しかけています。

グラビア撮影を通して、編集者と乃木坂メンバーとして知り合ったとすれば、「職業まわりのことをごまかす」なんて、あり得ませんね(笑)。


出会いが仕事絡みではなく、しかも、女性側が名前や職業をごまかし得るケースとなれば、松村沙友理のラジオ発言通り、「ナンパ」の可能性が濃厚になります。

この段階で、少なくとも松村さんには、「不倫」という言葉は当てはまらなくなります。

なぜなら、妻帯者であることを正直に申告しながら、ナンパする男はまずいないからで、実際、会話メモにも、家庭の話は一切出てきません。


興味深いのは、男性が自身の「引っ越し」について話す部分です。

引っ越しの計画が、仕事上の都合で延期になりそうだと述べていて、「どうするの?」と訊いた松村さんに対して、

いろいろ要素があって

と答えている。

妻帯者が引っ越す場合、一番問題になるのは家族のことの筈で、おそらく「要素」というのは、その辺を含んでいるのだと思います。

しかし、「要素」の中味は明かされず、まるで一人暮らしの独身者が引っ越すかのような雰囲気で、二人はやりとりしている。

この会話は、松村さんが、相手を独身だと思い込み、男性もそのように振る舞っていたことを示唆しています。

さゆりんは、この点について、上手く騙されていたんでしょうね。

そもそも、記事には「妻帯者であることは後の取材で判明した」と書かれていて、会話を聞いた記者自身が結婚していることを見抜けなかったわけで、「知らなかった」という松村さんの発言は、会話メモと矛盾なく合致する、自然な主張です。


一方、松村さんも、偽名を使っていて、もちろん、乃木坂という言葉も一切出てきません。

ただ、彼女は「来週オーディションがある」と発言して、それに対して男性が、「何の?声優?」と訊ねています。

声優志望の新人タレントか新人アイドルといったキャラ設定を、松村さんが行なっていて、男性側も、本心でどう思っていたか別にして、表面的には、それに乗っかって話していた節がある。

お互い同士、素性について不都合な点を隠しながら、フィギュア、ガンダム、マンガなど、興味が共通する話題をしゃべり続けていたわけです。

松村さんは、「男女の仲という感じではなく」と「レコメン!」で発言してますが、確かに、艶っぽい内容の話は皆無で、「君は可愛いね」といったレベルの言葉すらなく、ひたすら二次元オタク同士の濃ゆいトークが展開します(笑)。

ちなみに、「オーディション」という言葉は、上記の部分に出て来るだけで、「4万人の中から選ばれた」なんてフレーズはなく(笑)、握手会という言葉も出てきません。


「不倫」というのは、相手が結婚していることを知りつつ、男女の仲になってしまうことだそうで、「ナンパ」されて、相手は当然独身だと思って何回かデートすることを、「不倫」とは呼ばないでしょう。

しかも、会話メモは二次元談義に埋め尽くされている感があって、男女の仲を示唆するような、色気のある話は見当たりません。

また、文春が目撃したのは、焼き鳥屋やカラオケに行き、マンションの前で別れるというデートであって、法的に「男女の仲」の証拠になると言われる、二人でホテルに入ったとか、マンションで長時間過ごしたという情報はない。

結局、男女の関係であることを疑わせるものは、路上での抱擁キスしかありませんが、イチャイチャはしても、しかるべき時期まで、一線は越えないという考え方の女性がいてもおかしくないし、ラジオ発言のように、酔った勢いでという可能性も十分あり得る。

文春の記事には、「酒のほとんどは」男性が飲んでいたと書かれていて、松村さんが一滴も飲まなかったと言っているわけではない。

普段、ほとんど酒を飲まないのであれば、少量のアルコールで酔うことは十分に考えられます。

従って、文春が載せた情報から、男女の仲を否定した松村さんのラジオ発言が嘘だと結論することは出来ません。

簡単なロジックです(笑)。


実は、文春記事の中に、「松村沙友理は不倫している」と述べた文章はないんですね。

「不倫騒動」といった流れで、「不倫」という言葉が出てくるけど、松村さんがそうだと、正面から断定している部分はない。

さらに、二人がどうやって出会ったかに関しては、「真相は不明」と書いてあり、この点に対しては反論を控えていて、「ナンパ」という松村さんの主張を、「そうかもしれない」と感じているようにも見えます。

「ナンパ」で数回デートしたのであれば、「不倫」とは全然違った流れになってくるわけで、文春側の考え方を推し量る重要なポイントだと思います。


文春記事を受けて、さまざまな記事が書かれ、テレビのワイドショーで取り上げられ、「不倫」の二文字が溢れ返りました。

しかし、アイドルにとって大きなダメージとなる「不倫」という厳しい言葉を使っているにも関わらず、松村沙友理は「不倫」していた、つまり、相手が妻帯者であると知りつつ、男女の仲になってしまったと、疑わざるを得ない合理的な根拠を示した記事や報道を、最初の文春も含めて、私は見たことがありません。

路上でのキスシーンや、トップアイドルと妻子ある雑誌編集者というインパクトによって、直感的に思い至った「不倫」という発想に引きずられている記事がほとんどで、記録された会話内容や独自取材で得た情報から、松村発言を論理的に崩して、「不倫」疑惑を導き出すことに成功した文章は目にしたことがない。


もし各メディアが、文春が出した全部の記事をしっかり読んでいたら、むしろ松村さんのラジオ発言と符合する点が多いことに気づいた筈で、もっと違った報道になったのではないかと思います。

書かれた記事から、より刺激的な部分を取り出して報道し、その報道がさらに刺激的な報道の根拠となる。

今回の文春記事を発端にした松村沙友理の「不倫騒動」は、私には、こういった報道の無責任な連鎖が生み出した、「メディア騒動」に見えます。

より面白い方、よりパンチのある方、そうやって流れていくうちに、事実が歪んでいって、本当のことをしゃべっている可能性のある人が、真っ赤な嘘つきにされてしまう。

怖いですよね、もし自分が松村さんのような立場に置かれた、当事者だったら。


関連サイト

松村沙友理の2014/10/28_01:12ブログ


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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています


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