ジャン・アレチボルトの冒険

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金属探知機は魔法のアイテムではない、AKB48Gと乃木坂46に求められる握手会依存からの脱却 [28May14]

2014-05-28 00:28:50 | 芸能
以前、長嶋茂雄氏の自宅に泥棒が入ったことがありました。

長嶋氏は、当時、「セコム」のテレビCMに出ていて、家にも彼の宣伝していた「ホームセキュリティシステム」が設置されていました。

ところが、肝心なときに、そのシステムが作動しなかった。

なぜかというと、「スイッチを切っていたから」だそうです(笑)。

設置当初はスイッチを入れていたのだけど、泥棒や空き巣ではないのに、ちょっとしたことで警報が鳴り、そういう「誤作動」がたびたび起こったため、面倒なのでスイッチを切っていた、という話を聞いたことがあります。


AKB48全国握手会での刃物によるメンバー襲撃事件を受けて、警備強化のため、イベントの際に、「金属探知機」を導入すべきという声があがっています。

金属探知機による所持品チェックは、大きな効果があるように思えますが、それには「スイッチが入っている」ことが重要です(笑)。

空港にあるようなゲート型にせよ、手に持ってかざすタイプにせよ、探知の感度を上げれば、家の鍵、車のキー、ベルトのバックルなど色んなものに反応して、ひたすら警報が鳴り続けます。

従って、そういった通常所持品を全部出してもらってからの検査となりますが、金属製のボタンや装飾品が付いた服であれば、それに反応することもある。

検査する人数が少なければ、それぞれのケースに対処出来ると思いますが、AKB48グループや乃木坂46の握手会であれば来場者が1万人近くということもある。

一人一人、いちいち丁寧に調べていたのでは、いつまで経ってもイベントが始められません。

必然、探知機の感度を落とさざるを得ないし、時間短縮のために家族連れやアベックは検査しないなど、だんだんとチェックが甘くなっていくでしょう。

そして、何も事件が起こらない状態が半年、一年と続くと、観客はゲートをくぐらされるけど、実は、スイッチが入っていないなんてことが起こっても、不思議ではありません。

それでは何にもならないですね(笑)。


警視庁がAKB48運営に対して、イベントでの警備強化を求めたそうですが、この要請に法的拘束力はなく、金属探知機によるチェックを行わなかったからといって、それが直ちに法律や法令違反ということではない。

そして、ほとんどの休日に全国各地で、AKB48グループの握手会が行われ、週末ごとに、おそらくのべ人数で何万というファンがやって来る。

こういう状況では、金属探知機を導入しても、すぐに現場の実情に合った「柔軟運用」となって、検査が形骸化するのは目に見えています。

しかも、凶器が金属製とは限りません。

セラミックの包丁もあるし、プラスチックや木製の棒も凶器になり得ます。

メンバーの安全を守るためには、来場者一人一人について、手荷物検査やボディーチェックを丁寧に実行するしかないわけで、金属探知機による検査は、その補助に過ぎません。

丁寧な検査に時間が掛かるのは当然で、それを実現するためには、来場者の数を減らす、つまり握手会の規模を縮小するしか方法はないということです。


AKB48の最新シングルである36枚目「ラブラドール・レトリバー」(5月21日発売)は、個別握手会が4日、全国握手会は7日あり、また、33枚目「ハート・エレキ」(昨年10月30日発売)、34枚目「鈴懸の木の道(以下略)」(昨年12月11日発売)、35枚目「前しか向かねえ」(2月26日発売)の個別や全国握手会がまだ終わっておらず、現在でも延々と行われています。

事件が起こった握手会も、「ハート・エレキ」と「前しか向かねえ」を合わせた全国握手会でした。

これほど日数が多い上に、個別握手会は朝の9時から夜の8時まで11時間も行われ、SKE48などの「支店」メンバーも参加するので、来場者はとてつもなく多くなっています。

この来場者の多さが連続ミリオンを支えているのだけど、防犯の観点からすると、守るべきラインが伸び切っている状態で、警備の手薄な部分が至る所に出来て、メンバーの安全確保が難しくなっています。

結局、本気でメンバーを守るつもりであれば、握手会の日数と部数を減らして、来場者数を抑えるべきで、握手会の規模を一切変えずに、導入しただけで安全が保証されるような魔法の機械は、どこにも存在しません。

つまり、握手会に多くの人を呼び込んで、ミリオンやハーフミリオンを達成するという発想を止めない限り、メンバーは危険にさらされ続けるということです。


握手会の規模縮小は、今回のような襲撃事件を防ぐだけでなく、メンバーの精神的健全性を保つ上にも、大いにプラスになると思います。

握手会で暴言を吐いたり、セクハラを仕掛けるといった行為は、メンバーから見ると心理的な攻撃であって、刃物による攻撃のように血は流れませんが、メンバーが傷つくことに変わりありません。

しかも、物理的な攻撃はすぐに排除されて、以後、その人物がレーンに現れることはないですが、心理的攻撃の場合、メンバーのために敢えて厳しい言葉を掛けたのだと、本人が考えていることがあり、運営も「ファンの熱さ」だと見なして、なかなか出入り禁止にしない場合がある。

運営の腰が重い背景には、握手会に出来るだけ多くの人に来てもらって、CDの売り上げを伸ばしたいという発想があると思います。

CDセールス至上主義を止めて、握手会の規模縮小に踏み切れば、物理的な攻撃だけでなく、心理的攻撃を排除する機運も高まる筈で、メンバーの身体的安全性だけでなく、精神的健全性も同時に確保される道が開けてきます。


メンバーと一対一で向き合う握手会であっても、それは友だちや知り合いとプライベートで会っているのではなく、本質的には、メンバーによる一種のショーだと思います。

コンサートでは、やってはいけないことが色々あって、それを守ることでアーティストが全力を出し、観客が楽しめるのと同じように、個別握手会というショーを盛り上げる為には、守るべき約束ごとがある。

しかし、二人だけというシチュエーションから、それを理解出来ない人が出てくるのは避けられないことで、残念ながら、そういう人はレーンに入れないという措置をとるしかありません。

ただ、メンバーに掛ける言葉の問題にしても、どこからがアウトで、どこまでOKにするかの線引きは難しく、規制を厳しくすると、やり過ぎ感が出てきて、来場したファンが窮屈に感じる可能性がある。

結局、握手会は、メンバーも大変ですが、ファンにもそれなりの覚悟と心づもりが要求されるイベントで、安全性と健全性を保ちながら、楽しい握手会にするためには、参加者を絞って、小さな規模でやらざるを得ないと思います。

ファンとメンバーが至近距離で接触して、話をする握手会は、ライブ以上に、とても難しいイベントだということですね。

この認識をAKB48グループや乃木坂46の運営が持たない限り、握手会を巡るトラブルは減少しないでしょう。


握手会を止めて、CDセールスを落とせば、AKB48グループと乃木坂46は、経営的にやっていけないという意見がありますが、これほど悲惨な事件が起こったにもかかわらず、大人の経済的理由から、中学高校生の未成年を多数含む少女たちを、肉体的精神的に危険な状態に置きながら、年間60日近くの握手会をこのまま続行していいわけがありません。

AKB48グループと乃木坂46の運営ほど、経営を握手会に依存している事務所はなく、当然、別のやり方はあるわけで、事件が起こったのならなおさら、握手会以外の方法に舵を切るのが当たり前の対応です。

また、AKB48や乃木坂46が大所帯になっているのは、運営が握手会要員として、安易に新規のメンバー募集を行うからで、握手会依存を止めれば、メンバーを増やすことに慎重になって、グループはほどなく適性な人数に近づいていくでしょう。

そうなると、メンバーをタレントとして活躍させる以外に、経営を安定させる道はないのだから、個々のメンバーを熱心に育てる姿勢にもつながり、メンバーにとって大きなプラスになると思います。

とくに言いたいのは、このまま握手会依存を止めず、これまで通り大規模な握手会を続けて、もし、再び、今回のように一般ニュースで大きく取り上げられる事件が起こったら、そのときは、AKB48グループと乃木坂46が、事実上、活動停止に追い込まれて、消滅する危険があるということです。

しかも、被害を受けるメンバーが今回同様、未成年であった場合、主催者の管理責任が問われるかもしれません。

握手会依存を止めることは、マイナス面以上にプラス面が多いので、たとえ一時的に苦しくとも、今のうちに方向転換を図った方が、グループにとって得なんじゃないでしょうか。


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# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています

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