世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

アンコール・ワットの須弥山の建つ回廊の傾斜は高所恐怖症には辛い角度でした(カンボジア)

2017-02-19 08:00:00 | 世界遺産
 仏教が生まれたインドに、仏教遺跡ではないイスラム教の美しい廟が建てられたのがフユマーン廟やタージマハルでした。一方、インドで生まれたヒンドゥー教の遺跡が仏教国のカンボジアに残るのがアンコール・ワットです。今回は、以前に一度紹介したアンコール遺跡を、その周辺の遺跡を含めて、前回より写真を増やし、切り口を変えて紹介します。ただ、古いデジカメで撮った写真画混じるため、解像度や色再現性が良くないことはご容赦願います。

 アンコール遺跡は、カンボジアの中央部のやや北に位置し、カンボジアを代表する遺跡です。このことは、カンボジアの国旗の中央にアンコール・ワットが描かれていることにも表れています。遺跡群のある芭蕉は、12世紀から13世紀に栄えたクメール王朝の首都の跡で、シエムリアップの北4kmほどのところから、15km四方ほどの山林や原野の中に散在しています。アンコール・ワット遺跡はヒンドゥー教に根差したものですが、アンコール・トムは、仏教の観音信仰の寺院の跡で、両方の宗教がまじりあっています。


 シエムリアップに一番近いところにあるのがアンコール・ワットでヒンドゥー教の寺院跡ですが、およそ400年後に仏教寺院に改修されヒンドゥー教の神様が仏像に置き換えられたそうです。東西1.1km 南北0.9kmの長方形の敷地の周りを190m幅の堀が囲んでいて、広々とした前庭の中央東寄りに三重の回廊で囲まれた祠堂がそびえています。この3番目の回廊への階段が急で60度もあろうかと思われる石段です。登るときは上を見て上りますが、上がってみると下るのが恐ろしくなります。回廊にはおびただしいレリーフが彫られていて、インドネシアノボルブドゥール遺跡を思い起こさせます。

 
 
 
 アンコール・ワットは、堀の外から水面に映る姿も美しいのですが、遺跡の西にそびえるプノン・バケンに上ると、遺跡の全容が上から見られます。上りがきついとおっしゃられる方は、象に乗って登ることもできます。遺跡が、周りの緑に飲み込まれそうで、ジャングルの中に埋もれて歴史から忘れられた時期があることも解るように思います。この、プノン・バケンからは遺跡とは逆方向ですが夕日の名所でもあるようです。一方、朝日は遺跡の西門あたりで待っていると、遺跡の後ろからユラユラと日が昇ってきます。

 
 
 
 アンコール・トムは、アンコール・ワットの北側にあリ、一辺が3kmで複数の遺跡の集合体で、中心となるバイヨンなどは仏教遺跡ですが一部のヒンドゥー遺跡も含んでいます。仏教遺跡といっても、同じ石造りのボルブドゥール遺跡とはずいぶんと違います。やたらと巨大な観音の顔が彫られていて、圧倒的な迫力です。石造りは残りますが、木は朽ちてしまったらしく、象のテラスという遺跡は、かつては上部に木などで作られた閲兵席があり、石の基壇だけが残ったようです。遺跡に無頓着に上って写真を撮る観光客に対して、遺跡の中で瞑想する僧の姿が印象的でした。

  さらに北には、未完のタ・ケウや木が遺跡を飲み込んでしまったタ・プロームなど、数多くの遺跡群があって、頭の整理がつきません。さらに北東方向には、バンテアン・スレイ遺跡があり、こちらにはフランスのアンドレ・マルローが盗掘し逮捕されたデバターがあります。「東洋のモナリザ」と呼ばれるレリーフですが、マルローはこれを切り取ってフランスに持ち帰り、高く売ろうとたくらんでいたようです。空襲から奈良や京都を守ったとされているウォーナも、中国の莫高窟の壁画をはがして持ち帰ろうとしたことは有名で、所詮は西洋人と略奪とは切り離せないようです。アンコール最後の夜に、ホテルでみた現代の東洋のモナリザ達は、東洋人のやさしさにあふれていたようです。

 カンボジアと聞くと、どうしても内戦のことが頭に浮かびます。アンコール遺跡は、ポルポトはの砦として使われたそうで、確かに堀や望楼を備えた立派な城です。また、貴重な遺跡なので、政府軍も攻撃がしにくいという事情があったようです。遺跡や観光地が戦場になることは意外に多いようで、それを破壊することで、相手に精神的なダメージを与える効果があるのだそうです。文化遺産はいったん破壊せれてしまうと再生は、ほとんど不可能で、小さなものなら3Dプリンタという手(データが残されていれば)があるでしょうが、外見は似せられても、本物から得られる膨大な情報は喪失してしまいます。ディジタル技術が最上という誤った風潮がありますが、ディジタルは、その時点で効率の悪いと考えられているデータを落としているんです。


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