毎年、この時期になるとクリスを思い出します。
当時、僕は小学2年生。
アメリカから転校生がやってくると聞いて、どんなヤツが来るのだろうと、内心ドキドキしてました。
担任の先生の後ろから、教室に入ってきたのは、黒髪の女の子。
てっきり、金髪の女の子が来るのかとばかり思ってました(笑)
クリスは、父親がアメリカ人、母親は日本人です。
彼女は日本で産まれましたが、産まれた時から心臓に疾患をかかえていて、出生直後にアメリカで心臓移植の手術を受けたそうです。そしてそのままアメリカで暮らしていたのですが、お父さんの仕事の都合で、再び日本にやってきたみたいです。
クリスは、お母さんが日本人ということもあり、カタコトの日本語を話しました。
しかし、日本の生活に慣れるには、しばらく時間がかかりました。
今では帰国子女は当たり前かもしれませんが、当時はそんな子は彼女以外いませんでしたので、周りの人間も戸惑ったんだと思います。
そんなクリスと、僕はなぜか気が合いました。
彼女の話す、アメリカでの生活の様子が、とても興味深かったんです。
その時のことで一番印象に残っているのが、ハンバーガーの話でした。ハンバーグをパンに挟んで食べる? 当時はまだマクドナルドさえなかった時期です。都下に住む少年が、ハンバーグなど知る由もありません。
クリスは、クレヨンでハンバーガーの絵を描き、レタスやトマトなどが入っていることも教えてくれました。
そんな感じで、僕はいつもクリスの話にワクワク、ドキドキしていました。
ある日、クリスが言いました。
「パーティーがあるの、家に来ない?」って。
「えっ、クリス誕生日なの?」
その頃の僕は、パーティーと言えば、誕生日くらいしか思いつきません。
「明日は、ハロウィンでしょ!」
「えっ、ハ、ハロイン?」
僕は、その時初めてハロウィンという言葉を聞き、アメリカでは、10月31日に子どもたちが仮装し、ハロウィン・パーティーが開かれると知りました。
すげぇ~ アメリカって、すげぇ~!!
なんか、超面白そう!
と、そう思ったんですが、心の中では仮装ってどうすればいいんだ?という不安も・・・
あの頃は、東急ハンズもドンキ・ホーテもないんですよ。仮装するって言ったって、どうすりゃいいのか全然わかりません。
けっきょく、その場では行くとも行かないと言わず、クリスと別れたんですが、仮装をしないで僕がその場に行くのは、やっぱりみんなを白けさせちゃうじゃないかと思ったんです。だから、翌日クリスに電話して、僕は風邪をひいて、熱が出たので行けないって言っちゃったんです。
クリスはとても残念がっていたけど、優しく「お大事にね」って言ってくれました。
仮病を使った僕は、外に出ることも出来ず、家の中で悶々と、経験をしたことのないハロウィンパーティーを妄想していたんです。クリスはいったい何に仮装したんだろう? みんな美味しいモノとか食べているだろうな~ もしかしたらハンバーガーとかあったりして・・・とか考えているうちに、なぜだか涙が出てきました。
やっぱり、行けばよかった・・・
とっても切ない気持になって、晩御飯もあまり喉を通らなくて、もう寝ちゃおうかなって思った時に、玄関のチャイムが鳴ったんです。お袋が大きな声で、僕の名前を呼びました。
玄関に行ってみると、そこにはオレンジ色のウェディングドレスを身にまとったクリスが!!
「ドレス、見せたくて! お見舞いにお菓子を持って来たよ」って。
僕はクリスの目を見ることが出来ませんでした。だって、涙がこぼれ落ちそうになるのを見られたくなかったから。
「ありがとう」って言ったかな? 心の中では言ったけど、口には出せなかったかも。
翌日、学校で会ったら、もう一回ちゃんと「ありがとう」って言おうと思いました。
しかし、ハロウィンの翌日から、クリスは学校に来なくなってしまいました。心臓の病気が、急にまた悪くなったらしいんです。
先生は、クリスが入院したと教えてくれて、しばらくは学校にも来られないだろうって言いました。
僕は、早くクリスが元気になって、またアメリカの話を聞きたいなって思っていたのですが、もう2度と学校に来ることはありませんでした。クリスはアメリカで再手術をうけることになったんです。
その後、クリスがどうしているか、全くわからなかったんですが、2年経って手紙が届きました。手術は成功して、アメリカで元気で生活していると。そして、もう日本には戻らないとも・・・
クリスは、その後20歳でアメリカ人と結婚し、子供も授かりました。
しかし、クリスの心臓は出産には耐えられず、子供の命と引き換えに、永遠に会えない人となってしまったんです。あの時の「ありがとう」はけっきょく言えず終いになってしまいました。
毎年この時期になると、 クリスの娘から、Happy Halloweenのカードが届きます。
そんな娘さんに、僕はHappy Birthdayとメッセージを送ります。
そう、10月31日はハロウィンでもあり、娘さんの誕生日でもあり、そしてクリスの命日でもあるんです。
http://www8.plala.or.jp/jucon
当時、僕は小学2年生。
アメリカから転校生がやってくると聞いて、どんなヤツが来るのだろうと、内心ドキドキしてました。
担任の先生の後ろから、教室に入ってきたのは、黒髪の女の子。
てっきり、金髪の女の子が来るのかとばかり思ってました(笑)
クリスは、父親がアメリカ人、母親は日本人です。
彼女は日本で産まれましたが、産まれた時から心臓に疾患をかかえていて、出生直後にアメリカで心臓移植の手術を受けたそうです。そしてそのままアメリカで暮らしていたのですが、お父さんの仕事の都合で、再び日本にやってきたみたいです。
クリスは、お母さんが日本人ということもあり、カタコトの日本語を話しました。
しかし、日本の生活に慣れるには、しばらく時間がかかりました。
今では帰国子女は当たり前かもしれませんが、当時はそんな子は彼女以外いませんでしたので、周りの人間も戸惑ったんだと思います。
そんなクリスと、僕はなぜか気が合いました。
彼女の話す、アメリカでの生活の様子が、とても興味深かったんです。
その時のことで一番印象に残っているのが、ハンバーガーの話でした。ハンバーグをパンに挟んで食べる? 当時はまだマクドナルドさえなかった時期です。都下に住む少年が、ハンバーグなど知る由もありません。
クリスは、クレヨンでハンバーガーの絵を描き、レタスやトマトなどが入っていることも教えてくれました。
そんな感じで、僕はいつもクリスの話にワクワク、ドキドキしていました。
ある日、クリスが言いました。
「パーティーがあるの、家に来ない?」って。
「えっ、クリス誕生日なの?」
その頃の僕は、パーティーと言えば、誕生日くらいしか思いつきません。
「明日は、ハロウィンでしょ!」
「えっ、ハ、ハロイン?」
僕は、その時初めてハロウィンという言葉を聞き、アメリカでは、10月31日に子どもたちが仮装し、ハロウィン・パーティーが開かれると知りました。
すげぇ~ アメリカって、すげぇ~!!
なんか、超面白そう!
と、そう思ったんですが、心の中では仮装ってどうすればいいんだ?という不安も・・・
あの頃は、東急ハンズもドンキ・ホーテもないんですよ。仮装するって言ったって、どうすりゃいいのか全然わかりません。
けっきょく、その場では行くとも行かないと言わず、クリスと別れたんですが、仮装をしないで僕がその場に行くのは、やっぱりみんなを白けさせちゃうじゃないかと思ったんです。だから、翌日クリスに電話して、僕は風邪をひいて、熱が出たので行けないって言っちゃったんです。
クリスはとても残念がっていたけど、優しく「お大事にね」って言ってくれました。
仮病を使った僕は、外に出ることも出来ず、家の中で悶々と、経験をしたことのないハロウィンパーティーを妄想していたんです。クリスはいったい何に仮装したんだろう? みんな美味しいモノとか食べているだろうな~ もしかしたらハンバーガーとかあったりして・・・とか考えているうちに、なぜだか涙が出てきました。
やっぱり、行けばよかった・・・
とっても切ない気持になって、晩御飯もあまり喉を通らなくて、もう寝ちゃおうかなって思った時に、玄関のチャイムが鳴ったんです。お袋が大きな声で、僕の名前を呼びました。
玄関に行ってみると、そこにはオレンジ色のウェディングドレスを身にまとったクリスが!!
「ドレス、見せたくて! お見舞いにお菓子を持って来たよ」って。
僕はクリスの目を見ることが出来ませんでした。だって、涙がこぼれ落ちそうになるのを見られたくなかったから。
「ありがとう」って言ったかな? 心の中では言ったけど、口には出せなかったかも。
翌日、学校で会ったら、もう一回ちゃんと「ありがとう」って言おうと思いました。
しかし、ハロウィンの翌日から、クリスは学校に来なくなってしまいました。心臓の病気が、急にまた悪くなったらしいんです。
先生は、クリスが入院したと教えてくれて、しばらくは学校にも来られないだろうって言いました。
僕は、早くクリスが元気になって、またアメリカの話を聞きたいなって思っていたのですが、もう2度と学校に来ることはありませんでした。クリスはアメリカで再手術をうけることになったんです。
その後、クリスがどうしているか、全くわからなかったんですが、2年経って手紙が届きました。手術は成功して、アメリカで元気で生活していると。そして、もう日本には戻らないとも・・・
クリスは、その後20歳でアメリカ人と結婚し、子供も授かりました。
しかし、クリスの心臓は出産には耐えられず、子供の命と引き換えに、永遠に会えない人となってしまったんです。あの時の「ありがとう」はけっきょく言えず終いになってしまいました。
毎年この時期になると、 クリスの娘から、Happy Halloweenのカードが届きます。
そんな娘さんに、僕はHappy Birthdayとメッセージを送ります。
そう、10月31日はハロウィンでもあり、娘さんの誕生日でもあり、そしてクリスの命日でもあるんです。
http://www8.plala.or.jp/jucon
ジュコン少年が仮病で家にこもっていたときの気持ちから、オレンジのウェディングドレスの彼女が現れた辺りから 涙腺がゆるみました
いつものジュコンさんなら、どこかにオチがあるのかと思って拝読しましたが
今日という日をそんな思い出に浸る方もいたんですねぇ
ひょっとしたらこれに似たエピソード、本当にあったんでは?
ハロウィンがとても身近になりました♪
ありがとう~\(^o^)/
みんなを あっ!!とどころか
ぎゃぁ~~~~~!!!
へ・・・変態!
って、驚かせるような仮装ができるでしょうに
来年もハロウィン2015版を
期待しています
嘘なの?本当なの?
長い付き合いだけど、初めて聞いた話だから…
やっぱり騙された(≧∇≦)
今日はエイプリルフールじゃあないよぉ~
きれいにオチたと思ったんですけどね(笑)
コメント、ありがとうございます!
血の涙、出ちゃいましたか?(笑)
仕返し、楽しみにしています~
完璧なフィクションで、昨日、1日中考えてました(笑)
これ、別に僕の話ではないですから(笑)
来年は、芥川賞とっているかもな~