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 メカ・ワンダーランド
(あなたの知らない海の世界)

12 years a slave(それでも夜は明ける) 

2014-03-27 18:51:48 | live・movie
アメリカの奴隷制度は、イギリスの植民地だった頃から始まり、南北戦争が終わる1865年まで続きます。
この映画は、まだ奴隷制度が存在していた1841年から始まる実話に基づいた話です。


この頃、奴隷を必要としていたのは、農業が産業の中心だった南部でした。
主人公、ソロモン・ノーサップは、ニューヨーク(北部)でバイオリニストとして、ある程度地位のある自由黒人として、差別を受けることもなく、家族と平穏な生活を送っていたのです。
しかしある日、ノーサップは白人に騙され、南部に奴隷として売り飛ばされてしまうのです。その日から、ノーサップに自由はなくなりました。

ほとんどの奴隷が教育を受けていない中、自由黒人だったノーサップは読み書きもでき知識もありました。しかし、奴隷にとってそれらはあまり意味のないモノでした。逆に、それが災いして殺されかけることも・・・


オーナーと奴隷の関係は、絶対的ではありますが、中には奴隷に人間的に接するオーナーもいました。しかしオーナーは奴隷を選べても、奴隷はオーナーを選べません。奴隷の売り買いのシーンは、まるでペットショップのようです。親子が引き裂かれて売られてしまうことも。
犬や猫の気持ちはわかりませんが、もしかしたら彼らも、親子が引き裂かれることに、ものすごい悲しみを感じているのかも・・・

人間が自分の都合で、犬猫を売り買いするように、白人も平気で奴隷を売り買いするんです。奴隷を同じ人間とは思っていません。奴隷は商品にしか過ぎないのです。
現代に生きる者ならば、それが非人道的と感じるでしょうが、当時ではそれが当たり前の感覚だったのでしょう。


映画の中で、カナダ人の旅行者が、オーナーに、「同じ人間なのにおかしいと思わないのか?」と尋ねますが、オーナーは「自分が買った所有物だ」と言い、奴隷たちの命よりも、経済的利益を優先する正統性を語ります。


最終的にノーサップは、12年後に家族のもとに帰るのですが、彼が戻れたからと言って、ハッピーエンドという感じは全くありません。彼以外の奴隷は、その後も不条理を感じながら一生働かさせられるのです。彼一人、助かればよかったという話ではないのです。

アメリカでは、奴隷制度が廃止されたあとも、隔離政策などがあり、差別の問題はそう簡単には解決しませんでした。
オーナーが「最高に楽しい瞬間」と言いながらムチを売ったり、奴隷同士にムチを打たせたり、これらのシーンを観ていると、現代のイジメと重なりました。
また「奴隷は所有物だ」と言うオーナーのセリフは、一部の人間の利益だけを考えて原発政策を進める人の言葉とダブります。
「JAPANESE ONLY」事件、袴田事件・・・
現代にも差別や、不条理は多数あります。いくら文明や文化が発展しても、人間の奥底にある闇をクリアにすることは容易くないのだと感じます。
そして生きるということは、目的を持ち、自分の意志で行動してこそ、初めて生きていると言えるのだということも強く感じさせる映画でした。








彼らは、悲しい時、苦しい時、いつも歌を唄っていました。




キャデラック・レコードで、ジェフリー・ライト扮するマディ・ウォーターズが言った「ブルーズってのは、不条理なんだ」というセリフを思い出しました。ブラック・ミュージックのルーツを感じさせる映画でもありました。



この映画を観るキッカケをくださった吉岡さん、大西さんに感謝です。






http://www8.plala.or.jp/jucon

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