いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

ソフトバンクのアローラ氏の報酬が165億円・・・これは限度を超えました。いくらなんでも。

2015年06月22日 01時24分34秒 | 日記


非常に違和感を覚えます。
 正直にいうと、憤りを感じます。
 ソフトバンクの孫正義社長が、後継者としてニケシュ・アローラ氏(47)
をスカウトし、ソフトバンクが、アローラ氏に今年3月までの報酬として、
165億円を払っていたのです。

 165億円ですよ。
 この額は、常軌を逸しています。
 なにごとにも限度というものがあり、これは、限度を超えていると思いま
す。

 大卒の生涯賃金が、5億円程度といわれます。
 165億円というのは、比較すべきもありません。

 企業で、売り上げ100億円に達しない企業は、いくつもあります。
 優良な企業でも、100億円に達しない企業は、珍しくありません。
 ひとりの役員への報酬が、そうした企業の売り上げを超えてしまってい
いのでしょうか。

 ソフトバンクは、株式会社として、今年、株主への配当として、450億
円を支払いました。
 アローラ氏ひとりへの報酬は、全株主への配当総額の3分の1に達し
ます。
そんな巨額の報酬をひとりの役員に出せるのであれば、その資金で、
株主の配当を増やすべきでしょう。
 企業はだれのものかといえば、株主のものですから、株主は怒るべき
です。

 ソフトバンクの利用者もそうです。
 ソフトバンクのスマートフォンを利用している人たちが払った利用料が、
このアローラ氏への報酬に使われています。
 利用者は、自分たちの利用料が、そんな巨額の報酬に当てられたとい
うことを認識しないといけません。
 そんな巨額の報酬を出すのなら、ソフトバンクのスマートフォンの利用
料を引き下げるべきでしょう。

 165億円も報酬をもらって、このアローラ氏は、いったい、どうするとい
うのでしょう。
 
 孫正義氏は、アローラ氏を「希望の星」として紹介し、自分の後継者と
しました。
 ソフトバンクに働いている日本人の社員、役員には、そういう人がいな
かったということですね。
 それは、ソフトバンクにいなかったということですから、そもそも、ソフト
バンクは、その程度の会社だったということになります。

 アローラ氏は、グーグルの最高事業責任者でした。
 孫正義氏は、「グーグル時代、数十億円の年俸を得ていたのに、よく
来てくれた」と話しています。
 グーグルでも、数十億円の報酬を得ていたわけです。

 なんだか、タガがはずれた感じがします。
 これで、今後、こうした高額報酬の役員がどんどん出てくるかもしれま
せん。

 しかし、これでは、普通に働いている普通の社員は、ばかばかしくなり
ませんか?
 ひとりの役員の報酬が165億円だなんて、みなさん、ばかばかしいとは
思いませんか。
 まじめに働いている者が、ばかばかしくなるような金額ですよ。

 孫正義氏は、一般の利用者を潜在的な敵に回したと思います。
 ソフトバンクの利用者は、この話を聞いて、心のどこかで、なんとなくい
やだなあと感じたのではないでしょうか。

 そういうちょっとした陰りが、企業の衰退につながります。

 孫正義氏は、ちょっとおごりすぎましたね。
 あまりにアメリカ流のやり方をしすぎたと思います。
 利用者のことより、アメリカ流の経営手法を重視してしまいました。
 利用者を無視して、アメリカ流の経営をしてしまいました。

 ソフトバンクは、これで、絶頂期を終えたような気がします。



トヨタの外国人役員・・・日本で広報担当をするなら、外国人であっても、日本語をしゃべるべきでしょう。

2015年06月20日 18時28分01秒 | 日記

 トヨタ自動車のアメリカ人役員が、麻薬を日本に持ち込もうとしたとして、
逮捕されました。
 麻薬のことはさておき、外国人の役員を起用することに、当ブログは、
非常に違和感を感じます。

 今回逮捕されたアメリカ人役員は、トヨタ初の女性役員で、広報を担当
することになっていました。トヨタの広報のトップです。

 就任の記者会見を見ましたが、「ミナサン コニチワ」とだけ日本語で言
って、あとは英語で会見をしていました。

 これが、そもそも、おかしいのです。
日本の企業の広報の責任者で、日本で広報を担当するなら、日本語を
しゃべれる人を起用するべきだと思います。

 逆に、日本の企業がアメリカに現地法人を構え、そこに広報の担当役
員を置くことを考えてみましょう。
その広報担当役員が、アメリカで会見して、日本語しかしゃべらない
という場面を想像できますか?
 担当役員は、英語をしゃべれなければ、話にならないでしょうし、そもそ
も、英語を話せない人を現地法人の広報担当役員にはしないと思いま
す。

 トヨタという日本の企業、名古屋に本社を置く企業が、どうして、広報の
責任者に、日本語を話せない人物を置くのでしょう。
 それが、実に不思議です。

 外国人を役員に起用する日本企業は増えていますが、失敗が目立ち
ます。
 失敗した最悪の例は、ソニーでしょう。
 ソニーは、社長にストリンガー氏を起用し、会社がぼろぼろになりまし
た。もう、かつてのソニーの見る影もありません。
 ストリンガー氏は、ひと月の大半をロンドンで過ごし、日本には数日しか
いませんでした。
 記者たちが困ったのは、ソニーの広報を、アメリカで取り仕切ったことで
した。ソニーは充電池の発火問題でパソコンを回収したことがあります。そ
の際、広報は、アメリカが仕切っていたので、取材に対して、東京の本社
がいちいちアメリカにいる担当者におうかがいをたてるという状況だった
と、これは、「さよならぼくらのソニー」(文春新書)に詳しく書かれて
います。


 現地の言葉が出来ないで、現地で広報をするというのは、少々、無理
があります。
 記者も英語をしゃべれ?
 そんな馬鹿な。
 そんなことをいい始めると、日本人はみな英語をしゃべれということにな
ってしまいます。

 いつのころからか、グローバル化ということが、当然のこととして、語
られるようになりました。
 
 しかし、グローバル化とは、英語をしゃべることではありません。
 
 なんでもかんでも、外国人を役員に起用すればいいというものではない
でしょう。

 外国人を役員に起用したいのなら、広報担当ではなく、別の担当で起
用するべきでしょう。
 外国人を広報担当の役員で起用したのなら、日本語がしゃべれる外国
人を起用するべきでしょう。

 記者会見で「コニチワ」としか言えないような役員は、広報担当をする資
格がありません。
 日本人の広報担当の役員がアメリカに赴任し、ニューヨークで記者会見
をして、「はろー。ぐっどあふたぬーん」とだけ言って、あとは日本語でしゃ
べったら、アメリカ人の記者は、あきれてしますよ。
 「ここはニューヨークなんだから、英語でやってくださいよ」と。

 トヨタの広報担当の役員さん。
 ここは日本なんだから、日本語でやってくださいよ。

 トヨタは、この際、考え直すべきでしょう。







国立大で君が代ですと?・・・安倍首相は調子に乗りすぎです。このままでは足下をすくわれます。

2015年06月17日 00時26分13秒 | 日記

 大学で、君が代を歌い、国旗を掲揚する?
 安倍首相は、調子に乗りすぎです。
 このままでは、いつかどこかで、足をすくわれます。
 せっかく、アベノミクスがここまでうまく行ったのに、こんなところ
で調子に
乗るとは、実にもったいない。

 下村文部科学相は16日、国立大全86校の学長らを集めた東京都内
の会議で、入学式や卒業式の際には君が代を歌い、国旗を掲揚するよ
う、要請しました。
 
 安倍首相は、国立大での君が代と国旗について、4月の参院予算委員
会で、「国立大が税金によって賄われていることにかんがみれば、(愛
国心などのかん養をうたった)教育基本法の方針にのっとって正しく実施
されるべきだ」との考えを示していたそうです。
 下村文科相の要請は、それを受けたものでしょう。

 文科省の調査によると、86の国立大のうち、今年の卒業式で君が代と
国旗掲揚の両方を実施した大学は14校、国旗掲揚のみが60校あったそ
うです。残る12校はどちらもしなかったそうです。
 君が代を歌った大学が14校もあるのが、むしろ、驚きですね。

 明治の昔から日本の大学は、学生自治を掲げてきました。
 60年代から70年代にかけては、学生運動がありました。

 学生自治がしっかりしていて、学生運動が盛んなころ、もし、政府が
君が代と国旗掲揚というようなことを打ち出せば、それだけで、猛烈な
反対運動が起きたでしょう。
 いや、というより、そもそも、学生運動が盛んな当時、政府が、君が代と
国旗掲揚を持ち出す余裕もなかったと思いますし、そもそも、発想が
なかったと思います。

 そう考えれば、いまの大学は、なめられたものです。
 
 安倍首相のアベノミクスは、ここまで、成功しています。
 大胆な金融緩和は、日本経済を復活させました。
 しかし、財政赤字を改善し、さらにまた、第三の矢として位置づけられる
経済の成長戦略をちゃんと実行しないと、金融緩和は、息切れします。
 息切れだけならまだいいのですが、緩和しすぎのマイナス効果が出れ
ば、日本経済は危なくなります。

 世論調査で、安倍内閣の支持率がそれなりに高いのは、国民が、アベ
ノミクスという名前の経済政策を評価しているからです。
 安倍首相は、あくまで、経済政策が評価されているのです。
 決して、安全保障政策や、首相個人の考え方が評価されているわけで
はないでしょう。

 ところが、安倍首相は、アベノミクスの成功で、安倍政権のすべてが支
持されたかのように、勘違いし始めました。
 これは、危ない。

 国立大の君が代、国旗掲揚は、そのひとつの典型でしょう。
 
 学生運動の時代に大学生活を送ってきた人なら、大学の入学式や卒
業式で、君が代を斉唱するなど、ちょっと想像できないことです。

 国立ではありませんが、たとえば、早稲田です。
 早稲田の入学式や卒業式では、かの有名な校歌「都の西北」を大合唱
するのです。
 そして、応援団の指揮のもと、「早稲田の誇る第一応援歌」というフレー
ズの「紺碧の空」をこれまた大合唱するのです。
 この場面で、君が代を歌うというのは、ありえないでしょう。

 東大は、かつて、なにか人が集まるときには、応援歌「ただひとつ」を
歌っていました。
 東大は、早稲田のようなだれもが知っている校歌のないのが悩みなの
ですが、「ただひとつ」は定着しています。最近は、神宮球場の六大学野
球では、旧制第一高校の寮歌「ああ玉杯に花受けて」を歌うようです。

 それもこれも、「大学の自治」があるからです。

 これまで、国立大に君が代を歌って国旗も掲揚してくれと要請した内閣
は、聞いたことがありません。

 大学にとっては、大学の自治に対する挑戦でしょう。
 このまま黙っているようでは、大学は、もうだめです。

 それにしても、こんなことまで言い始めるとは、安倍首相は、いくらなん
でも調子に乗りすぎです。
 安倍さんという人は、国会の答弁などを聞いたり、記者会見の様子を見
たりしていると、どうもいまひとつ、深く考えていないなあという印象が
ありま
した。
 今回の件で、当ブログは、その思いをいよいよ深くしました。

 せっかくアベノミクスがここまで成功したのに、こんなことをやっている
と、きっと、どこかで足下をすくわれ、失敗します。
 安倍首相は、調子に乗りすぎです。
 このままでは危ない。






軍艦島と世界遺産・・・反対のために、わざわざドイツに行く韓国の外相。韓国は常軌を逸しています。

2015年06月13日 01時01分16秒 | 日記

 韓国の話は、正直、うっとおしいことばかりなので、当ブログでは、韓国の
記事を書くのは、あまり熱心ではありませんでした。
 しかし、最近は、韓国絡みのニュースがどんどん増え、しかもその多くが、
「それはちょっとおかしいのではないか」という話です。
 こういう状況では、韓国の話も取り上げざるをえません。
 ーーと書くのも、世界遺産をめぐる韓国の行動が、あまりにも常軌を逸し
ているからです。

 とくに常軌を逸しているのは、韓国のユン・ビョンセ外相です。
 長崎の軍艦島が世界遺産の登録候補となり、近く、最終審査がありま
す。これに韓国が、軍艦島では朝鮮人労働者の強制労働があったとし
て、反対しています。
 韓国のユン・ビョンセ外相は、審査委員会の議長国であるドイツに行
き、軍艦島を世界遺産に登録しないよう、ドイツの外相に要請したので
す。
 韓国の外相は、その後、副議長国のクロアチアに行き、やはり、同じよう
に要請するそうです。

 ほとんど、冗談のような行動です。

 まず第一に、日本の軍艦島を世界遺産に登録しないよう、ただそれだ
けを訴えるために、外相が、わざわざ、ドイツまで行って外相会談をします
か?
 ふつう、外相会談は、自分の国と、相手の国とのことについて、意見交
換するために、行うものでしょう。それが外交交渉です。

 それを、自分の国ではない第三国、この場合は日本ですが、日本のこと
を訴えるためだけに、他国に出かけていって、他国の外相と会談すると
いうのは、いったい、なんなのでしょうか。

 第二に、韓国のパククネ大統領は、アメリカを訪ねてオバマ大統領と首
脳会談する予定でしたが、感染症のMERSが政府の対応の失敗によっ
て韓国国内に広がってしまい、その対策を優先するという理由で、訪米を
取りやめたのです。つい3,4日前のことです。
 ところが、大統領でさえ、MERSで訪米を取りやめ、大事な首脳会談を
キャンセルしたというのに、外相はその最中、平気でドイツまで出かけてい
く。しかも、ドイツに行った理由が、日本の軍艦島の世界遺産の登録問題
です。

 大統領同士の首脳会談という、これ以上はない大事な外交日程さえキ
ャンセルしたのに、自分の国とはたいして関係のない軍艦島の世界遺産
の登録問題で、外相はドイツに出かけていくのです。
 大統領がオバマ大統領と首脳会談するより、よその国の世界遺産につ
いてドイツの外相と会うほうが、大事ということですね。しかし、そんな国
が、いったい、どこにあるのでしょう。

 第三に、そこまでして、軍艦島を世界遺産に登録させたくないわけです
ね。
 その理由を、韓国は、日本が朝鮮人を軍艦島に強制労働させたからと
いうのです。
 日本は、軍艦島の遺産登録は、もっぱら明治時代、日本が近代化し始
めたことを記念するもので、強制労働とは関係ないと反論しています。日
本が韓国を併合したのは1910年です。それは明治43年にあたり、もう明
治が終わりかけています。
 本当は、日本としては、

1)強制労働というが、給料を払っており、強制ではない。
2)日本人も大勢働いていた。
3)強制というが、実際は日本人のほうがはるかに多く、朝鮮人を徴用し始
めたのは太平洋戦争も末期になってから、1944年ごろからだ。
 ーーということを主張したいところなのです。

 しかし、それを主張し始めると、韓国との論争が、泥沼に陥ってしまう。
もっといえば、日韓併合は、外交的に日本と韓国の政府同士が決めたも
のであり、当時は朝鮮の人も「日本人」だったと主張したいところです。
 でも、政府がそれをいうと、どうしようもなく、激しい論争になってしまう。

 だから、日本政府は、そうなるのを避けるために、
 「軍艦島はもっぱら明治時代のことであり、強制労働とは関係がない」と
説明しているのです。
 本当は「給料を払っていたのだから強制ではない」と言いたいところで
すが、それを言うと、抜き差しならないことになりかねないので、それは絶
対に言わない。
 そこの部分に触れないで説明しようとするから、「もっぱら明治時代のこ
とで、強制労働とは関係ない」と、あいまいで苦しい言い方にならざるをえ
ないのです。
 
 日本は、軍艦島を説明するにあたって、ですから、苦しい立場にありま
す。これを言ってはいけないというハンデキャップを負っているのです。

 それに対して韓国は、ただ世界遺産の登録をやめさせさえすればいい
のですから、言いたいことは、なんでも言います。
 
 これは、日本のハンデが大きすぎます。

 そういう状況で、韓国の外相は、わざわざ、ドイツまで出かけて行って、
ドイツの外相の会談し、軍艦島を登録しないよう、訴えたのです。
 
 しかし、ドイツの外相も、面食らったでしょうね。
 普段はドイツとはほとんど関係のなさそうな国の外相がやってきて、
何事かと思えば、日本の悪口ばかり言って帰った。
 ドイツの外相は、もしかすると、

 「えっ?こいつは、はるか韓国から、日本の悪口だけを言いにドイツまで
来たの?]

 と、あきれているかもしれません。


 そう。
 日本と韓国の問題だというなら、まだ分かる。
 ドイツの外相にすれば、
 「そんなこと、日韓の間でやってくれよ。なんでドイツを巻き込むんだよ」
と言いたくもなるでしょう。
 すでに言ってるかもしれませんね。
 
 こういう話を、放っておいては、いけません。
 日本も、はっきり、反論しないとならないでしょう。
 外交は、売られたけんかは、買わなければなりません。



国立競技場の建設でもめています・・・原因は、「無責任の連鎖」「無限の無責任」です。

2015年06月11日 13時00分33秒 | 日記

新しい国立競技場の建設問題がもめています。
 どうして、こんなことになったのでしょう。
 最大の問題は、責任者が不在なことだと思います。
 国立競技場の建設は、だれが責任者なのか、分からないのです。
 いや、このままでは、東京五輪の開催自体、だれが責任者か、
分からなくなります。

 新しい国立競技場は、当初の設計図通りでは、2020年の東
京五輪に間に合わないということが、 大手建設会社から、指摘
されました。
 同時に、下村文科相が、舛添東京都知事に、
1) 東京五輪に間に合わせるために、屋根はなしで建設したい。
2) 東京都に500億円、負担してほしい。
――と要請しました。
 これに舛添知事が怒り、要請を拒否しました。

 舛添知事は、「競技場は、国立競技場だから、国が建設するのが
当然で、東京都はお金を出せない」といいます。
 下村文科相は、「東京都が500億円出すことで、了解を得てい
た」といいます。
 この「了解」は、その後も、本当のところはどうなのか、分か
らないままです。
 舛添知事の発言には、東京五輪委員会の森喜朗委員長(元首相)
が、「東京五輪は、東京都がやりたいといって招致したんだろう」
と反論しています。
 しかし、誘致演説は、安倍首相がやって、それが東京五輪の決
め手になったのです。
 
 これに対し、日本の建築家有志が、「新しい競技場はデザインに
無理があり、当初のデザインは非現実的だ」とし、屋根を作らな
ければなんとか間に合うと提言しました。

 新しい競技場のデザインは、発表の当初から、周囲の景観にそ
ぐわないと批判する声が、かなりあったのです。
 私も、個人的には、神宮の古風な雰囲気の中に、あのハイテク
デザインは、そぐわないと思います。

 このデザインは、公募に対し、イギリス在住のイラク人の建築
家が応募したものを、選考委員会が、選んで決めたものです。
 では、今回の騒動に、当の選考委員会が何といっているかとい
うと、新聞のインタビューに、委員の一人が「私たちは選んだだ
けですから、その後のことは、関係ありません」という発言をし
ています。

 さて。
 こうやって、発言を整理してみると、ある問題が、鮮明に浮か
び上がります。
 それは、だれも
 「私が責任を持ってやります」
 と言わないことです。

 いや、唯一、建築家有志の「屋根なしのデザインに変更すれば、
いまなら、間に合う。いまが最後のチャンスだ」という提言が、
責任ある発言といえるでしょう。

 あとは、みな、「私の所でやることではない」「私は知らない」
「私の責任ではない」と言っているだけです。
 だれも、責任を取ろうとしていないのです。
 こんな大きな問題なのに、情けないことに、だれも、責任を取
ろうとしない。
 だれかひとりぐらい「私が責任者です」「私がやります」と言え
ないものでしょうか。

 政治学者の丸山真男さんは、もうお亡くなりになりましたが、
日本の政治風土の特徴として、
 「無責任の連鎖」
 「無現の無責任」
 という重要な概念を指摘しています。
丸山さんは、日本がなぜ太平洋戦争に突入してしまったのかを
分析し、戦後の東京裁判で、戦争当時の軍幹部が、ほとんどだ
れも、「私の責任です」とは言わなかったと指摘します。むしろ、
「私は戦争をするつもりはなかった」という発言があったこと
を提示します。
そして、丸山さんは、あれだけの戦争をしておいて、戦争を始
めた責任は自分にあるとは、だれも認めようとしなかったと指
摘します。

丸山さんは、これを「無責任の連鎖」「無限の無責任」と名付け、
この「無責任の連鎖」は、日本の政治風土に深く根ざすものだ
というのです。

今回の新国立競技場の騒動を見ると、まさしく、「無責任の連鎖」
「無限の無責任」そのものです。

昔、漫才で、人生幸朗、生江幸子さんいう名コンビがいました。
人生幸朗さんの得意のセリフは、
「責任者、出てこーい」
 でした。

国立競技場の新設問題、そして、なによりも、2020年の東
京五輪、「責任者、出てこーい」です。
はずかしいですね。






FIFAに対する捜査・・・なぜアメリカの司法当局が乗り出したのか。アメリカはどう絡むのでしょう。

2015年06月04日 10時58分50秒 | 日記

 FIFA(国際サッカー連盟)が大揺れに揺れています。
 幹部が次々に逮捕され、6月3日には、とうとう、ブラッター会長が辞
任すると、自ら発表してしまいました。ブラッター会長は、つい先日、選挙
で会長に選ばれたばかりです。
 ブラッター会長は、捜査の手が、自分に及びそうになったので、辞任
せざるをえなかったのではないかとされています。

 さて、ここで不思議なのが、「捜査」です。
 現在のところ、アメリカのFBI(連邦捜査局)とIRS(歳入庁)が捜査し
ていることになっています。実際にFBIがFIFAの幹部を何人か逮捕して
います。
 アメリカのほかには、スイスの捜査当局も捜査を進めているようです。
 この分では、欧州主要国の捜査当局も加わるのではないでしょうか。

 不思議というのは、アメリカのFBIは、いったい、どんな罪状でFIFA
幹部を逮捕したのか、あるいは、するのか、ということです。
 新聞やテレビのニュースをチェックする限り、「汚職」とか「組織不正」
という言葉が出てきます。あるいは「脱税」です。

 捜査の構図としは、
1)FIFA幹部が、ワールドカップを招致したい国からお金をもらった。
2)そのお金を、税務当局に申告しなかった。
ーーということになろうかと思います。

 しかし、汚職というのは、政府や自治体の職員つまり公務員が、お金
を受け取り、便宜を図ったというような場合のことをいいます。
 あくまで、政府や自治体など、公的組織の人間がお金をもらった場合、賄賂
というのです。
 これが、民間の企業、民間の組織であれば、どんなにお金をもらって
も、賄賂にはなりません。
 とくに民間企業では、よくあることで、リベートとか、キックバックなどと
いう言い方で、担当者にお金を渡したりします。もちろん、それが公正か
どうかというと、疑問なしとはいえないケースもあります。しかし、民間企業
と民間企業との間で、そうしたお金のやりとりをする場合は、賄賂にはなり
ません。汚職にもならないのです。

 FIFAは、政府の組織ではありません。
 FIFAの幹部は、決して公務員ではありません。
 しかも、逮捕された幹部は、別にアメリカに住んでいたわけでもありま
せん。

 その人を、アメリカの捜査当局であるFBIが逮捕するというのは、日本
では考えられない事態です。
 たとえば、警視庁や東京地検が、FIFAで裏金の受け渡しがあったこ
とをキャッチしたからといって、日本に住んでもいないFIFAの幹部を「汚
職」で逮捕するなどということは、ありえないでしょう。
いま、FBIがやっているのは、そういうことです。

 今回のFIFAに対する捜索、幹部の逮捕で、いまひとつ、不透明なの
は、その点です。
 どのメディアを見ても、どういう法理論、法体系で、FIFAに対する
捜査をしているのか、よく分かりません。

脱税で捜査、逮捕、というのなら、よく分かるのです。
アメリカ国内に住んでいて、アメリカ国内で所得を得ていて、脱税して
いたら、それは、捜査を受けて当然です。
アメリカは、犯罪を捜査する場合、よく、脱税を理由にします。
禁酒法時代のアメリカで有名なアル・カポネが逮捕されたのも、禁酒法
違反ではなく、脱税でした。

しかし、FIFAに対する捜査は、脱税も含まれているようですが、主な
柱は、汚職であり、組織不正ということのようです。

しかし、汚職という場合、さきほども述べたように、FIFAは、政府組織
ではありません。
汚職が成立するとすれば、いま報じられている中でいちばん分かりや
すいのは、南アフリカが誘致に際し、FIFAの副理事長に1000万ドル
(10億円)の賄賂を送ったというものです。
まあ、普通は、民間企業が、政府に、公共事業で便宜を図ってもらう見返り
として賄賂を送るという図式です。FIFAのは、南アフリカ政府側が賄賂
を送るいうことになりますので、方向が逆です。聞いたことがありません。
賄賂を使ってでもワールドカップを誘致したいというわけですね。

しかし、このケースにしても、南アフリカとFIFAの間での話です。
すでに逮捕されたFIFAの副理事長もアメリカ人ではありません。
結局のところ、アメリカはどこにも関係していませんん。
それなのに、アメリカの捜査機関FBIが動いているのです。

アメリカは、ときどき、こういうことをやります。
1980年代に、アメリカ司法当局は、パナマに乗り込み、ノリエガ大統
領を逮捕しました。ほとんど軍事侵攻みたいなものでしたが、あくまで、
ノリエガ大統領を逮捕するというのが狙いでした。
その罪状は、ノリエガ大統領はアメリカにおける麻薬取引に関わったと
いうことでした。アメリカの麻薬取締法を根拠にして、海外にいるよその
国の大統領を、その大統領の国にまで乗り込んで、逮捕したのです。
これはむちゃくちゃでした。

日本に対しても、ちょっと危ないときがありました。
日本の対米黒字が巨額のものになっており、日米貿易摩擦が激しかっ
たころです。時期としては、1980年代から1990年代初めにかけての
ことです。
日本の黒字は、アメリカから日本への輸出が増えないからだ。
それは、日本企業が日本国内で独占体制を敷いているからだ。
日本企業の独占が貿易不均衡の大きな原因だ。
――というわけで、アメリカ政府は、日本企業に対し、アメリカの独占禁
止法(反トラスト法)の適用を検討していると、アメリカのメディアが報じ
たことがあります。
報じたのは、1990年ごろのことだったと思います。
さすがに、びっくりしました。
日本企業が日本国内で独占状況にあるというので、アメリカの司法当
局が、日本にある日本企業を、アメリカの法律で捜索する?
いくらなんでも、これは、アイデアだけに終わったようです。

でも、いまFIFAに対してやっているのは、そういうことのように見えま
す。
日本のメディアは、新聞もテレビも、そのことをあまり報じません。記事
を書いている本人も、あまり分かっていないのではないでしょうか。

今後の展開が、少々、気になります。

  ***********************

 きょう6月4日の読売新聞の朝刊が、そこのところを、特集ページで、
うまく説明してくれました。
 かいつまんで、書いておきます。

まず、FIFAの汚職にアメリカがどう絡んでいるかですが、汚職の摘発
のきっかけが、アメリカ人のチャールズ・ブレーザー氏(70)でした。
ブレーザー氏は、アメリカのサッカー界の大物で、FIFAの副会長や、
北中米カリブサッカー連盟の事務総長などを、歴任していました。
どうやら、カネに汚い人物のようで、何かするときは、必ず、事業費の
10%を要求していたため、「ミスター10%」と呼ばれていたとか。
 移動には自分のプライベート・ジェットを使い、マンハッタンの高級マ
ンションに住んでいました。飼い猫用に専用の部屋を借りていた幹部と
いうのが、この人です。

さて、このぜいたくな暮らしが税務当局の目にとまりました。
アメリカの税務当局は、IRS(内国歳入庁)といいます。日本の国税庁
に相当します。
ブレーザー君が手にしていた10%の手数料は、総額2000万ドル(25
億円)に達していましたが、それを、過少申告して、税金をあまり払って
いなかったようです。
禁酒法時代のアル・カポネと同じで、やはり、脱税が捜査の決め手だ
ったのですね。

IRSは、FBIとともに捜査に乗り出しました。
ここから先がアメリカらしい話で、IRSとFBIは、ブレーザー君に司法取
引を持ちかけます。
司法取引は、罪を軽くするから、捜査に協力せよというものです。日本
にはこんな制度はありません。
で、ブレーザー君は、逮捕を免れるという条件で、捜査に全面協力し、
すべてを自供したわけです。

その結果、今回の不正資金の流れが分かったというのです。

最大の疑惑は、南アフリカのワールドカップをめぐって、見返りとして支
払われた1000万ドル(12億円)です。
この資金の動きが複雑で、そこは、まさに捜査中ということになります
が、この1000万ドルが、ブレーザー氏のニューヨークの銀行口座に送
金されていました。
ここに、アメリカの司法当局が手を入れる余地が出てきます。

さらにまた、ニューヨーク・タイムズによると、この送金を指示していたの
が、FIFAのバルク事務総長だといいます。そして、バルク事務総長
は、ブラッター会長に次ぐFIFAナンバー2の存在です。
ということは、当然、ナンバー1のブラッター会長にまで、捜査の手が及
びます。

もうひとつ。
民間での不正について、アメリカには、組織による腐敗や汚職を処罰
するRICO法(組織不正法)というものがあります。
私も、この法律のことは知りませんでした。
RICO法は、もともと、マフィアや麻薬犯罪組織を摘発するために作ら
れたようですが、企業な民間団体にも適用されるようです。
今回は、脱税だけではなく、このRICO法も適用されるようです。

読売新聞の6月4日朝刊の特集をかいつまんでご紹介しました。















外交における必死の努力・・・明治の先人は必死でした。憲法9条を守るには必死の外交が不可欠です。

2015年06月03日 00時24分06秒 | 日記

憲法9条を守るには、圧倒的な外交力が必要だという話を書きまし
た。
 外交力がなければ、憲法9条は意味がなくなります。
 外交では何もできないということになると、それなら、やはり軍事力
が必要だという議論が出てしまいます。

 憲法9条は、圧倒的な外交力、外交のパワーや、外交の戦略、テクニ
ックといったものとセットで語られなければならないのです。
 外交力なしで、憲法9条を守れといっても、それはなかなか難しいこ
とです。

 では、その外交力がいまの日本にあるかというと、これが、はなはだ
心もとない。

 先週、日本と韓国の民間団体(日本は言論NPO,韓国は東アジア研
究院)が日韓世論調査の結果を発表しました。それによると、韓国人の
57%が、日本の社会・政治体制を「軍国主義」と答えました。
 軍国主義的な傾向ではなく、軍国主義ですよ。
 
また、韓国にとって軍事的脅威を感じる国・地域では、83%が北朝
鮮でこれは当然としても、日本という回答が58%で二位になりま
した。
日本は北朝鮮についで、軍事的脅威だというのです。

この調査結果に、日本人としては、ただひたすらびっくりしてしまい
ます。
現在の日本の社会・政治体制を「軍国主義」と言われると、怒るとか
なんとかという以前に、もう、あきれてしまって、あ然とするという
ほかありません。

さらにまた、日本が軍事的脅威とは、どういう認識でしょう。
日本がまた朝鮮半島に攻め込むとでもいうのでしょうか。いまこの
現在の日本が、朝鮮半島に攻撃をしかける可能性など、ありえません。
可能性ゼロといっていいと思います。

韓国の人たちがこんなふうに考えてしまうというのは、日本からの
情報発信、日本からの広報、PRが少ない、いや、ほとんどないから
ではないでしょうか。

そんな日本の外交も、かつて、ここまで必死の努力をしていたという
話をしておきたいと思います。
このブログで何回か取り上げたポーツマス条約当時の話です。
同じ文章になりますが、ご容赦ください。


日本は1904年、ロシアと戦争をしました。日露戦争です。開戦の
翌年、1905年に、東郷平八郎率いる連合艦隊は、日本海海戦でロ
シア・バルチック艦隊に勝ち、日露戦争は、日本の勝利で終わります。

 しかし、戦争終結に向け、ロシアとの間で、講和条約を結ばな
ければなりません。仲介をするのはアメリカです。
 このとき、明治の日本政府は、金子堅太郎男爵をアメリカに派
遣します。

もちろん、飛行機などない時代です。
金子男爵は、船でアメリカ西海岸に上陸します。



 金子男爵は、アメリカ各地で講演会を開き、日本の立場を説明
して回ります。そうやってアメリカ全土を横断し、最後は、ニ
ューヨーク、ワシントンにまでたどりつくのです。


この活動によってアメリカの世論は日本びいきになり、アメリ
カ・ポーツマスの地で、アメリカ政府の仲介によって、日本政
府はロシア政府と、戦争終結の講和条約を結ぶのです。
 それが、ポーツマス条約です。

 ものすごい行動です。
 今と違って、飛行機がありません。
 国際電話もありませんから、日本との連絡だって、なかなか取
れません。ホテルに帰って、部屋から東京に電話して、打ち合
わせをするということも、出来ないのです。
 そういう中を、大陸横断鉄道に乗って、アメリカ
を西から東へ移動しながら、日本の立場を訴えて回ったのです。

 明治の政府は、そこまでやっている。
もちろん当時は憲法9条などありませんが、しかし、21世紀のいま、
憲法9条を守りたいのなら、せめて、これほどの努力をして初めて憲
法9条を語れるのではないでしょうか。

 船でアメリカに渡り、列車でアメリカ大陸を横断しながら日本の立
場を訴えていく。
ここには、ひたむきな外交があります。
この必死さが、アメリカの人々に届いたのでしょう。

それに比べて、現在の政府はと、思わざるをえないのです。





中国と南シナ海・・・中国に歯止めをかける外交力が、日本には必要です。現状は?

2015年06月01日 11時56分27秒 | 日記


 南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)を中国
が埋め立てて、さらに、兵器を設置していることに、
批判が高まってきました。しかし、中国は、知らん顔
です。
 ちょうど同じタイミングで、安倍内閣が新しい安保
法制案を国会に提出し、激しい議論になっていま
す。
 
 私は、憲法9条は守るべきだとずっと思ってきまし
た。
 いまも、そう思っています。
 
 しかし、この何年かの中国の拡大路線を見てい
て、痛切に感じることがあります。
 それは、憲法9条を守っていくには、強力な外交
の力、外交のパワーが不可欠だということです。

 ただ単に憲法9条を守っていくと唱えるだけでは、
何もできません。

 憲法9条を守っていくためには、まず、日本が戦
後70年、9条の下で、ただの一度も戦争をしていな
いことを世界中に、はっきり分かってもらう必要があ
ります。
 そのための外交努力、というのは、結局のところ、
ひとつには、それを広報、PRする姿勢と努力という
ことになりますが、その姿勢と努力がなによりも必要
です。
 しかし、日本政府、とくに、外務省がそれだけの
努力をしているかというと、それが非常に疑問です。

 シンガポールで、「アジア安全保障会議(シャング
リア・ダイアローグ)」という国際会議が開かれていま
す。
 そこで、日本の中谷防衛相とアメリカのカーター
国防長官が5月30日、相次いで、南シナ海におけ
る中国の埋め立てを非難しました。
 
 それに対し、中国の孫建国副総参謀長は31日
に講演し、中国が進める埋め立てについて「完全に
主権の範囲内であり、合法で道理にかなったもの
だ」と主張しました。
 孫副参謀長はさらに、埋め立てによって建設を
進める人工島は「軍事防衛の需要を満たすため」
と説明し、軍事目的であることを認めました。
 テレビのニュースでその講演の一部が流れていま
したが、孫副参謀長は「これは大国にふさわしい行
為だ」とさえ、述べました。
 これに対しては、会場から「本当に大国であるな
ら、そのように各国と摩擦を生じることはやめるべき
だ」との質問が出ていましたが、孫副参謀長は聞く
耳を持たないという感じでした。

 南沙諸島(スプラトリー諸島)というのは、地図で
見ると分かるように、完全にフィリピンの沖にありま
す。

 これのどこをとって、中国の領土だというのでしょ
う。前回書いたように、中国は、明の時代に南沙諸
島は明の領土だったというのです。
 そんな理屈が通るなら、現在の世界の国境は、も
う無茶苦茶になってしまいます。

 こういうことをして、それが中国の主権の範囲だ主
張してはばからない国が、「日本は戦争の行為を謝
れ」「日本は軍国主義的になっている」と日本を批
判するのですから、どうかしています。

 こうした中国の行動や発言にストップをかけるの
が、外交というものでしょう。
 
 しかし、中国の動きには、まったくストップが
かかりません。
 こう書くと、必ず、こういう反論があります。
 「いや、外務省もよくやっている」
 「日本の外交もがんばっているんだから」
 と。

 それは、違います。
 外交に限らず、政府の政策は、すべて結
果が勝負です。
 すべての政策は、結果責任です。
 「よくがんばっている」「よくやった」という言
葉が通用するのは、スポーツの世界の話で
す。「負けたけれど、よくやった」。
 外交は、「がんばっている」では済まされな
いのです。外交は、結果が問われるのです。

 日本が9条の下、戦後70年もの間、戦
争をしてこなかったという事実を、世界のだ
れもが知っているでしょうか。
 70年も戦争をしていないのに、中国や韓
国からは「日本は軍国主義の危険がある」
とか「日本は右傾化している」と非難されま
す。これは、いわれなき非難というほか、あり
ません。

 私たち日本人がフラストレーションを感じる
のは、
 「日本は、なぜ、正しく理解されないのだ
ろう」
 という点にあります。
 日本で軍国主義が台頭しているとか、日
本が右傾化されていると、中国や韓国から
いわれたとき、
 「なんで、そんなふうに誤解されるのだろう」
 と思います。
 軍国主義だとか右傾化しているといわれ
て、一番「えっ?」と思うのは、ほかならぬ日
本人です。
 中国や韓国からそういわれた時点で、日
本の外交は、あまりうまく機能していないと
いうほか、ありません。

 外交への失望が広がると、次は、軍事へ
の期待ということになってしまいます。
  
 新しい安保法制に対し、日本で反対運
動が盛り上がらないのは、間違いなく、中
国の脅威、中国に対する不安感が、私た
ちの間に広がっているからでしょう。
 9条を守るためには、圧倒的な外交力、
外交のパワーが必要です。
 9条は、「平和への願い」という願いだけ
守られるものではありません。9条は、外交
力とセットで語られなければなりません。それ
が、これまで、決定的に欠けていたのではな
いかと思わざるをえないのです。