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新、時事散歩 第10回

2024年04月28日 | ブログ
円安

 私など団塊世代が物心ついてから25歳になるまで、1ドル360円という固定相場だった。その後変動相場となり、第一次、第二次オイルショックを経て1985年のプラザ合意で遂に円は1ドル200円台から1987年には150円まで急速に値上がりした。夢だった海外旅行が一般人にも解放された感があった。

 現在1ドル158円と近年にない円安となっており、「貧しくなった日本」、「家族で海外旅行など出駆けられなくなった日本」と喧伝する向きもあるが、本当だろうか。一番円が強かったのは、鳩山民主党が政権奪取した数年で、確か1ドル70円台まで高騰していた。この時期、国民は今より倖せであったか。単に、鳩山民主党すなわち親韓政党政権が、サムスンはじめ韓国メーカーを支援し、わが国の家電メーカーを潰すための円高と見えた。

 戦後の経済成長時代、松下電器(現、パナソニック)はじめわが国の家電メーカーは生産品の50%は輸出していたと聞いた。これだけの円高では家電メーカーは急速に業績を悪化させたのは当然であった。当時初めてハワイのホテルに泊まったが、客室のテレビはサムスン製、ロビーなどのテレビはLG製、すなわちいずれも韓国企業製であった。

 その後、自民党政権に戻り、アベノミクスで円安誘導、日銀の操作で株高を演出したが、以降日本の労働者の賃金は全く上がらず、少子高齢化のみ進行した。大企業は内部留保を蓄え、チャイナマネーに惑わされ、品質がほどほどなら兎に角“安く”が蔓延したことも賃金上昇を阻んだ。結局わが国の労働者の賃金は韓国までに後れを取った。先に民主党親韓政権と揶揄したが、復権後の自民党は、親中政権に落ちぶれていたのだ。すなわち、儲けを中共に投資し、わが国に十分還元できていなかったと診る。最近になって習近平の独裁強化で、ようやくその危険性に愚かな経済人も気づいたようで、中共からの撤退を始めたが遅すぎる。

 わが国の五大商社と言われる、『三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友商事そして丸紅は、21世紀を迎えた頃から大震災の頃までは、「ラーメンからミサイルまで」と言われた商圏の幅広さが災いして、経済紙に「商社株、“万年割安”の不思議」との記事がでるほどだった。当時の商社は兆単位の有利子負債があり、稼ぐ力も今と違って心許ないものだった。業界トップの三菱商事なども当時有利子負債は3兆円を超え、純利益は623億円(2003年3月期)と現在の十分の一以下でしかなかった。

 23年3月期、三菱商事と三井物産の連結純利益はいずれも1兆円を超えた。24年3月期は前期より減益とはなる見込みだが、それでも三菱商事は9,500億円、三井物産9,400億円、伊藤忠8,000億、住友商事5,000億円、丸紅が4,500億円である。従業員の5社の平均年収は1300万円~1500万円。中堅社員以上のボーナスは年間1,000万円を超えたとも言われる。』 『 』内は文藝春秋五月号、「絶好調!五大商社を鍛えた失敗の歴史」から引用。

 現在の1ドル150円台は、あのバブル期と同程度である。問題は「円安」より、稼いでいる企業が、ちゃんとお金を、国家を支えている人々に分配しないような国家の運用(企業は減税、個人は増税)が問題なのである。




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