中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

経営のこと、政治のこと、社会のこと、趣味のこと、人生のこと

泉台経営コンサルタント事務所

2020年04月01日 | Weblog

中小企業診断士 小田原 清のブログ(一陽来福)
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  小田原 清(おだわら きよし)略歴

 昭和22(1947)年   愛媛県生まれ
 昭和41(1966)年   工業高校卒業、就職
 平成19(2007)年8月 定年退職
 同年         中小企業診断士1,2次試験合格
 平成20(2008)年4月 経済産業大臣登録中小企業診断士
             泉台経営コンサルタント事務所開設
 同年11月     NPO法人金融検定協会認定ターンアラウンドマネージャー
 平成25(2013)年4月 中小企業診断士資格更新   

  所属団体・組織など

 ・東京都中小企業士協会正会員 城東支部
 ・東京商工会議所会員
 ・日本品質管理学会正会員
 ・千葉南法人会会員
 
  診断士研究会活動など

 ・城東支部/「品質マネジメント研究会」代表(リーダー)
 ・診断士囲碁同好会
   
  専門家登録

  ・ミラサポ
  ・千葉県産業振興センター
  ・千葉県商工会連合会
  ・埼玉県商工会連合会
              他
 

  
 

 


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未然防止を考える その4

2016年12月10日 | ブログ
トラブル事例を活かす

 この世には数限りないトラブル(失敗)事例があり、原因究明がされ再発防止策が施されたものも多い。航空機事故など、その最たるもので、都度ハード、ソフト両面から対策を積み上げてきたと思われる。しかし、空を飛ぶものは必ず落ち、水に浮かぶものは必ず沈む恐れが拭えない。便利なものほどリスクは高い。インターネットはサイバー攻撃に晒され、ATM(自動現金預け払い機)では偽造カードで現金を詐取されたりする。

 自動車事故は数限りなく繰り返され、プロのタクシードライバーでさえ、病院に突っ込んだり、貰い事故と言えばそうかも知れないが、歩道に乗り上げて死亡事故に到るなどさせている昨今の現実がある。病院に突っ込んだ事故では、ハイブリッド車のブレーキの不具合が疑われたりする。新しい便利な技術には新たなリスクの懸念が拭えないのだ。

 これらの事故・トラブル・犯罪事例は、当然に今後の当該機器のセキュリティ、航空機や自動車の設計に活かされるであろうが、乗用車にあっては、運転を人間の注意力に依存している以上事故は繰り返されると、自動運転車の開発が急ピッチで進められているようだ。

 それでは、過去のトラブル事例が、すんなりとその後の設計に活かされているかといえばそうでもないそうだ。『実際の設計現場でトラブル情報が設計・計画仕様の立案時に使われていないのである。その理由は、例えば次のようなものが挙げられる。

1.トラブル情報の記載内容が不十分で、設計で使えるほどのものではない。
2.設計に再利用できそうなトラブル情報があちこちに点在しており、その総体を発掘、把握できていない。
3.一般化して類似設計に再利用できるトラブル情報が、特定アイテムのトラブル情報として整理され、狭い範囲にしか活用されない。
4.トラブル情報データベースは整備したが、設計業務へ活用方法が分からず、誰も使わない。
5.トラブル情報データベースの登録件数が膨大で、必要な知識の検索・収集が困難である。

 さらに、自部署内のトラブル事例はそれなりに有効活用しているが、他部署への水平展開ができていない。』というのもある。水平展開は未然防止(予防処置)の最も初歩的な活動で、実際に起こった事例をそのまま参考にできるのだから、予測のレベルとして想像力を要しない分、初期段階と言える。

 各種データベースも手段が目的化して、データベースを作ったことに満足して、誰もアクセスしないデータベースでは仕方がない。「見える化」活動と連動して、使用者側に立ったデータベースの整備と、設計マニュアルにデータベースへのアクセスを加えるなど、アクセスを誘導する仕掛けも必要であり、トラブル事例は悲惨な目にあった人々に報いるためにも有効活用が必要である。



本稿は、財団法人日本規格協会発行、日本品質管理学会監修、田村泰彦 著「トラブル未然防止のための知識の構造化」2008年9月刊 を参考にし、『 』内はほぼ直接の引用です。
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未然防止を考える その3

2016年12月07日 | ブログ
未然防止のための知識

 設計者がトラブルを未然防止するためには、トラブルに関する知識が必要であり、その知識には、予測のための知識と対策のための知識がある。予測のためには気づきのための知識と詳細解析のための知識、対策のための知識には設計仕様の立案のための知識と設計仕様の評価のための知識が必要となる、とある。

 いずれにせよ、無から有を創出し、世の中に提供して所期の目的に沿った使用に耐えうる製品を作り出すためには、それなりの専門知識が必要なことは改めて言うまでもない。新しい材料を使用するなら当該材料の材質に関する網羅的な知識が必要となる。

 携帯用電子機器ではそれに使用する(充)電池の性能が、補助部品として重要な役割を担うが、最近これの発火事故が国内外で発生している。飛行機内や電車内で発生して周辺に重大な迷惑を及ぼした。電池にとってその寿命が命で、1回の充電で何時間使用できるかが当該製品のセールスポイントとなるため、長寿命の電池が開発されてきた。そこに落とし穴はなかったか。

 リチウム電池は、圧力を掛けると発火することは知られているが、通常の使用において発火するほどの圧力が掛かるとは考えにくい。しかし、設計時のトラブル予測が不十分であり、使用する材料の品質に問題があったか、製造工程での検査を掻い潜る程度の不具合などが絡み合って、繰り返し充電によるストレスに耐えうる限度を低くさせたものであろう。

 新たな製品が、顧客をモニターにしてはならない。どこかで事故が起これば、その原因を潰してゆくことで、設計変更を重ね高品質に仕上げてゆくことが当初からの手筈であってはなるまい。

 新薬の副作用なども、特異的な体質に対する副作用までを事前に十分検証することは至難であるにしても、薬学の専門家、新薬の開発者は、それに対処する経験と知識を持つ必要がある。

 その意味では、携帯電子機器の充電池はじめ各種電子機器・部品の安全性は、実験によって把握し得るから、新薬を世に出す苦労からすれば、容易いと思われる。常識はずれの使い方による危険性は、取扱い説明書に警告する。

 それでも事故が起こるのは、設計段階における知識の構造化が不十分なため、コストを優先させるため使用する材料の品質を落とすようなことがあったり、検査基準を甘くしていた懸念もある。設計から出荷検査まで、トラブルを未然に防ぐためにはそのため十分な知識と加えて強い責任感が必要である。



本稿は、財団法人日本規格協会発行、日本品質管理学会監修、田村泰彦 著「トラブル未然防止のための知識の構造化」2008年9月刊 を一部参考にしています。

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未然防止を考える その2

2016年12月04日 | ブログ
設計・計画

 物事を進める前には、通常計画を立てる。モノづくりの前には設計が必要である。段取り八分とはよく言ったもので、物事を成すには準備段階の周到さが成功のカギとなる。製品のコストは概ね設計によって決まると言われる。

 製品の出来栄えを評価し、問題を生じた場合に、設計段階の不手際による場合と、設計や指図通りに作らなかった、または作れなかった製造段階の不手際に分けることができるが、製造段階の不手際もその原因を辿れば無理な仕様ということもある。種々のトラブルの未然防止には設計、計画がまず重要との認識が必要である。

 そのため、昔からモノづくりの設計ではDR(デザインレビュー)が実施されるのが普通であろう。企画から設計、試作、量産試作等の各段階における問題点を関係者であらかじめ議論し、チェックリスト的に網羅的な管理表を作成して、一つ一つトラブル懸念項目を潰してゆく。これには当然に、コスト、時間(納期)、技術、人材等々制約条件が加わるからやっかいではある。

 部品数3~4万点と聞く自動車にしても、さらに航空機となれば小型ジェットで70万、旅客機なら300万点といわれる部品数の一個一個の高度な信頼性が問われることになる。

 設計段階では、これらの部品を何処から調達するのかも問題となる。すべての部品を自社生産はできない。供給先への確かな設計仕様書の提供と生産時の品質管理が重要となる。

 どれだけ綿密に設計管理して生産しても、自動車などではリコールが絶えない現状がある。車種を跨ぐ共通部品は多くなっており、一車種に見つかった不具合は多くの車種に及び、従ってリコール台数は膨れ上がる。IT化の進展も拍車をかける。便利なものほどリスクも増大するのだ。

 これら設計段階のリスクを最小にするためにFMEA(Failure Mode and Effect Analysis:故障モード影響解析)が知られている。これは起こりうる不具合(故障モード)を予測し、考えられる原因や影響を事前に解析・評価することで設計・計画上の問題点を洗い出し、事前に対策を講じることでトラブルを未然に防止しようという手法である。設計段階だけでなく、工程管理にも作業管理、設備管理にも応用できる。

 安全管理にもこの手法は応用されている。OHSAS18000では、現場でのあらゆる作業項目を上げ、作業頻度、事故時の災害の大きさ(ハザード)の程度からリスクを定量的に評価し、点数の大きいものから順次対策を徹底してゆくやり方が取られる。すなわちリスクとは発生確率とハザード(被害の重大性)の掛け算であるとする考え方を取る。

 6シグマ手法にもFMEAは取り入れられており、業務の効率化におけるリスクを事前評価するために活用したことがある。三交代勤務のプラント支援の分析業務のため、一部分析チームにおいても三交代要員を準備していたが、三交代分析要員をなくすことが可能か検討したのである。

 このような分析手法では、どこまでリスクを客観的に評価できるかが重要となる。

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未然防止を考える その1

2016年12月01日 | ブログ
各種トラブルを防ぐ

 トラブルの最大級のものは国家間の戦争であろう。平和な日本にあっては、戦争は70年も前の団塊世代が生まれる前の出来事だから、ほとんどの国民は現実的な出来事には思わないかも知れないが、第二次世界大戦後の70年間にも、世界では38もの戦争(1000人以上が死亡した軍事衝突)があったそうだ。

 国際的な各種トラブル、戦争を回避するため、国際連合があるが、必要な時に十分に機能しているとは思えない。拒否権を持った大国が、自国の国益に沿わねば、その権限を行使して中立的な運用を妨げるからである。それらの大国とは、米国、ロシア、英国、フランスそして中華人民共和国とは中学生でも知っている。第二次世界大戦の連合国の主要国だ。もっともその定義からすれば、中華人民共和国(中国共産党)が名を連ねるのはそもそもおかしい。蒋介石の中華民国、現在の台湾政府でなければならない。

 そんなこともあってか、国際的な紛争解決、調停に国連がその成立趣旨に沿った活動ができているとは到底言えないのである。現在の事務総長などもヨーロッパ諸国からさえ文句が出るほどの人物で、中国の抗日戦争70周年軍事パレードに堂々と列席した。韓国では人気が高く、次期大統領との呼び声も高いそうだが、そうなれば、日韓友好条約など反故にした方がいいようにさえ思える人物だ。

 テロとの戦いも、空爆など一般市民を巻き込むことで批判もあるが、テロの未然防止には必要悪で、トランプ氏がイスラム教信者の入国を制限するなどと発言することも分からないではない。各国とも出入国管理は厳重に行っていることで、IT技術も最大限活用しながら、効率的な水際管理が米国に限らず望まれるところだ。

 テロに限らず、一般犯罪においても、その未然防止こそ重要である。凶悪事件が起こってから、いくら犯人を逮捕したところで、失われたものは返ってこない。それにしても、最近は我が国においても、幼いわが子殺しや大学生の女性への集団暴行事件などが相次いで報道されている。有名私立大学や国立大学の医学部の学生が、まさに恥も外聞もない行動に出る。前頭葉の発育不全というか、学校や塾での勉強が、人格形成のためではなく、お金儲けの手段として大手を振る風潮があり、マスコミ主導の性の解放が、命をつなぐ厳粛な営みの意味を捨て去ってしまった帰結なのであろう。

 犯罪を抑止するために、警察力の強化や罰則強化も必要であるけれど、人格を陶冶し恥を重んじる文化の醸成のために、心の教育の充実が必要である。学校でのいじめ問題対応などもそうだけれど、他人の痛みを知ることから始めねばならない。

 トラブルにはこのように社会問題まで含むけれど、企業活動に伴う、安全・品質トラブルからコンプライアンスまでの未然防止をどのように行えばいいのかを中心に考えてみたい。
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5Sと見える化 第9回

2016年11月25日 | ブログ
何を見える化するのか

 見える化と言って何を見えるようにするのか、それが問題である。経営全般に見える化が必要なことは言うまでもないが、そのためにも、まずは日常管理上で発生する問題の見える化、すなわち現場レベルの見える化が必要である。

 それら問題の見える化には、「異常の見える化」、「計画進捗状況の見える化(計画と実行のギャップを可視化する)」、「真の原因の見える化」、「効果の見える化」などが上げられるが、「真の原因の見える化」では、「なぜ」「なぜ」「なぜ」を繰り返し、真の原因を突き止め、それに対する対策を打つ習慣というかルール、制度を構築しておく必要がある。通常、「トラブル解析シート」などが用いられる。トラブルの真の原因を突き止め対策を打ち、その過程を記録に残し、周知できるシステムを作っておく。また実施した対策は効果的であったかどうかまで検証し、結果を共有化するのが、「効果の見える化」となる。

 次に必要な見える化は、現在の状況の見える化。見える化とは見ようとする意志がなくとも見えるようにすることである。すなわち状況が悪化した場合に、赤いランプが点滅しながら警告音を発するなども、見える化の典型例である。状況がどうか問う時、良いか悪いかの判断には基準が必要である。すなわち「基準の見える化」が必要である。現場マンであった頃、現場の圧力計に通常値の部分に青いテープの目印を付けたりしたことを思い出す。

 ドラッカーの「企業の目的は顧客を創造すること」をあげるまでもなく、顧客あっての企業活動である。顧客が何を求め、何を必要としているか。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」、顧客を知ることは事業の成功のために必須条件だから、この見える化に工夫が必要である。

 顧客の見える化を図るひとつの手段として、ホテルに泊まれば、客室にはアンケート用紙が置いてある。バスツアーでも添乗員から本日のツアーは如何でしたかとアンケート用紙が配られる。アンケートは、ただ事務的に配って回答を寄せて貰えばいいというものではない。項目毎の質問の仕方、内容が、答えられやすく、本音を問うものでなければならないし、その結果の評価が重要である。「満足されましたか」の質問に「普通」の答えは不満と考え、改善の方途を探る必要がある。さらに、その結果にはトップから担当者までがコミットできる仕組みが見える化となる。

 見える化は、見た者がどう気づき、どう考えるかが重要である。自身の経験や知恵を標準書に盛り込むことやトラブルシューティングなども、見える化のツールである。実際に起こったトラブルとその際に取った対策を記録して、閲覧できるようにしておく。これらは、「経験や知恵の見える化」となる。

 経営の見える化には、まず「業務フロー図を描いてみて下さい」と勧める。ISO9000で描いた品質保証体系図がモデルとなる。また機に応じて経営状況を従業員にも知らしめることも重要である。今、働いている会社がどのような経営状況にあるのかを知ることで、従業員一人一人が日々の業務の中で業績向上にどう立ち向かえばいいのか考えられるようになることこそ、経営の見える化ではないかと考える。「5Sと見える化」了



本稿は、遠藤功著、「見える化」2005年10月初版、東洋経済新報社刊を一部参考にしています。
11月28日の更新は都合でお休みします。次回は12月1日、新たらしいテーマで更新します。
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5Sと見える化 第8回

2016年11月22日 | ブログ
見える化の落とし穴

 計器室に立派なモニターを設置しても、それをどのように活用するのか、誰がいつどのように監視し、何を異常と判断し、どう対応するかなど、事前に十分な準備、体制、運用のシステムが出来ていなければ、万里の長城、ピラミットや戦艦大和とまではゆかずとも無用の長物と言われて仕舞うものと化す恐れがある。モニターを設置したお陰で何がどう見える化され、安全と品質、生産性の向上にどれほど寄与出来るかの運用方法が問われる。

 ITの活用による見える化なども、落とし穴となる代表的なもので、品質情報や営業情報など、一生懸命データベースに入力し、必要な部署が見てくれていると思い込んで、紙ベースの連絡・報告を止めてみれば、実はほとんどの関係者がデータベースにアクセスしておらず、却って部門間の意思疎通が悪化したなどという事例も現実にあったという。見える化はわざわざアクセスしなくても、目に飛び込んで来るような仕掛けが必要なのである。

 電子メールなど、一度に多数の人々に連絡できるし、ファイルを添付することもできる情報の共有化のための優れたツールではあるけれど、それへのアクセスのタイミングも問題で、リアルタイム対応には便が悪い。職場の仲間が席を立ちぞろぞろどこかへ出掛け始めたので、何だと聞くと、「今から○○会議です。先ほど連絡がメールで届いたよ」という。「見てないよ、ひと声掛けてくれればいいのに」ということがあった。

 デジタル情報の数字も見える化の代表選手。経営情報システムの導入によって、現場の生産や売り上げ情報がリアルタイムで経営者に届くシステムが構築されることは素晴らしいが、数字(数値)はあくまで「事実の一部」であると言われる。併行して定性的な生情報をどこまで見える化出来るかが問われる。現場情報を数値だけで判断していると、思わぬ落とし穴に嵌る恐れがあるというのだ。

 法制化されている上場企業の決算情報でさえ、改ざんされ節税や逆に粉飾に利用されたりする事例は後を絶たない。そのような虚偽のケースを上げるまでもなく、数字はいろいろに操作できる代物である認識が必要なのである。あくまで、真実の状況を見える化する取り組みが必要である。

 仮にトップが、立派な見える化のシステムを構築し、運用したとしても現場の従業員に見える化された情報をキャッチするアンテナと、それに基づく行動力がなければ、見える化システムも業績には繋がらない。

 見える化についてもしっかりとPDCAを回して、効果の確認が必要であり、不足するものは何かを見つけ、従業員教育への新たな投資も必要である。



本稿は、遠藤功著、「見える化」2005年10月初版、東洋経済新報社刊を一部参考にしています。
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5Sと見える化 第7回

2016年11月19日 | ブログ
ISO9000と見える化

 ISO9000が我が国に急速に入って来たのは1990年代初頭であった。同時期にバブルが弾け、現場の小集団活動も改善提案活動も下火になった。従来のTQC(我が国では1996年頃からTQMへ呼称変更)活動はISO9000の取得とその維持に置き換えられていった。別に代替できるものではなかったが、両方の活動を同時に推進するには企業も余力はなかったし、小集団活動もマンネリ化していた時期でもあったように思う。

 ISO9000では、多くのことを学んだ。品質管理体制の構築と品質保証体系図、文書・記録類の管理の徹底、トレーサビリティやインターフェース(業際)管理の重要性などなど。これらはすべて換言すれば品質管理の見える化活動であった。

 しかし、その後20数年を経て、我が国の現場力は「今や、中国、タイ以下との声も」(日経ビジネス2015年5月11号「日本の現場力は強くない」)とさえ言われる状態となった。ISO9000の見える化は、あくまで外部の審査員に見せるためのものであり、企業の真の血肉になっていなかった証左である。

 中小企業にISO9000の認証を受けるための投資と見返りとしての効果を考慮すれば、採算性は薄いと思われる。勿論、官公庁向けの仕事や外国企業との取引で、ISO9000の取得を条件とされれば別ではある。認証取得に採算性はなくともISO9000自体は良いところが多い。取得はせずともそのシステムや考え方の良いところは大いに取り入れるべきである。

 行政機関によっては、中小企業向けにISO9000の取得に助成金を出すとしていたところもあったが、それを支援するとしたコンサル団体の仕事を増やすためのものでしかない。取得の支援をして中小企業から報酬を得るくらいなら、ISO9000のエキス分を提供し、その定着を支援するべきである。ISO9000はその認証取得、毎年の審査、数年ごとの更新、そのたびに審査会社に支払う経費が生じる。その投資に見合うだけの売り上げ増大が見込める中小企業は少ないように思う。

 ISO9000のエキス分とは、まさに経営の見える化であり、情報の共有化である。個人で抱え込んでいるような情報をなくすこと。担当した設計業務や営業情報はとかく担当者レベルで抱え込みやすい。業務上で得た技術ノウハウも周囲に教えたがらない者も居たりする。企業活動によって得られた知識や技能は、本来当該企業に属すものである。

 仕事を抱え込み、自身の存在価値を高めようとする輩もあり、それも分からぬでもないが、真の仕事とは、自分を必要としないようにすることである。共同化、省力化、機械化、コンピュータ化など。真の仕事ができる社員を多く抱えた企業は確実に発展する。ただ、それを評価する能力のない管理者、経営者の下ではその逆が繰り返され、真の見える化も、真の業務の効率化も達成されない。先進国の中で労働生産性が低いと言われる国から抜け出せない。
 
 仕事がし易く、業績向上に結び付き、働く人々の幸福を呼び込む、真の「見える化」活動が求められる。
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5Sと見える化 第6回

2016年11月16日 | ブログ
見える化運動のすすめ

 QCサークル活動とか小集団活動といった、テーマ設定が結構広い活動に代わって、「5S活動」とか「見える化運動」など比較的課題の明確な組織活動が、企業の特に現場力を高める活動として注目されるようになって久しい。しかし、表面的な取り組みに終わっていることが多くないか。現場の計器室に大型モニターを設置し、「見える化」を実現したと喜んでいた所長さんは、本当に見える化が分かっておられたのだろうか。今頃になってあらためて想う。

 人は精巧な目を持っているから、大抵の物は見えていると思っているけれど、実は関心のないことはほとんど見えていないものだ。いつも目にしているであろう通勤途上に見る風景やお店の看板でも、実に曖昧な記憶しか辿れないことは、その証左として関連本などによく書かれている通りである。

 「見る」とは、形あるものすなわちハードをみること。「観る」はソフト面を、「診る」は人間性についてみること。いつかどこかのセミナーで講師の先生がおっしゃっていた。だから「観る」や「診る」は一層難しい。だから敢えて企業組織においては、運営状況の「見える化運動」が必要なのだ。

 見ることに関連して、女性の「美人」とは顔の評価、「麗人」は立居振舞を加えた姿見の素晴らしい人のこと。これに行動、すなわち心が伴って「佳人」となるそうだ。最近はとんと美人にもまして麗人にも佳人にもお目にかかれないのは、実はこちらの見る目が曇っているのかも知れない、ということにしておこう。

 世間、人間、仲間、時間から「間」を取れば間抜けであり、逆に「不信」、「不安」、「不満」から「不」を取り除くことが商売の秘訣である。その為にも売り方において売り手の心を「見える化」する必要がある。これらの話も先のセミナーで聞いた。

 企業診断など「診る」ことの代表であるけれど、これはクライアント企業の経営者とのヒューマンリレーションが必須で、そのためには対話が必要である。対話の頻度、時間、中身の濃さが「診る」ことの質を高める。

 職場で、実績値や計画表をグラフやチャートにして掲示板に貼り出せば、「見える化」であり、IT化で諸々のデータを共有化して「見える化」と考えても、グラフやチャートの意味を伝え、そこから見た人が自身の行動に反映させなければ、共有データにしっかりとアクセスして活用していなければ生きた見える化とは言えない。

 企業活動には、共有化できない情報もあるが、一部の人々が故意に囲い込んだ共有化すべき情報や知られたくない失敗情報など、何もしなければ見えにくい情報ばかりとなる。「見える化」によって現場力強化に取り組み、経営の透明性を高め、不祥事のない業績の高い企業を目指すために真の「見える化活動」が必要である。


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5Sと見える化 第5回

2016年11月13日 | ブログ
整理・整頓(続)

 5Sには関係ない話だけれど、米国の大統領選挙が終わって、大方の予想を覆して、トランプ氏が大統領に選ばれた。開票段階で、トランプ票がヒラリー候補を上回ったところで、株価は下がる、円は上がるという状況となったが、トランプ氏の勝利宣言のまともなスピーチが流れると、反転株価は上がる、円は元に戻ったようだ。

 それにしても、米国では反トランプのデモがあるようだけれど、民主主義は選挙による多数決が原則で、支持した候補が選ばれなかったとデモをするのは、どうも道理が通らない。

 もっとも、誰も言わないけれど、トランプ候補の勝利の陰の立役者は韓国の女性大統領だったように思える。他国の大統領の不甲斐なさで決まる民主主義には納得がゆかない人も出るのは当然かも知れない。ヒラリーさんは女性初の米国大統領を目指したわけだけれど、韓国大統領も韓国での女性初。この度の韓国大統領を巡る騒動は、ヒラリーさんのメール問題と通じる雰囲気もあって、元々のヒラリー票がいざ投票段階になって、トランプ氏に流れたのではないか。

 整理整頓の話に戻す。企業における整理については、日常管理的には現場主導のボトムアップ的改善行動に思えるが、整理の基準については経営者、管理者判断が必要で、個人で勝手に処分することはできない。

 従って5Sを進めるには、組織として計画的に実施する必要がある。文書、記録類の整理なども、保管期限があっての整理であり、かつ処分の仕方も資源化できる場合や単なる可燃物としての廃棄ではなく、細断または焼却などが必要な場合も多い。

 整頓によるコスト削減効果なども、5S本によっては、資材の過剰購入回避によるもの、紛失回避などによるものなどと数値を上げて定量的な実績を述べているものがあるが、定着させれば長期的には大きな経済効果が期待できることは事実であろう。

 整頓のもっとも現れやすい効果は、探す時間の短縮である。他人が見れば乱雑でも、自分にとっては何処に何があるかなどすべて頭の中に入っており、この状態が自分にはベストだなどと嘯く向きもあるけれど、職場は自分一人の場合は少ない。工具類は勿論、文具までも共有すればコストは確実に下がる。保管場所を決めて、しっかりと整頓することで気分は良くなり、作業効率は上がる。

 意外な気がしないでもないが、我が国は労働生産性が低いという。近年GDPが横ばいなのもその所為だという主張もある。一番は無駄な作業、無為な残業が多いこと。残業代稼ぎの残業があったりする。ここらあたりにも、見える化が必要なのだ。残業の指示・承認権限を管理者が放棄して、遅くまで仕事することが習慣化した企業や職場が多いこと。ワークアウト(やっている仕事、作業の細目を上げ、必要ないものを止める)が必要なのである。職場環境整備のための5Sと共に、無駄な作業を仕事と偽ってやっていないか。業務の整理・整頓も必要である。


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