何を見える化するのか
見える化と言って何を見えるようにするのか、それが問題である。経営全般に見える化が必要なことは言うまでもないが、そのためにも、まずは日常管理上で発生する問題の見える化、すなわち現場レベルの見える化が必要である。
それら問題の見える化には、「異常の見える化」、「計画進捗状況の見える化(計画と実行のギャップを可視化する)」、「真の原因の見える化」、「効果の見える化」などが上げられるが、「真の原因の見える化」では、「なぜ」「なぜ」「なぜ」を繰り返し、真の原因を突き止め、それに対する対策を打つ習慣というかルール、制度を構築しておく必要がある。通常、「トラブル解析シート」などが用いられる。トラブルの真の原因を突き止め対策を打ち、その過程を記録に残し、周知できるシステムを作っておく。また実施した対策は効果的であったかどうかまで検証し、結果を共有化するのが、「効果の見える化」となる。
次に必要な見える化は、現在の状況の見える化。見える化とは見ようとする意志がなくとも見えるようにすることである。すなわち状況が悪化した場合に、赤いランプが点滅しながら警告音を発するなども、見える化の典型例である。状況がどうか問う時、良いか悪いかの判断には基準が必要である。すなわち「基準の見える化」が必要である。現場マンであった頃、現場の圧力計に通常値の部分に青いテープの目印を付けたりしたことを思い出す。
ドラッカーの「企業の目的は顧客を創造すること」をあげるまでもなく、顧客あっての企業活動である。顧客が何を求め、何を必要としているか。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」、顧客を知ることは事業の成功のために必須条件だから、この見える化に工夫が必要である。
顧客の見える化を図るひとつの手段として、ホテルに泊まれば、客室にはアンケート用紙が置いてある。バスツアーでも添乗員から本日のツアーは如何でしたかとアンケート用紙が配られる。アンケートは、ただ事務的に配って回答を寄せて貰えばいいというものではない。項目毎の質問の仕方、内容が、答えられやすく、本音を問うものでなければならないし、その結果の評価が重要である。「満足されましたか」の質問に「普通」の答えは不満と考え、改善の方途を探る必要がある。さらに、その結果にはトップから担当者までがコミットできる仕組みが見える化となる。
見える化は、見た者がどう気づき、どう考えるかが重要である。自身の経験や知恵を標準書に盛り込むことやトラブルシューティングなども、見える化のツールである。実際に起こったトラブルとその際に取った対策を記録して、閲覧できるようにしておく。これらは、「経験や知恵の見える化」となる。
経営の見える化には、まず「業務フロー図を描いてみて下さい」と勧める。ISO9000で描いた品質保証体系図がモデルとなる。また機に応じて経営状況を従業員にも知らしめることも重要である。今、働いている会社がどのような経営状況にあるのかを知ることで、従業員一人一人が日々の業務の中で業績向上にどう立ち向かえばいいのか考えられるようになることこそ、経営の見える化ではないかと考える。「5Sと見える化」了
本稿は、遠藤功著、「見える化」2005年10月初版、東洋経済新報社刊を一部参考にしています。
11月28日の更新は都合でお休みします。次回は12月1日、新たらしいテーマで更新します。
見える化と言って何を見えるようにするのか、それが問題である。経営全般に見える化が必要なことは言うまでもないが、そのためにも、まずは日常管理上で発生する問題の見える化、すなわち現場レベルの見える化が必要である。
それら問題の見える化には、「異常の見える化」、「計画進捗状況の見える化(計画と実行のギャップを可視化する)」、「真の原因の見える化」、「効果の見える化」などが上げられるが、「真の原因の見える化」では、「なぜ」「なぜ」「なぜ」を繰り返し、真の原因を突き止め、それに対する対策を打つ習慣というかルール、制度を構築しておく必要がある。通常、「トラブル解析シート」などが用いられる。トラブルの真の原因を突き止め対策を打ち、その過程を記録に残し、周知できるシステムを作っておく。また実施した対策は効果的であったかどうかまで検証し、結果を共有化するのが、「効果の見える化」となる。
次に必要な見える化は、現在の状況の見える化。見える化とは見ようとする意志がなくとも見えるようにすることである。すなわち状況が悪化した場合に、赤いランプが点滅しながら警告音を発するなども、見える化の典型例である。状況がどうか問う時、良いか悪いかの判断には基準が必要である。すなわち「基準の見える化」が必要である。現場マンであった頃、現場の圧力計に通常値の部分に青いテープの目印を付けたりしたことを思い出す。
ドラッカーの「企業の目的は顧客を創造すること」をあげるまでもなく、顧客あっての企業活動である。顧客が何を求め、何を必要としているか。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」、顧客を知ることは事業の成功のために必須条件だから、この見える化に工夫が必要である。
顧客の見える化を図るひとつの手段として、ホテルに泊まれば、客室にはアンケート用紙が置いてある。バスツアーでも添乗員から本日のツアーは如何でしたかとアンケート用紙が配られる。アンケートは、ただ事務的に配って回答を寄せて貰えばいいというものではない。項目毎の質問の仕方、内容が、答えられやすく、本音を問うものでなければならないし、その結果の評価が重要である。「満足されましたか」の質問に「普通」の答えは不満と考え、改善の方途を探る必要がある。さらに、その結果にはトップから担当者までがコミットできる仕組みが見える化となる。
見える化は、見た者がどう気づき、どう考えるかが重要である。自身の経験や知恵を標準書に盛り込むことやトラブルシューティングなども、見える化のツールである。実際に起こったトラブルとその際に取った対策を記録して、閲覧できるようにしておく。これらは、「経験や知恵の見える化」となる。
経営の見える化には、まず「業務フロー図を描いてみて下さい」と勧める。ISO9000で描いた品質保証体系図がモデルとなる。また機に応じて経営状況を従業員にも知らしめることも重要である。今、働いている会社がどのような経営状況にあるのかを知ることで、従業員一人一人が日々の業務の中で業績向上にどう立ち向かえばいいのか考えられるようになることこそ、経営の見える化ではないかと考える。「5Sと見える化」了
本稿は、遠藤功著、「見える化」2005年10月初版、東洋経済新報社刊を一部参考にしています。
11月28日の更新は都合でお休みします。次回は12月1日、新たらしいテーマで更新します。