学習障害と英語指導を考える

特別支援の視点から。
どの子もハッピーになるような指導を。

英語でつまずく子どものための早期発見と対策セミナー『英語の読み書きのつまずきと「見る力」「聞く力」』

2015年11月21日 | 講演会・勉強会

(チラシは上のアイコンをクリックして下さい・拡大できます)

『英語の読み書きのつまずきと「見る力」「聞く力」』

セミナーのご紹介です。

日時:12月6日(日)13時~17時

会場:大阪商業大学図書館 9号館5F 951教室 (**場所が変更になりました)

参加費:500円 (定員約100名 先着順)

参加対象:教職関係者、英語教育に関心のある方ならどなたでも

主催:小学校英語教育学会(JES)大阪支部&英語ユニバーサルデザイン研究会

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第一部:講演

 1.「学習に必要な視覚の力」

   ジョイ・ビジョン代表 北出勝也

 文を眼で追う眼球運動の力、文字の形を認識する視覚形態認知などの力の弱さから、学習につまずいてしまう視覚のチェックや支援について。実演を交えてお話しします。

  2.「英語の読み書きに必要な”音”って?ー音韻意識を育てる」

   神戸山手短期大学 村上加 代子

 「音に慣れ親しむ」だけでは英語読めるようにはなりません。単語の読み書きにつながる「聞く力」とは?活動例とともにお話しします。

第二部:実践・研究報告

 1.「小学校での音韻意識を育てる試み」

  神戸山手短期大学講師 チェン敦子 &みゆき英語教室  伊藤みゆき

 (概要)

小学生で身につけたい「音に慣れ親しむ」活動は、その後の中学校での読み活動へと段階的に発展します。公立小学校と個人英語教室において、小学校低・中学年を対象に音節とライム指導を行い、事前・事後テストで効果を確認しました。短期間であったにもかかわらず、ライミングワードを捉えたり、語頭の音を識別するなどの成果が見られました。発表では具体的な音韻意識活動を数例紹介します。
 
2.「多感覚学習法を用いた読みの指導:アメリカの大学生を対象とした実践報告」

    大阪教育大学大学院生 阪上瑞穂

(概要)
現在、日本の英語教育においても特別支援教育の視点の重要性が高まってきていますが、学習に困難を示す学生に対する支援法の開発はまだ十分であるとはいえません。一方、海外では、特にLDの学生に対する支援の一つとして、多感覚を用いた指導が行われています。本発表では、LDの特性をもつアメリカ人大学生を対象として、sight word(暗記する語)を中心とした英単語の読み指導を多感覚学習法で指導した実践例を紹介します。

  3.「ICTを活用した英語授業:生徒を中心としたアクティブラーニング」

    大阪府立箕面高等学校 森田琢也

 (概要)

ICTを有効活用し、生徒が主体的に学習へ参加する工夫や方法を考察します。これまで蓄積されてきた指導法とICTを適切に融合し、授業の反省をすることで、児童生徒にとって魅力のある授業を組み立てる方法の1つとなると考えます。
ICTの利用が、ゲームや遊び感覚となり、授業時間の浪費となっては、学習効果は期待できません。授業計画の中に、学習としての意義と目的を明確にしながら、ICT教材を的確に位置づけ、ICTを活用することで、どのような効果があるのかを引き続き検証していく必要があると感じます。

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(ここからつぶやき)

北出先生はわたしも色々とこれまでチャレンジ教室の生徒さんへのアドバイスを頂いています。

「単語が読めない」「文字がぐちゃぐちゃ」といった生徒の躓きの背景に、見え方の問題が大きく関わっていることがあります。

見え方に弱さがあれば、いくら「正しい書き方」や「読み方」を教えてもなかなか改善されません。

見え方そのものを向上させるようなトレーニング、また、

「もしかして?」と思うお子さんへの簡単なチェックなどもご紹介頂けます。

見え方の問題は学習全般に関係するため、英語の先生方にもぜひ知って頂きたいです。

 

私の担当部分は、英語圏のディスレクシアの問題とも関連した内容です。

日本でも多くの生徒がディスレクシアと同じ症状でつまずいています。

その原因として、一つは北出先生のご担当の「視覚認知処理」の関係があげられます。

もう一つが、読み書きの基本となる「音韻意識」の獲得が不十分であることが考えられます。

ですが小学校では「音に慣れ親しむ」ことをやっているのに、

中学校ではやはり読み書き(単語のスペリングなど)で大変つまずいてしまう。

最近小学校でも導入されているフォニックスは、

音韻意識のなかでも音素意識が発達していることが重要ですので、

フォニックスで文字の音だけを学習しても、その認識と操作ができない可能性があります。

LDのお子さんであれば、なおさら「音から文字」の接続は重要になります。

読みにつながる「聞く力」とはなにかについて、なるべくゆっくりお話しします。

 

第二部の、実践報告のところでは、

「小学校での音韻意識を育てる試み」

として、小学生を対象とした音韻意識指導の結果報告があります。

実際は、小学校だけでなく、英会話教室でも同じ音韻意識の指導研究をしています。

これまでにない試みだと思いますので、楽しみにしています。

おそらく、「音韻意識指導ってなんですか?」という方がほとんどかと思いますので、

伊藤先生、チェン先生は、参加者の方が指導例を体験できるよう工夫されています。

今回は、ライムと音節が対象だそうです。ライムも音節も、子どもたちは楽しみながら身につけているようです。

(来年は音素の指導へと進みますのでそれもご期待ください)

 

「多感覚学習法を用いた読みの研究」は、

アメリカのディスレクシア大学生を対象とした指導実践の発表です。

阪上先生が実際に米国留学中に体験された貴重な情報をシェアしていただけます。

日本人の生徒でも単語の暗記は大変苦労しますが、
それは英語が母語であるアメリカでも同じです。

ですが、留学生である阪上さんが、アメリカ人の大学生に指導って・・・

初めてお聞きしたときは、
「何を教えられたのですか?指導方法は??どれくらい時間かかったの?」
など、質問がいっぱいでした。 

指導で用いられた多感覚学習法についてもご紹介いただけるとのことです。


「ICTを活用した英語授業:生徒を中心としたアクティブラーニング」

 森田先生はもともと特別支援の高校で指導をされており、
ICTなどを用いて、多様なニーズのある生徒への英語指導実践を行っておられます。
高校での英語の特別支援教育はなかなか少ないため、とても楽しみな内容です。

 

 

日程があればぜひご参加下さい!

 

 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
セミナー (taki-irukazawa)
2015-11-23 13:52:58
とても興味深いセミナーです。
当方二人のディスレクシア傾向のある男児を、様々模索と学校への働きかけしながら育てており、ぜひ参加したいのですが遠方故かないません。
村上先生、当日の内容を是非アップしていただけると本当にありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします!
takiさんへ (村上)
2015-11-23 22:39:28
お子さんがディスレクシア傾向があるのですね・・・。
当日のまとめを報告しますね!
宜しくお願いしますU+2757 (taki-irukazawa)
2015-11-24 22:18:00
早速の心強いお返事、ありがとうございました。どうぞ宜しくお願いします。
音節で英語を読む (国崎 晴香)
2015-12-08 15:05:52
先日の大商大での講演に参加しました、国崎と申します。

基本的な事を聞くようで恥ずかしいんですが私自身、即座に音節毎に分けれるかとなると、自信がありません。音節に分ける際の基準がわかるものは何かありますか?
国崎さま (村上)
2015-12-22 22:25:41
コメントありがとうございます。
辞書には音節での分節単位が記載されていますので、正しくは辞書を確認するのが良いかと思います。
「あごの下に手の平を下向けにしてあて、発音します。あごが大きく動くところだよ」、と英語圏では教えているようですが、日本人には難しいですよね。
母音を中心のひとかたまりをつくるわけですが
これは音節活動を数回やると、コツがわかるようで、さっそく特別支援学校で実施された先生が「生徒が楽しそうにできた!」と報告して下さいました。
学習塾のLDの認識の低さに驚いています (Amy winehouse)
2016-02-20 10:28:46
私の勤務先の個別学習塾に、「もしかするとこれがLD?」という中一のお子さんがいます。2ヶ月ほど英語を担当していますが、村上さんのご説明にあるつまずきの特徴に照らし合わせると、心当たりが山ほどあります。ただ、塾長は、「ただの勉強不足だろう」と言い、親御さんも気づいていないようです(もしくは認めたくない)。でも先日、先方からの要望で、家庭での学習をどうしたらいいのかという電話相談を受けた際、「2時間ほど単語練習に付き合ったが、たった5つの単語を覚えさせるのに、死ぬほど骨が折れました。先生、どうしたらいいですか」と切実に訴えてこられたので、やはりLDの可能性は高いのではないかなと思っております。お母様も大変だと思いますが、1番かわいそうなのは お子さん本人なので、とりあえず、聴覚は良いので(音読も好きなようです、ただし、書くことよりは楽だから、かな?と思える節もあります)、sight wordsやblending lettersなどの動画を導入して、家庭でも毎日1回は必ず見てもらうよう、勧めてみようかななどと思っています。性格はいたって真面目で、その割には問題の解き方がびっくりするほど雑です。playという単語はわかるようなのですが、文法問題で、swimや runなどの動詞の前に何の躊躇もなく、playを入れようとしたり、basketballは理解出来てもballが読めなかったり、授業のたびに、その日の日付と曜日を英語で書かせるのですが(スペリングを覚えさせるのに一石二鳥と思ったので)、月の名前を覚えるどころか、曜日はいつも同じ曜日なのに、相変わらず同じ箇所でスペル間違いをしています。ただ、基本的には英語を楽しんでもらえればいいや、と私は思っているのですが、お母様にしてみるとテストの点数の方が気になるようです。


長々と書いてしまいましたが、村上さんの色々なお話、とてもとても参考になりました。これからも、日本の英語教育を改善すべく、頑張ってください。私も微力ですが私のできる範囲内で、頑張ります。
Amyさんへ (村上)
2016-02-24 11:39:22
コメント・応援ありがとうございます。

わたしも手探りで始めた教室ですがなんやかんやで7年目になりました。
子どもたちのつまずきの出方はほとんど同じで、「単語が書けない「覚えられないといったところです。

ですがその原因の個人差が大きいため、指導は異なるアプローチが必要かと思います。

繰り返し同じことを失敗するのは本人のやる気がなくなります(当たり前ですが、自分を頭が悪いと思い始めます)ので、3度失敗したらその活動はやめ、もう一段下のレベルから始めるほうが良いです。
指導方法を変えることで改善することは多く、いろいろトライしてみて欲しいと思います。
がんばってくださいねー

Oftenの発音について (Amy Winehouse)
2016-03-05 06:58:40
先日は、心強いアドバイスをどうもありがとうございました。

1週間ほど前に、その生徒の学校で定期テストがあったのですが、何とか事前の追い込みで、前回のテストの40点から50点台にあげることができて、親御さんは非常に満足されている様子でした。ただ、これから学校の授業の方がさらに進んでいくことを考えると、前途多難かなと考えずには居られません。

ごく簡単なカタカナ英語(ランチ、ドリンクなど)を知らなかったり、和訳問題で、ひらがなでも済むところを一生懸命漢字を思い出して書こうとしているところなど(テストでは時間がかかるのでひらがなで書こうねとアドバイスしました、とにかく学習塾では、一点でもテストの点数を上げることが命題なので)、やはり何か意味付けがないと文字が覚えられないタイプなのかなぁと思いました。

1つ質問があるのですが、ちょうどこれから教える進出単語にoftenがあります。綴りの定着のために、最近イギリスなどで人気のあるtをpronounceする発音の仕方で、音読などの指導をしていこうと思っているところなのですが、先生はどう思われますか?やはり学校での発音(tをpronounceしない)との整合性は保つべきですか?

非常に細かい質問で申し訳ありません。

彼の問題の根本的な解決にはならないとはいえ、自分としては気づいたことがあればそれを1つずつ実践していくしかないと思っている次第です。何か良い知恵があればお貸しください。
Amyさん (村上)
2016-03-06 19:05:49
お返事遅くなってしまい済みません。
50点も取れるのは立派だと思いますよ。学校のテストは暗記が中心になりがちですので大変ですね・・・。
oftenですが、段階を踏めばいいのではないですか。
まず一番容易なのは、音の通りに書くことですから、tを発音したほうがスペルミスがないでしょう。
その際に、日本では、tを落として発音するのが主流だからね、と一言添えてはいかがでしょうか。

良いアドバイスかどうかわわかりませんが・・・。
またうまくいきましたら教えて下さいね!

アドバイスありがとうございました (Amy Winehouse)
2016-03-07 11:46:25
Amyです。

返事が遅れただなんてとんでもありません。お忙しい中、心強いアドバイスをありがとうございました。実を言うと、同日に2つのコメントを書いたはずだったのですが、私の操作ミスか何かで、最新ページの方に寄せたテキストがなぜか投稿されておらず、翌日再度送ったので、今回のように返事を催促するような形になってしまい、大変申し訳ありませんでした。

また、自分のアイディアが、的外れではないことを後押ししていただけたことを感謝します。一応、often には2種類の発音があることについてきちんと説明した上で、やってみようと思います。

本当にありがとうございました。

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