ぜんとりょ~えん♪

JR宝塚線脱線転覆事故にあった人の日記

「ディープ・ブルー(吹替版)」の感想

2004年09月28日 | 映画のカンソウ。
■ディープ・ブルー[DEEP BLUE] (鑑賞日:2004/09/26)
「ディープ・ブルー」といっても、賢くて、でかいサメが人を襲う映画ではありません。
まぁ、いちおう、でかいサメ(ジンベイザメ)は出てきますけど(笑)
この作品は、製作に7年をかけたという、海洋ドキュメンタリーです。
ロケ地は200ヶ所にのぼり、撮影したフィルムの総時間は7000時間という壮大なものです。
イルカなども登場するので、もしかしたら、癒しを求めてご覧になろうかという方も、いらっしゃるかもしれませんが、本作は決して、そのような作品ではありません。
それ以前に、自然や自然動物に、そのようなこと「だけ」を求めること自体、間違っているように思います。
ドキュメンタリーですから、当然、自然の厳しさも多々、盛り込まれています(また、同時に自然の優しさというのもあるとは思いますが)
シャチが、コクジラを捕食するシーンがあるのですが、これは特に残酷です。
狩りの方法は、群れで、コクジラの親子を4時間追いまわし、疲れさせ、子供を親から引き離したところで、シャチが体でコクジラの子供を上から押さえつけ、窒息させて殺します。
その後、上アゴと舌を食べるのです。
しかし、シャチの視点から見れば、生きるためにご飯を食べなければならないわけで、狩りが成功したことは、喜ぶべきことです。
ついつい、わたしは、コクジラの視点で、かわいそうだなと思って観てしまうのですが、この作品は、そのようなシーンでも淡々と観せることで、やはり、自然においては、そのような感情は、人間の勝手で傲慢な思い込みではないのかと、改めて思い知らされます。
また、トレーラーでも観ることが出来るシーンなのですが、クジラが小魚(たぶんカタクチイワシだと思うのですが)を捕食するために、大きな口をあけて、水面に向かって、すごい勢いで上昇する映像を水中から見上げて撮っている映像は、実に迫力があり、ほんの数秒ですが、少なくともトレーラーだけでもチェックする価値があると思います。
そして、わたしの大好きなペンギンも登場します。
エンペラーペンギン(*1)のオスが、ブリザードが吹き荒れる冬の南極で、約3ヶ月間、絶食して卵を温め続ける(*2)シーンでは、ペンギンの可愛さと、彼らが生きている自然環境のギャップを観て頂いて、多くの方が持っているであろう、可愛くてユニークなだけのペンギン像が少しでも変わってくれることを、ひとりのペンギンファンとして強く望みます。
他にも、多くの生き物が登場しますし、また、海の美しさも存分に堪能できます。
音楽を演奏しているのは、ベルリン・フィルハーモニーで、聴いていて心地よく、ときには効果的にシーンを盛り上げてくれます。
ただ、登場する生き物に、名前が表示されないのが、少し難点かなと思いました。
この作品を観て、興味を持った生き物を、家に帰った後で、より詳しく調べるということがしにくいのです。
これは、制作側が、観客に海洋世界により深く入っていってもらえるよう、なるべく、画面上の情報を排除した結果なのかもしれませんが、やはり、生き物の名前は表示して欲しかったです。

*1
劇中のナレーションでは、「コウテイペンギン」と呼んでいましたが、ここでは、青柳昌宏氏と上田一生氏が、訳書「ペンギンになった不思議な鳥(1988)」で用いた、新称のペンギン和名である、「エンペラーペンギン」を用いました。
*2
実際にオスが卵を温めている抱卵期間は64日間です。オスが繁殖地に到着して、メスが産卵後、海に戻り、再び繁殖地に戻って、育雛を交代するまでにかかる期間が115日です。そして、今度はヒナをメスにまかせて、オスが採食に行くのですが、これまでの間、オスは絶食しています。
この作品を観て、もし、ペンギンにご興味を持たれた方は、下記のアドレスにある書籍をご参考にされたらと思います。
http://www.jttk.zaq.ne.jp/zentoryoen/penguins/osusume.htm(自サイト内リンク)


「ディープ・ブルー」オフィシャルサイト
http://www.deep-blue.jp/
(オフィシャルサイトにある壁紙は、是非ダウンロードしましょう♪)

「スウィングガールズ」のサントラのコト

2004年09月27日 | 映画のコト。
先日、「スウィングガールズ」のサントラを借りて来て、聴いてみました。
収録内容は、"SWING GIRLS & A BOY"の演奏と、ミッキー吉野氏による(あまり、この言い方は好きではないのですが)BGMです。
驚いたことに、改めてCDで聴くと、思っていたより、はるかに、"SWING GIRLS & A BOY"の演奏は下手でした(笑)
「スウィングガールズ」は、2回観たのですが、そのどちらのときも、たった4ヶ月練習の割には、とても、演奏はうまいなぁ、と思ったのです。
これが、映画を魔力と言うのでしょうか。
やはり、映画というのは、偉大だなぁと、改めて感じた次第です。
そういえば、シカゴのサントラを聴いたときも、劇中で聴いたときと違い、何か物足りなさを感じたことがありましたっけ。
しかし、こういう言い方は、演奏しているキャストに失礼かもしれませんが、実に微笑ましい演奏なのです。
これも、やはり、映画を観ているからこその感想なのでしょうが、演奏を聴いていると、シーン、シーンが思い出されて、なんだか、にこにこしてしまいます。
それこそ、体の方も自然に、"SWING♪ SWING♪"といった感じに(笑)
やっぱり、音楽って、たのしんでなんぼですね。
わたしも、見習わなくちゃ。

あ゛、当たり前のコトしか、書いてない・・・

「父と暮らせば」の感想

2004年09月23日 | 映画のカンソウ。
夏休みに観た映画の感想その3です。

■父と暮らせば(鑑賞日 2004/08/31)
わたしが、かなりの心を揺さぶられた作品です。
この作品は、井上ひさしが原作を書き、舞台で上演されていたものを、黒木和雄監督が映画化したもので、舞台的な演出の中に、うまく映画的演出を取り入れて作品に仕上げたという印象でした。
今作は、「美しい夏キリシマ」といった作品と同様、「生き残ってしまった悲しみ」を描いています。
原爆で親友と父親を失い、自分ひとりだけが生き残ってしまったことに負い目を感じ、「自分は幸せになってはいけない」と思い、自分にそれを言い聞かせながら生きている女性のもとに、父親が幽霊として現れ、娘が幸せになれるように、その閉じてしまった心を開かせようとする、という物語です。
この「生き残ってしまった悲しみ」というのは、監督自身が経験したことのある実体験でもあるのですが、それが、今作もフィルムからにじみ出ていているように思いました。
登場人物も非常に少なく、前述したように、お話自体は、いたってシンプルで淡々と進んでいくのですが、井上ひさしらしい(?)ユーモアにあふれており、そのユーモアとお話のギャップ、そして、お話が非常にシンプルな分だけ、訴えかけてくるものは非常に大きく、戦争の残酷さ、生きているということ、そして、現在のわたしたちが自身が置かれている状況を、強く教え考えさせられました。
主演は宮沢りえ、その父親役は原田芳雄が演じているのですが、ふたりとも演技は、とてもすばらしかったです。
特に、父親を演じた原田芳雄は、ちょっと可笑しなキャラクターなのですが、その「くすり」とさせるユーモアの中にも、娘を思う父親の気持ち、また、ときには、背負っている悲哀を感じさせ、よりお話に深みを与えているばかりか、決して明るくないお話の中で娘を救い出すという役同様に、この作品そのものを、単なる戦争映画という括りにとどまらないものにしたと思っています。
そして、そんな父親に、宛てられた最後の宮沢りえの台詞は、本当に心に染み入りました。

監督が言うには、大手製作会社では、原爆や戦争映画の企画は実現しないのだそうです。
実に残念に思います。

この映画を観て、わたしが言いたいことは、ただただ、観てください。
これにつきます。


「父と暮らせば」オフィシャルサイト
http://www.pal-ep.com/chichitokuraseba/chichitokuraseba\top.htm

「スウィングガールズ」の感想

2004年09月20日 | 映画のカンソウ。
ストックがあるうちは、楽でいいですね。
という訳で、夏休みに観た映画の感想その2。

■スウィングガールズ(鑑賞日 2004/09/13,16)
「なんかいぐね?いぐね?」
この手の映画は、観ていると次の展開なんかは、たいがい分かってしまうんですが、それでも、もう、観ていて、楽しくて楽しくてしかたがない!
わたしは、封切り1週間のうちに、2回観ました(笑
監督というものは、サービス業だと言い切り、ここまで観客を楽しませてくれる矢口史靖監督はすばらしい!
「ウォーターボーイズ」の2番煎じと言われるかもしれませんが、やはり、完成度は上がっています。
主役の鈴木友子役の上野樹里さんをはじめ、キャラクターは山形弁を盛大に話し、大変魅力にあふれています。
わたしは、個人的に、トロンボーンをプレイしていた、関口香織役の本仮屋ユイカさんが大好きになりました(誰も聞いちゃいねぇか・・・)
"SWING GIRLS & A BOY"が実際、劇中でプレイする曲は、すべて吹き替え無しで、本人たちキャストが、プレイしているのですが、(わたしは、ピアノをちょっとくらいしか弾けないので他の楽器のことは良く分からないのですが)4ヶ月の練習で、ココまで上手だとは、びっくり。
そして、本当に嬉々としてプレイしている姿に、とても胸を打たれました。
ジャズの難しいことはよくわかりませんけど、やっぱり、音楽は楽しまなくっちゃ!
出てくる曲も、おなじみのナンバーが多く(?)、一度は聴いたことがあるものばかりで、耳あたりも非常によく、気持ちよくて、気がつけば劇場の椅子に座ってリズムを刻んでいました(笑
あえて、ひとつ言わせていただければ、是非とも、竹中直人に、最後の"Sing,sing,sing"は、ステージで指揮棒を振って欲しかったですね~。
何はともあれ、劇場を出た頃には、気持ちは「スウィングすっぞ~!」ってな感じに(笑
これは、もう、「ジャズやるべ~♪」

蛇足。
そうそう、この「スウィングガールズ」の制作は、アルタミラピクチャーズなのですが・・・周防監督って、今、何してるんでしょうか^^;
そういえば、来年は、「Shall We ダンス?」のハリウッド版が公開されるんでしたっけ。

「SWING GIRLS」オフィシャルサイト
http://www.swinggirls.jp/index.html

「華氏911」の感想

2004年09月19日 | 映画のカンソウ。
今日から、ブログ開始。
ゆっくりでも、継続していけたらいいなぁ、と思っています。
テスト代わりに、夏休みに観た映画の中から、「華氏911」の感想を。

■華氏911(鑑賞日 2004/08/31)
配給で糞会社ディズニーと散々揉め、新会社を設立することで、ようやく、アメリカ本国で公開に漕ぎ着けたのがニュースになったり、カンヌ映画祭にて、最高賞であるパルムドールを獲得するなど、日本でも公開前から、話題沸騰の「華氏911」です。
「純粋に、映画として面白いからパルムドールを与えた」と、カンヌ映画祭の審査委員長であるクエンティン・タランティーノは言っていますが、わたしの感想は、正直なところ、映画的評価をするならば、前作の「ボーリング・フォー・コロンバイン」の方が優れていると思います。
今作は、前作で見られた、“マイケル・ムーアらしさ”というものが、まったくないわけではありませんが減退しています。
この“マイケル・ムーアらしさ”というのは、彼独特の皮肉的なユーモアであったり、彼の突撃アポ無しインタビューであったりと、ドキュメンタリー映画に持ち出すには、非常に難しい要素なのですが、これが問題の的を得ているばかりか、観ていて小気味よく、観客に、笑いながらも考えさせるという事をさせ、前作をエンターテイメントとしても、鑑賞に堪えうるものに昇華させている源といっても過言ではないものです。
また、前作は、結果的に、銃問題を窓口に、アメリカ社会の暗部にまで光をあてた秀作でしたが、今作は、始終、一面的なブッシュ批判に陥ってしまっているのが残念なところです。
田中字氏のWEBサイトに掲載されていることですが、この映画は、ブッシュ自身については、鋭く迫っていますが、9・11からイラク戦争にかけてのブッシュ政権の動きを作ったネオコンなどについては、まったく言及されていません。つまり、現在のアメリカを見るには、不完全な内容です。
前作が非常に優れているため、どうしても期待が大きくなってしまい、このような辛口な感想になってしまいましたが、この作品が決して、観るに値しないものかというと、そんなことはありません。
日本は、イラクに自衛隊を派兵しています。
そんな国の人間だからこそ、是非とも、多くの人に観てもらいたい作品です。


「華氏911」オフィシャルサイト
http://www.herald.co.jp/official/kashi911/index.shtml

参考:
田中字の国際ニュース解説
http://www.tanakanews.com/