ようやく、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」を観ました。
原作から、引用されたネタを小気味よく、うまく料理していました。
以下、ネタバレありです・・・たぶん^^;
面白かったのですが、少々、盛り上がりに欠けた感があります。
ただ単に、わたしが期待しすぎていたため、このように思ったのかもしれません。
「2nd GIG」では、難民問題を取り上げ、今作では、少子化問題などを取り上げている点は、非常に面白かったですし、組織としての9課という、根本を見つめ直したことも興味深かったです。
結局、傀儡回しの正体は、コシキが最後に解説してくれてはいますが、少佐の同位体(がベースとなっている)という解釈でいいのでしょうか。
「STAND ALONE COMPLEX」シリーズでは、少佐が人形使いと融合していないので、単純に、原作の「攻殻機動隊2」に登場した素子の同位体とは位置づけは違うはずですが、代わりに、並列化(?)を繰り返した挙げ句に、何らかのかたちで発生した「もの(?)」が傀儡回しである考えて良いのかな。
タチコマも、ゴーストが芽生えているのかは定かではありませんが、少なくとも並列化の果てに、「個」を得ていますし、クゼの革命のように、自分たちをネットにあげて(アップロードして)も、個を特定し続け、更に再びボディにまで戻っています。
そして、コシキは、ソリッドステイトシステム強化のため、様々な人物をパージしてきて、9課をも排除する目的で、少佐と有線したと言っていましたが、結局、あれは何を意味したのでしょうか。
ソリッドステイトシステムは、トグサが、子供たちは親元に帰された旨を発言していることから、今回の一件で、崩壊していると考えてよいはずです。
9課もパージどころか、少佐自体が健在です。
有線することで、傀儡回しは、少佐のデコイを得ることはできましたが、はたしてそれに意味があるのか、リモート義体を手に入れること自体は、雑作もないことのはずです。
しかも、傀儡回しは立ち去る際に、「これで、ソリッドステイトが完成する」と言い残しています。
どうも、そのあたりが良く理解できません。
(ここが、この物語の本質であるはずなので、ここが分からないというのは、感想を述べる上で致命的なのですが、あえて、感想を書いています)
複合体が並列化を行い、あたかも個というべき存在(?)が生まれ(個にして全、全にして個?)、新たな社会を形成し関わっていくということを、本当の意味でソリッドステイトとしているのかな。
そうすると、ある意味、スタンド・アローン・コンプレクッスの更なる発展した現象として、ソリッドステイトはあるのかもしれません。
なんだか、訳が分からなくなってきました。
そもそも、原作の「攻殻機動隊2」自体、意味が理解できていません・・・
重箱の隅をつつくようでなんですが、トグサが自殺(しようと)するシーンも、気になりました。
足を止めることができたのは、傀儡回しが、トグサに選択をさせる(自殺するか、自分の娘の電脳化にサインするか)時間を与えるために設けたように思ったのですが、何も自分の頭を打たなくても、足を撃てば、あの場合は、済んでいたのではと思ってしまいます。
傀儡回しが与えた選択自体が、自分の頭を撃つか、サインをするかという動作しか無かったのかもしれませんが・・・
あと、聖庶民センターへの9課の突入の根拠は、ハッカーとして侵入した少佐を、犯罪者として、9課が追うというかたちを取ることで、書類上の問題をクリアしているという判断でいいのでしょうか。
でも、それでも、強制捜査への理由としては弱いような・・・
今作にて、ネットを彷徨っていた少佐が、9課に帰ってきました。
「イノセンス」が公開された際、プロデューサーの鈴木敏夫が「素子は再びボディに戻るべき」という発言をしていましたが、それをなんとなく思い出してしまいました。
わたしは、当時、それを聞いたときには、「鈴木敏夫は何を言っているんだ」と思いましたが、このような経緯で、少佐が帰ってくると、何となく、鈴木敏夫の発言も腑に落ちるものがあります。
(もちろん、原作と映画版とSACシリーズが、それぞれパラレルワールドになっているというのは十分理解しています)
とりあえず、マイクロマシンを利用したテロあたりから、ソリッドステイトシステムへの物語のつながりをいまいち、まだ強く分かっていないので、もう一度、観てきます。
「もういいや」と思わせず、何度も観させる力がある作品でした。
やっぱり、攻殻機動隊は、良いですね。