香川県の豊島の汚染された土壌を、大津市の民間施設で処理する計画について9日、香川県の担当者と大津市の処理業者が協議し、地元の住民の理解を得られないまま
処理を実施するのは難しいとして、計画を取りやめる考えで一致したことがわかりました。
香川県は、瀬戸内海に浮かぶ豊島にある、廃棄物で汚染された土壌7万トンを、大津市伊香立途中町にある民間の施設で処理する計画です。
しかし、施設周辺の住民からは、環境への悪影響を懸念して計画の中止を求める声が上がり、先月行われた住民と香川県の協議も、物別れに終わっていました。
こうした中、9日、香川県の担当者と処理業者が今後の対応について協議しました。
関係者によりますと、協議の結果、今後も住民の理解を得るのは難しく、理解を得られないまま処理を実施することはできないとして、計画を取りやめる考えで一致したということです。
この計画をめぐっては、一部の住民が計画の中止を求めて滋賀県公害審査会に公害調停を申し立てる事態にまで発展しましたが、一転して決着に向かうことになりそうです。
これについて香川県では「大津市に対し、計画への意見を求めているところであり、コメントできる段階ではない」と話しています。香川県は、汚染された土壌を含めた90万トン余りの廃棄物の処理を国の公害調停で定める平成28年度末までには何としても終えたい考えで、今後、期限内の処理に向けて汚染土壌の処理計画の見直しを行わざるを得ない状況となりました。
(5月9日、NHK大津放送局・電子版:10日付け産経・中日の電子版なども報道)
http://www.nhk.or.jp/lnews/otsu/2064976441.html
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20120510/CK2012051002000007.html
豊島の汚染土壌搬入問題 香川県と業者が解約へ 大津
■地元住民の反対強く断念
豊島(てしま)(香川県)の汚染土壌処理を、同県と委託契約した民間業者「山崎砂利商店」(本社・大津市浜大津)が同市伊香立途中町(いかだちとちゅうちょう)の施設で計画し、周辺住民が反発していた問題で、香川県と山崎砂利商店の担当者が協議し、契約を解約することで合意したことが9日、関係者への取材でわかった。住民の反対が強く、地元合意が得られなければ実施できないと判断した。山崎砂利商店が10日午後、正式に明らかにする。
香川県は昨年7月、豊島の産廃下にある土壌処理を委託する業者の一般競争入札を実施。山崎砂利商店が落札し、同年11月に契約を結んだ。関係者によると、解約に伴う違約金などの支払いはないとしている。
山崎砂利商店が香川県と契約した業務は、同市伊香立途中町の施設で汚染土壌から鉛やヒ素などの有害物質を除去する水洗浄処理。処理する量は最大7万トンと推定され、香川県は今年3月から汚染土壌の搬入を始める計画を立てていた。
しかし、処理施設が琵琶湖につながる和邇川上流に隣接しているため、周辺住民が反発。1月に就任した大津市の越直美市長は「住民理解が得られていない状況で土壌を搬入しないよう求める」と文書で香川県に要請したほか、3月23日には香川県庁を自ら訪問し、浜田恵造知事に理解を求めた。
一方、処理施設周辺の住民ら約230人は3月12日に、滋賀県公害審査会に対し、香川県に山崎砂利商店との契約を解除することなど求めて公害調停を申請。調停の当事者が広域に渡るため、総務省の公害等調整委員会で審議されることになった。
こうした動きを受け、3月を予定していた香川県からの汚染土壌の大津市への搬入は遅れ、成り行きが不透明になっていた。
(5月10日付け産経新聞・電子版)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120510/shg12051002080004-n1.htm