語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】復活という現象の科学的説明 ~『牙を研げ』~

2018年03月09日 | ●佐藤優
 (1)キリスト教は、もともとユダヤ教を母体に生まれている。イエス自身は、自分のことをキリスト教徒とは思っていない。イエスは自分をユダヤ教の改革者と思っていた。
 イエスが「まむしのやからよ」などと悪口をたくさん言っているパリサイ派(新共同訳ではファリサイ派)という人たちがいる。第三者的、客観的に見ると、イエスはパリサイ派だ。パリサイ派には職人が多かったが、イエスは大工だ。
 イエスの言説、立法観もパリサイと共有の認識をしている。国家との緊張関係もパリサイ派に特有のものだ。

 (2)イエス自身は、「私はすぐに来る」と言って死んだ後3日後に復活する。
 死んだ人間が復活するものか、と思うかもしれないが、復活自体は古代においてはそんなに珍しいことではない。問題は具体的な死体が復活したか、ということだ。
 素朴実在論の世界においてだが、古代に復活は日常的にあった。我々は夢のなかで何かを見る。そのことが現実に起きることもある。古代人においては、その原理が一緒だ。
 『源氏物語』では、六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の怨霊などがたいへんな影響を及ぼす。六条御息所の怨霊が出てくるというのは、現代の感覚では、光源氏は浮気ばかりしているから六条御息所の夢を見る、となる。
 しかし、古代において、夢を見ることと、その人が具体的に出てくることはまったく同格だ。だから、キリストが復活したというのも、キリストの夢を見れば、それは復活した、ということで、素朴実在論の世界においては珍しいことではない。

□佐藤優『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』(講談社現代新書、2017)の第2章の「⑪復活という現象」
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 【参考】
【佐藤優】プレモダンとしてのカトリックと正教 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】ユダヤ教、キリスト教、イスラムの「罪」 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】論理が発達する理由 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】天照大神vs.須佐之男命 ~『牙を研げ』~
【佐藤優】仏教や神道とは違う、一神教の思考法 ~『牙を研げ』
【佐藤優】国教は習慣というかたちをとる ~『牙を研げ』~
【佐藤優】紅白歌合戦の、カオスからコスモスへ ~『牙を研げ』~
【佐藤優】武士政権成立前後のグローバリゼーションと反グローバリゼーション  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】プロテスタンティズムという思考の鋳型  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】日本兵は捕虜になるとよくしゃべる理由、米軍の日本研究  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】ソ連軍の懲罰部隊が強かった理由、日本軍の「生きて虜囚の辱めを受けず」  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』 ~各章の小見出し~
【佐藤優】『牙を研げ』 ~まえがき~
【佐藤優】『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』 ~目次~

 




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