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2010年1月29日開設
読書
大岡昇平+社会問題・社会保障

【佐藤優】天照大神vs.須佐之男命 ~『牙を研げ』~

2017年05月16日 | ●佐藤優
 (1)日本の当時の右翼の人たちのなかにも、天照は大和民族の祭神であって、朝鮮民族の祭神ではない、というので、朝鮮に天照大神信仰を押しつけることに反対した人たちがいる。

 (2)埼玉県には、氷川(ひかわ)神社とか日枝(ひえ)神社が多くある。武蔵国一宮の氷川神社は、天照信仰ではなく、須佐之男、大国主信仰だ。おそらく天照信仰を持つ人たちの前に日本の国家を支配していた集団の宗教で、出雲の系統になる。神話の世界では平和裏に国譲りした、ということになっている。しかし、地上は天照が守っているけれども、地下、闇の世界は須佐之男と大国主が支配し、天照の世界はつねに須佐之男、大国主の世界を恐れている。

 (3)神道系の新宗教は、須佐之男、大国主の表象をしている。
 その一つが大本(いわゆる大本教)だ。大本は、戦前2回にわたる大弾圧を受けた日本の神道系の教団で、共産党より激しい弾圧を受けた。特に2回目の弾圧は、綾部と亀岡の神殿を大本の費用で、ダイナマイトで全部爆破して完全な更地にするという、徹底したものだった。

 (4)大本が受けた弾圧は、創価学会などの弾圧とは位相が違う。
 大本は、戦後は平和運動をおこなっているけれども、戦前は満州への進出も積極的におこなったし、時の政権移譲に強く日本の軍国主義政策を推進した面もある。大本の人たちはエスペラント語をマスターしたから、日本エスペラント協会のなかで大本の人たちの比率は高い。
 天照信仰の世界、すなわち伊勢神道の流れをくむ国家神道からすると、自分たちに近い論理で国策を過剰に推進しようとする大本の動きが、彼らには実際には別のことを考えている、権力を奪取しようとしている、と見えたわけだ。
 現在も、出雲信仰は、日本において非常に重要な位置を占めている。

□佐藤優『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』(講談社現代新書、2017)の第2章の「⑦天照と須佐之男」
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 【参考】
【佐藤優】仏教や神道とは違う、一神教の思考法 ~『牙を研げ』
【佐藤優】国教は習慣というかたちをとる ~『牙を研げ』~
【佐藤優】紅白歌合戦の、カオスからコスモスへ ~『牙を研げ』~
【佐藤優】武士政権成立前後のグローバリゼーションと反グローバリゼーション  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】プロテスタンティズムという思考の鋳型  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】日本兵は捕虜になるとよくしゃべる理由、米軍の日本研究  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】ソ連軍の懲罰部隊が強かった理由、日本軍の「生きて虜囚の辱めを受けず」  ~『牙を研げ』~
【佐藤優】『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』 ~各章の小見出し~
【佐藤優】『牙を研げ』 ~まえがき~
【佐藤優】『牙を研げ 会社を生き抜くための教養』 ~目次~

 


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