学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

ジョルジュ・ビゴー展

2021-02-27 16:11:51 | 展覧会感想
久しぶりに遠出をして、栃木県の宇都宮美術館で開催されている「ジョルジュ・ビゴー展」を観て来ました。

ビゴーといえば、日清戦争での風刺画が有名ですね。朝鮮を巡って対立する日本と清国が、魚(朝鮮)を狙って釣り糸を垂らし、その様子を中央の橋からロシアが虎視眈々と狙っているという絵です。中学校時代、私も学校の教科書で初めて見て、それからずっと記憶の中に残っています。ビゴーの名前は受験勉強や部活動が忙しくて、すぐに忘れてしまいましたが(笑)

展覧会は、ビゴーの作品をテーマ別で紹介しており、彼の画業を知ることができます。そのなかでも、明治期の日本を描いたもので、水彩やペンで描かれたものがいいですね。特に《京都 鴨川のほとりの祭りと花火》や《染屋》は、人物たちの表情がとても豊かで、私の好きな作品です。また、面白かったのは、ビゴーの絵は記録画として捉えられやすいけれど、作品によっては光の影を調整していて、全体のバランスを考えながら描いているということ。やはり自分の目にしたものをそのまま描いたわけではないのですね。私の中でビゴーのイメージが変わりました。ちなみに、展覧会では先の風刺画も展示されていました。大きさはA4版くらいでしょうか。本の挿絵くらいの大きさと思っていたので、私にとっては意外でした。

コロナ禍でなかなか美術館を訪れる機会も少なくなっていましたが、やはり絵を見るのは楽しいことです。思う存分、リフレッシュができた1日となりました。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中学生の職場体験

2021-02-26 19:37:06 | 仕事
私が勤める美術館では、毎年地元の中学生の職場体験を受け入れています。美術館での仕事にあこがれる中学生は多いらしく、毎年10名程度の参加申し込みがあります。

昨年はコロナ禍のため、残念ながら職場体験のすべては中止になってしまいましたが、その代わりに手紙や電話などで中学生とやり取りをし、学芸員という仕事について、書いたり、お話しをしました。思い返してみれば、私が中学生のころには、まず職場体験がありませんでしたし、そもそも地元に美術館もなかったので、学芸員の生の声を聴く機会がほとんどありませんでした。ですから、学芸員の仕事は展覧会を立ち上げること、のイメージがとても強く、ほかにどんな仕事をしているのか、具体的にわからなかった覚えがあります。ですから、今の中学生がうらやましいですね。

中学生の質問で特に多いのが、どんなときにやりがいを感じるのか、というものです。私の場合は、人から感謝されたとき。関係者やお客様から、展覧会がとても良かったとか、また美術館に足を運びたい、と言っていただけると、とてもやりがいを感じますし、エネルギーが湧いてきます。学芸員の仕事は、自己表現でもなく、自己満足でもなく、美術を通して社会のために力を尽くすこと、と私は思っています。

美術館での職場体験を通して、将来学芸員や作家にならなくとも、ずっと美術が好きな人でいて欲しいな、と願っています。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

詰め込みすぎ

2021-02-25 20:33:07 | 仕事
先日、仕事をしていたら、急に頭がくらくらしてきて、びっくりしてしまいました。休憩をとって、すぐに回復したのですが、それもそのはず。やらなくてはいけない仕事が山のほどあって、おそらく私の頭のなかで自動防御装置みたいなものが働いて、体を守るために反応を起こしたのでしょう。

自分の頭の中を整理しなくては、と、いらない紙に仕事の内容を書き出したら、あるわあるわ。展覧会に関係する仕事が4本、美術館の施設に関する仕事が8本、会議資料の作成や寄付作品の受け入れなどが3本…これは誰だってくらくらするわけです(笑)どう考えても、この仕事量はおかしい。おかしいが、ほかにやれる人がいない。だから、私がやっている。というわけで、悪循環に入っています。こういうときは、深刻に考えるよりも、笑いながらやるぐらいの気構えでいったほうがいいかもしれませんね。

私の場合、こういうときのストレス解消は、他所の美術館の展覧会を見に行って、リフレッシュすることなのですが、コロナ禍の折、それがなかなかゆけないのがつらい。さりとて美術系の本を読むと、さらに絵を見に行きたくなる欲求が高まって、よけいにつらい(笑)こまったものです。

自分の仕事の多さに対して、感情的になるのではなく、まずは冷静になって、どのように解消していくかを考えていくのも社会人として必要なこと。ただ、それにしても、本来の学芸員の仕事とは関係のない仕事が最近は多すぎるなあと、どうも解せない私なのでした。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

郷土愛へのつぶやき

2021-02-15 08:48:58 | その他
曇る空に霧が立ち込める朝。このところ、晴天が続いていたので、戸外が余計に暗く感じます。

さて、私が住んでいる街は現在普請中。街の中の道路を広げたり、古い家が取り壊されて空地になったりと、ずいぶん変化しています。そういう場面に通りかかると、街が新しくなっていくことへの期待とともに、郷土愛という言葉が頭に浮かびます。郷土愛とは、自分が生まれた故郷を愛する心のことで、近年は子供たちの郷土愛を育むことを目標に掲げている学校も多いようです。それらの学校では、もっぱら、その地域の歴史や産業などを学び、関心を持ってもらおうと試みていて、とても良いことだと思います。

私も学生時代のころには、郷土愛、という言葉は無かったように思いますが、同じように地域の歴史を学びました。ところが、私の場合、郷土愛というものがほとんどないのです。なぜなら、私が親しんだ田園風景は埋め立てられて住宅地に変わり、私が何度も通って見慣れた通学路の家々は、古くなったり、道路を広げるために、そのほとんどが取り壊されて無くなってしまったためです。私の故郷は永遠に消えてしまったというのが実感です。

いくら郷土愛の教育を学んでも、街並みが大きく変わってしまっては、そこに故郷を愛する心は育ちにくいのではないか、と、今の私が住んでいる街の変化を目の前にして思うのでした。ヨーロッパの街並みのような仕組みができないものでしょうか。今日は郷土愛への私のつぶやき、でした。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

記憶の中の水戸

2021-02-13 21:44:51 | その他
このところ、気持ちの良い晴れの日が続いています。厳しい寒さも落ち着いて、少しずつ暖かくなってきたよう。毎年見に出かけていた茨城県の水戸の梅も、その咲き具合が気になるところです。

その水戸に思いを巡らせると、初めてそこへ出かけたのは大学生のとき。水戸駅を出ると、西側にだらだらと長い坂が続いていて、その両脇にビルが所狭しと立ち並ぶ街景が忘れられません。その後、社会人になってから、たびたび水戸へゆくようになりました。いつも新しい切り口で現代美術を紹介する水戸芸術館は大好きな美術館のひとつ。特に「現代美術は楽勝よ」展はとても印象に残っています。確か企画展の準備をしていた学芸員が殺され、その謎を展示作品で解いていく、という内容で、映像作品もとても面白かった。また、水戸といえば偕楽園ですね。春の時期になると、梅の香りに包まれます。それに好文亭や高台から、千波湖が眺められるロケーションも最高です。大切な友人が偕楽園のところにある常盤神社で結婚式を挙げた縁もあり、私の思い出の場所となっています。食べものでいえば、納豆でしょうか。私は納豆をあまり混ぜないでたれをかけて食すのですが、先の友人がそれを見てありえないと一言(笑)。彼によれば、強い粘りが出るまで混ぜ、それからたれをかけるのがおいしい食べ方なのだそうです。マドレーヌならぬ、納豆を食べるたびに、彼のことを思い出す(笑)こう思い返すと、水戸という街ひとつとっても、いろいろな人との出会いがあり、土地への思い出があります。

現況、なかなか戸外へ出かけられませんが、こういう思い出を大切に抱えて、また水戸へ遊びに行きたいものです。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

作品展示のことを少々

2021-02-09 21:35:27 | その他
今日はとても風が強い日となりました。そろそろスギ花粉のニュースが流れるころ。今年はどのくらい飛散するのかわかりませんが、少しずつ花粉対策の準備をした方がよさそうですね。

さて、私が勤める美術館では、企画展の展示替えが近づいています。仕事は段取り八分といいますが、展示替えはまさにそう。事前にどれだけ準備できるかが鍵になります。展示の材料に不足はないか、展示する作品がすべてまとまっているか、作品のキャプションやパネルがすべてそろっているか、などの項目をチェックしていきます。そうすることで、時間のロスを減らせ、自分の体力も温存でき、スムーズに仕事が進んでいきます。また、作品は事前の展示図面をもとに配置していきますが、最終的には作品を仮置きした状態を見て、最終決定していきます。展覧会では、作品をいかによく見せるかがポイント。極端なことをいえば、大きな作品と小さな作品を並べると、どうしたって小さい作品がインパクトで負けてしまう。そうならないように、互いの間隔を広くとるとか、小さい作品はひとまとめにしてしまうなどの配慮が必要になります。そういうことが、机上ではなかなか調整するのが難しい。それが仮置きする理由です。展示方法はとても感覚的な部分で調整をしていくので、大変ですが、やりがいのある仕事です。

明日も展覧会の準備で忙しくなりそう。寒い時期ですので、体には気を付けて過ごしたいものです。それでは、おやすみなさい。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

気持ちをリフレッシュさせる

2021-02-08 10:02:33 | その他
昨日は春のような陽気で、今日は雪が降る陽気で、どうも天気が極端なようです。暖かい日が続く、というのには、しばらく時間がかかりそうですね。

このあいだ、仕事のためにパソコンへ向かっていたら、突然にふわふわ浮くようなめまいがしてびっくりしました。ちょうどお昼休み直前のことだったので、まずは外へ出て、深呼吸をし、ご飯を少しだけ食べ、午後からは少しずつ体が戻った感じで幸いでした。実は8年前にも同じような時間帯で仕事をしていたら、やはりこういう症状になり、横になって休ませてもらい、その時は内科で点滴を受けて復活しました。が、また同じような症状が起こったら嫌だな、というのが、常に頭にあり、精神的な部分での復活に時間がかかったのです。原因はたぶん、お昼前の低血糖による症状、パソコンによる目の疲れ、仕事を急いでいたことによる脳のオーバーヒート(自律神経の乱れといったらいいのか)の複合的なものかな、と考えているのですが、なんだかよくわかりません。とりあえずは、ここのところ、仕事に忙しくて焦っていることが多いので、ゆっくり動くことを意識して、自律神経の改善を進めているところです。私は元来、人よりものんびり屋で、マイペースに生きてきたのですが、社会人になるとそうはいっていられず、社会の動きの中でスピードを優先して生きるようになってしまい、本来の自分の性質とは違うところにいるような気がしてます。それが正しいことなのか、そうでないのかはわからないけれど、ただ、自分の体が拒否しているところをみると、あまり私にとっては好ましくない生き方なのかもしれませんね。どう、社会と折り合いをつけていくのか、考えなくてはいけないのかもしれません。

さあ、今日は休日。ウォーキングに出かけて、気持ちをリフレッシュしてきたいと思います。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

このごろは

2021-02-03 19:53:07 | その他
今日は青空なれど、風が強くて、余計に肌寒く感じられた1日でした。ちらほら、全国で梅が開花したニュースを聞きますが、私の住むところはあと少し。梅を見るのが待ち遠しいこのごろです。

最近の仕事は、今年度の仕事と来年度に向けての仕事が混在しているような状況になっています。5,6事業の企画を同時並行でこなさなければならないので、1日がばたばたと過ぎてゆく感じ。1日がなんと短いことか。たくさんの仕事を抱えていると、どうしても脳がパニックになりやすいもので、学芸員の仕事になったばかりのころの私も、わけがわからなくなって、よく頭を抱えていたものでした。今は仕事の道筋をきちんと立て、毎日コツコツ予定通りに進めて、最終的に1つの仕事が完成する、というようにして、なるべく精神的に楽になるように工夫しています。仕事が終わった後、夜空を見ながら帰るのが、最近の楽しみ。冬の夜は、星がきれいに見えるので、とても好き。1日の仕事の疲れも吹き飛びます。

明日もまた忙しくなりそう。温かいお風呂に浸かって、ゆっくり体を休めたいと思います。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

必読書150冊を見てのち

2021-02-01 19:54:42 | その他
今日から、いよいよ2月ですね。その始まりとなる今日は、曇天で寒い1日となりました。冬らしくていいものです。

今月の雑誌、『芸術新潮』は「愛でたい読書」がテーマ。今の必読書150冊を紹介した内容になっています。仕事柄、美術の本はよく読むのですが、教養のための読書、というよりは、文章を書くための読書が多いので、ここで紹介されている150冊はほとんど読んだことがないものばかりでした。若桑みどりさんの『イメージを読む』は、私もボロボロになるまで読んだので、それが入っているのは嬉しい限り。その一方で、高階秀爾さんの『名画を見る目』や辻惟雄さんの『奇想の系譜』、木下直之さんの『美術という見世物』などがが入っていないのは意外でした。3冊とも、私のおススメです。雑誌を読んでいたら、絵を無性に見たい欲求が湧いてきました。この欲求、大事にしたいですね。

休日の今日は、朝からあくびが止まらず。温かいお風呂に入って、早めに寝ることにします。それでは、今日もブログを読んでいただき、ありがとうございました。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする