ほるほる

矢作川のほとりで枝下(しだれ)用水を、
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逵(つじ)志保のページです

がんばれ中国留学生

2010-12-11 15:20:30 | シホのホ(雑記帳)
毎年一人・二人の留学生が大学の私の講義をとってくれる。日本民俗学、地域文化論といった講座は留学生がいるとなにかと面白い。自分たちのあたり前がそうでもないことをその場で知ることができるから。

中国からの留学生Zさんのことを話したいと思う。
Zさんが先週の講義のあとに「先生、忙しいですか?」と話しかけてきた。聞くと相談したいことがあるという。その日は遠路私を訪ねてきてくださる方があったので、今日はだめだけれどと言ったら「メールします」と言った。
一週間メールが無かったのでちょっと気になったけれど、もう解決したのかなと思い講義後に声をかけてみようと思っていたら、講義後Zさんが前に来てくれたので話を聞くことにした。

「メールではうまく伝えられないと思って話そうと思いました」そんな風に話は始まった。聞くとある財団の学費助成の選考に残り、最終の面接のために話す内容の相談に乗ってほしいという。オヤスイゴヨウ!
財団に提出した文章を読ませてもらうと、この講義を受けて自分の文化(中国の少数民族)と日本の文化の違いがいろいろと見えてきて、これからの学生生活、祭りを見たり日本を見て回りたいというような思いが書いてある。こんなふうに聞いてくれてる人がいるんだなと嬉しく思った。

面接の練習の約束と「通ると良いね」というと、Zさんは自分は全然どこにも行ってないからと話しを始めた。確かに講義の中で聞く限りほとんど日本の観光地を知らない。
Zさんは中国の大学を卒業した。少数民族ということもあり、就職して・・・という将来を描くとおおよその将来が見える気がした。貧しい家だという。なんとか今の状態から抜け出したい!そんな思いが日本への留学を決意させた。しかし親に話すと母は大学を卒業してこれから日本なんてと反対した。周りの人たちも反対した。でも父親だけはちがった。「自分の娘だ、きっとがんばるだろう」とお金を貯めてくれて自分を送り出してくれた。
日本に来て語学学校に通いながらお金を貯めた。留学生の友達はいろんなところに遊びにいったけれど、自分はあとの時間を働いた。昼のバイトと夜のコンビニ。二年の語学学校の後、無事に公立大学に入学し、現在大学2年生。80万をためて父に送った。これは送り出してくれた父への感謝の気持ちだった。
でも先生、これからは自分の人生のためにお金を使おうと決めました。助成金をもらったら夜のコンビニをやめて勉強をがんばります。お祭りも日本のいろんなところにも私は全然行ってないから、今度はそのために使いたいと思います。がんばって勉強します。
私は日本に来て本当にみんなに親切にしてもらったんです。日本の人たちにも本当に感謝しています。友達と就職の話をするとき、私はお金を稼ぐことではなく、それは大切だけれど世界の平和や日中友好のために働きたいと思うんです。そういうと「あなたは上からものを言っている」と言われます。そうでしょうか?先生は私のこの気持ちをきっと分かってくれると思って話します。

感激した。こんなに純に生きてるZさんが、たくさんの講義の中で私を選んで話してくれたこともとても嬉しかった。一人の力なんて、たいしたことはできないことは十分知っている。それでも私にもできることだってきっとある。Zさんにもできることがきっとある。

遥か昔(?)中国に初めていったとき、18歳。それが日本軍のかつて侵略した土地だったことでいろんな話を聞いて、感極まったのかできない中国語で「日中友好のために働きたい」と泣きながら言った自分を思い出した。あれから20年以上がたち、もう一度思い出させてくれた気もしている。

Zさん、たくさん日本を知ってください。そしてたくさんの中国を教えてください。私もがんばります!

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4 コメント

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ありがとうございます (はるか)
2010-12-11 19:45:14
私も、元気づけられました。
今日も午後から、大学に籠り、修論と向き合っています。
間に合うんだろうか、これでいいんだろうか、
迷いながら、昨日はもう書けないかもと言ってしまったら、
母に叱られました。
そんな中でZさんの話、もっともっとがんばらないと、と
思いました。
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誰でも (シホ)
2010-12-11 20:55:14
はるかさん、がんばってるんですねー。思い出すわー。
私も何回も「今年はやめよう」って思ったことあります。
そのとき仲の良い先生から「じゃあ来年の論文は一年伸ばした分すごく良いものがかけるの?」って聞かれました。
で、今年がんばるぞと乗り越えました。
今でもいつでも時間がないって逃げ出したくなります。期限があるっていうことはそのときもうここまでってあきらめられるものなのかもしれないですね。わたし、間違いなく締め切り無かったら何も書きませんから・・・。
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同感 (Kazuho)
2010-12-16 09:33:45
私の会社でも日本の大学を卒業した中国の方が毎年入社してきます。彼らの仕事への真剣さは我々が見習うべき所がたくさんあります。彼らは母国が良くなってくれることも願っています。我々も彼らの良いところを認識しなければね。
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彼らの良いところ (シホ)
2010-12-17 02:20:16
いま、彼女が最終面接まで残っている学資助成の財団面接の問答の文章チェック中。優秀だなあとつくづく思います。
K兄、元気ですか?中国の力、感じるよね!!

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