みなさん、こんにちは。
今日は勤労感謝の日ですね。
勤労に感謝しつつ、勤労しています!
■蓄熱性
コンクリート住宅でよく言われる”蓄熱性”。
私も勘違いしていたんですが、蓄熱性と蓄熱量は違います。
つまり、蓄熱量が大きいから蓄熱性が良いわけではないんです。
この蓄熱性の概念を把握すると、なぜ外断熱住宅が良いのかが分かると思います。
高気密・高断熱住宅を考える場合、もうひとつ大事な要素があります。
それは、 「暖まりにくく、冷めにくい」です。
蓄熱性が良いということは、 「暖まりにくく、冷めにくい」ということになります。
では蓄熱性を良くするにはどうしたら良いのでしょうか。
それには、素材の温度変化が鈍い(遅い)ということになるんですが、
熱容量が大きい ・・・温度変化が遅い
熱容量が小さい ・・・温度変化が速い
熱伝導が大きい ・・・温度変化が速い
熱伝導が小さい ・・・温度変化が遅い
という相関関係があります。
ですから、熱容量が大きくて熱伝導が小さければ、
「暖まりにくく、冷めにくい」
が成立することになります。
熱伝導率÷熱容量=熱拡散率
という式で表されるんですが、熱拡散率が小さいということは蓄熱性が良いとなります。
確かに、熱拡散率を小さくするには、熱伝導率を小さくするか、熱容量を大きくするかしかないですよね?
すごく分かりづらいかもしれませんが、この式がすごく重要になります。
建物には、コンクリート造、木造、鉄骨造、充填断熱、外張り断熱、内断熱、外断熱といろいろありますよね。
まずはコンクリート造を考えた場合、分母である熱容量は大きいんですが、分子の熱伝導率も大きくなります。ですから、熱拡散率も高くなり、コンクリート造の蓄熱性は悪いと言う結果になります。
ですから、こと「暖まりにくく、冷めにくい」を考えたら、コンクリート造はダメですね。
次に木造ですが、分母の熱容量は大きく、分子の熱伝導率は小さくなります。ですから、熱拡散率も高くなり、木造の蓄熱性は良い と言う結果になります。
・・・あれ、おかしいですね?
今まで思っていたのと逆です。
これには理由があります。
コンクリート造の場合、コンクリートそのものの大きい熱伝導率を補う断熱材を入れます。ですから、分子が小さくなりますので、熱拡散率が小さくなります。
木造の場合、壁の中全て木材というわけではないので、木そのものの熱容量が大きくても、容積を掛け算した蓄熱量が小さいため、結局分母が小さくなり、熱拡散率が大きくなります。
以上のことを考えると、断熱材の入れ方やコンクリートの厚み、木材の使い方で熱拡散率に影響が出ますよね。
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、コンクリート造の場合、外断熱でないと
「暖まりにくく、冷めにくい」
が成立しないんです。外気の影響が大きいので、断熱材がコンクリートの外側にないと、コンクリートの熱伝導率は小さくならないですからね。
ですから、内断熱でコンクリートを使うメリットは、耐震性以外ないのでは、ということになってしまいます。
木造の場合も、 「暖まりにくく、冷めにくい」にするには、例えばログハウスの外張り断熱なんか良いのかもしれません。 たぶん・・・
何となくお分かり頂けたでしょうか?
更に続きがあります。
外断熱マンションについてです。
熱拡散率を小さくするには、分母である熱容量を大きくするか、分子である熱伝導率を小さくするか、ですよね。
これは私の推測ですが、マンションの場合、外断熱材つきコンクリートは、真ん中の部屋であればバルコニー側1面、角部屋であれば2面、最上階の真ん中は天井+バルコニー側の2面、最上階角部屋は3面となりますよね?
まあ4面のケースもあるんでしょうが・・・
熱伝導率は断熱材の量に比例し、熱容量はコンクリートの量に比例しますので、
”コンクリート壁式工法の最上階角部屋”
が一番 「暖まりにくく、冷めにくい」になっているんじゃないでしょうか。
逆に、アウトフレーム逆梁構造で真ん中の部屋は、変な話両隣がず~っと留守だったり、買い手がなくて、外気温に近づいてしまったら実はそんなに快適ではないのでは・・・ もしくは、隣の部屋も一生懸命暖めることに・・・
もし外断熱を本当に考えるなら、分子である熱伝導率を小さくする必要があるので、戸境壁の内側にも断熱材が必要な気がするんですが。
おかしいですかね?
熱拡散率なんて知らなかったです。しかも簡単な式で良かった。
夏は昼の日差しを外断熱でシャットアウトし、夜の冷たい外気でコンクリートに冷気を貯めておく。
建物が服を脱ぎ着する構造が必要ですね。
外壁にレールを設置して、天候や気温によって開閉する断熱壁なんかが良いのか、壁全面に熱交換器を設置し、外気の温度によって熱容量の高い液体を循環させて室内に貯めておくか、
コストが高いですね。
ベストバランスは、大成建設が言うには夏の日差しは上から、冬の日差しは横から、屋根は外断熱で夏の日差しを防ぎ、冬は外断熱してない壁で日差しから熱を貯め込むそうです。
寒冷地ではなく、南向きの立地で南側の部屋が理想ですね